「男性」「女性」という言葉がなくなるくらいの育休制度を作りたい SUN株式会社 仲宗根さん・白井さん

 東京を軸に全国5拠点、海外1拠点に展開するIT企業「SUN株式会社」。多様性を重んじ、オフショア開発や在留外国人支援など国際的な事業にも力を入れています。特に、バングラデシュとの関係が深く、ナショナル野球チームのスポンサーにもなっているとのこと。同社の代表取締役の仲宗根さんと、一児のパパであり育休取得経験のある白井さんにお聞きしました。

「女性活躍推進会議」課題を持ち寄り、新たな会社制度づくりを

ー御社の事業内容を教えてください。

仲宗根さん:システム開発事業、オフショア開発事業、ホームページ制作事業、在留外国人支援事業などを行っています。
「人と人をつなぐ」を企業理念に掲げ、多様性によって生まれる新しい価値を大切にしています。女性の活躍はもちろんのこと、外国人採用にも力を入れており、多様な働き方を支援しています。

仲宗根社長

ー働きやすい環境への取り組みと、現在感じている課題について教えてください。

①2022年10月より「女性活躍推進会議」を毎月開催しています。
女性の働きやすさ向上のために課題を持ち寄り、新たな会社制度づくりをしていく場所です。アイディア出しの場にとどまらず、ときには役員や人事担当も加わり、具体的な制度づくりまで行っています。
たとえば、生理休暇の有給化や、シックリーブ・セルフケア制度の新設、育休復帰に向けた新制度の検討など、さまざまな実績を積み重ねてきました。

②テレワーク率90%。男女問わず育児や介護をしながら働く社員がいます。
ライフステージの変更により、理想の働き方も変わります。SUNは社員の希望に合わせて仕事を変えたり、勤務時間を調整したり、勤務する拠点を変更したり、社員のニーズにできる限り応えるようにしています。

仲宗根さん女性活躍推進会議で生まれる制度は、必ずしも対象が女性に限りません。体調がすぐれない時に使用できるシックリーブ・セルフケア制度は、男性も利用できますので、給与の減額を心配せずに体調回復に専念することができます。社員の声からを受けてさまざまな制度を整えていますが、昨今日本が抱える男女差の問題を解決するためには、男性が積極的に家庭参加をする環境をもっと整えなければならないとも感じています。

ー子育て中の社員にとって会社がどういう場になればよいと考えていらっしゃいますか。

仲宗根さん:全てを完璧にこなせる人間はいません。結婚した、子どもができた、親の介護が必要になったなど、社員にライフイベントの変化があったときは、少しプライベートの優先度をあげて良いと思うのです。

社員の子育てなどによる会社への影響は一時的なものです。ライフイベントが落ち着いたら、また仕事に本気で向き合ってくれればいい。そのほうが社員の本来のパフォーマンスを最大限に活かせると思っています。

会社というのはひとつの組織ではありますが、社員一人ひとり価値観が違います。多様な価値観がある中で、どう会社を作っていくかというのは設立当初から意識した観点であります。

ー仲宗根さんは海外生活していた時期もあるそうですね。そうした体験が、多様性を尊重するという考えのもとになっているのでしょうか。

仲宗根さん:そうですね。 幼少期に3年ほどアメリカに住み、現地の学校に通いました。いろんな国の子どもたちと一緒に授業を受けたりスポーツをしたりした経験が、今考え方の一部になっていると思います。

フルリモートで毎日が楽しい!白井さんの働き方

白井 理也さんプロフィール

職業:システムエンジニア
お子さんの年齢:7歳(小学2年生)
居住地:東京
勤務形態:正社員

SES(システム・エンジニアリング・サービス)という、クライアントにエンジニアを派遣するサービスの仕事で、管理職として複数の業務を遂行しています。かつてのSES業界はクライアント先に常駐することが多かったですが、コロナ禍の影響もありリモート可とする仕事も多くなりました。

ー入社のきっかけを教えてください。

白井さん:前職でも正社員としてエンジニアをしていました。今後の自分のキャリア形成について考えていたタイミングで、仲宗根社長から声をかけてもらったのがきっかけです。エンジニア主導でいろいろなことにチャレンジできる環境に魅力を感じ、入社しました。

現在は、クライアントの業務システムをクラウド化する案件に携わっています。開発だけではなく、お客様ニーズをお聞きし、システムに落とし込む要件定義や、システム導入後の運用支援まで対応しています。

白井さんのお仕事環境

ー育児休暇を取得されましたか?

