仕事と育児、全て両立できることを体現したい

経験豊富なIT人材が不足している中小・ベンチャー企業に対して業務のデジタル化、自動化、DXの支援を行っている、株式会社エッグシステム。「献身的な人のためにITシステムを活用する」という理念のもと、設立されています。
今回は、同社の代表取締役の高橋翼さんに事業内容、ご自身の育児と仕事との両立に関しても伺いました。

株式会社エッグシステムとは

御社の事業内容を教えてください。

中小・ベンチャー企業向けにシステムコンサルティングとシステム開発を行っています。

会社のIT戦略・IT投資計画を策定し、システム導入計画をたててシステム導入を支援する、といったコンサルティング業務が中心です。また、バックヤード部門の方が苦労している業務を効率化するためのツール開発、セキュリティやネットワークの相談など、よろず相談のような形で伴走支援しています。

具体的には、主に下記3点のサービスを展開しています。

1.『ITプロシェアサービス』

弊社のコンサルティングエンジニアのリソース・知見・ノウハウをシェアし、IT戦略策定やシステム企画といったシステムコンサルティングから、システム導入や自動化ツール開発といったシステム開発・運用管理まで一貫して行います。

 『コンサルティングエンジニア』とは

https://eggsystem.co.jp/about/consulting-engineer

2.『IT統制サポート』

上場企業や上場準備中の企業向けに、IT統制の整備・構築・改善を支援します。

3.『原価管理サポート』

手間と時間がかかる原価管理業務を半自動化させて、原価計算から仕訳