白井さん:SUNに入社した時、子どもは3歳だったので当社では育児休暇を取得していません。前職時代に、子どもの出生時に休みを取り、新生児の育児から積極的に参加していました。

夫婦で一緒になって初めての育児に右往左往していた時間は今でも笑い話になりますし、短い期間でも子どもは日々成長するので、間近で見られたのはとてもよかったと思います。こうした実体験もあり、管理職の立場として、男性女性問わず育休を取得しやすい雰囲気作りをしています。

ーどのようにして雰囲気づくりをされているのでしょう?

白井さん自分が取得した時の経験談を伝えています。

私は、妻の出産予定日の数週間前から作業の調整をしておき、一人で抱える仕事がないよう準備していました。育休から復帰した後も、自分しかできない作業はないという状態で、家庭の状況も考慮しつつ、少しずつ業務に戻ることができました。

こうした経験をふまえ、現在はSUNの管理職として、育休を取得した部下が復帰した後は、本人と複数部署を交えて、キャリアの方向性などを話し合うようにしています。本人の意思を尊重した上で、クライアントの適切なアサインや、時短勤務も含めた働き方について、一緒に考えていきます。

ー今は、フルリモートでお仕事されているそうですね。

白井さん:はい、1日8時間のフルリモート勤務です。基本的に家にいるので、学校の話を聞いたり、宿題を見てあげたり、寝る前に絵本を読んであげたり、平日も子どもと接する時間をとることができ、毎日が楽しいです。

お子さんと過ごす白井さん

ー現在の働き方のメリットと課題について教えてください。

白井さん:私の家庭は共働きなので、フルリモートになり仕事と家庭の調整が柔軟にできるようになったことがメリットです。子どもの急な体調不良や、学校からの呼び出しがあった際は、私のほうで業務調整し、通院やお迎えに行くことができるようになりました。
テレワークが普及する前は、私と妻のどちらがお迎えに行くのか、行くとなった場合は、移動時間込みで業務調整しなければならないなど、多くのストレスがありました。

テレワークの課題は、管理職としてのマネジメントの難しさです。社員同士が顔をあわせる機会が少なくなり、意識しないとコミュニケーションが減ってきてしまうことです。
そのため、作業メンバーとは密に話ができる時間をスケジュールに登録し、仮に仕事の話がなくても雑談ができる状況を作るようにしています。
またそれ以外のメンバーとも定期的なイベント開催や定例の打ち合わせ開催など、交流する機会を作っています。

ー子育てをする上で、会社の制度で良かったと思った制度は何でしょうか?

白井さん:制度ではないのですが、経営層が家族思いの人ばかりです。家族や子どもから好かれる会社を作りたいと言う社長や、積極的に家事育児に関わっている専務や取締役など、会社全体が温かい雰囲気に包まれています。時短勤務の社員が参加する会議で、長引きそうな時は、退勤時間になると経営層や上司から「退勤時間なので抜けていいですよ」と声掛けをしている姿をよく見かけます。

理解ある環境にいることで、自然と社員も仕事と家庭という両方の役割に対して、最大のパフォーマンスを出そうとしているように感じます。

ー家族や子どもから好かれる会社を作りたいというのは、どのような思いからでしょうか?

仲宗根さん:単純に私が子ども好きなので、お子さんとの時間を大事にしてほしいというのが一つです。それから社会全体を考えると、今後の日本を支える子どもたちから選ばれる会社を作っていかなくてはなりません。そういう会社を目指したいという話は、常々社員にも伝えています。

先ほど白井が話してくれた社内の空気感は今後も継続しつつ、男性女性という言葉をなくすぐらい育休制度を作っていこうと考えています。当然子どもがいない社員もいますから、子育てに関連以外の制度整備も必要です。失敗する制度も沢山できると思いますが、社員の声を大切にし、チャレンジ精神を持って、社員のためになる新たな制度を作っていきたいですね。

編集後記

ライター・Y田

インタビュー終了後、なんと仲宗根社長から、はたママ編集部へ逆質問!
「いろいろな会社にインタビューする中で、おもしろいと思った制度は?」「海外の企業と日本の企業で、考え方に違いはありますか?」などなど。もっと「SUN」をよくしていきたい、社員が働きやすい会社にしたいという強い思いが感じられました。

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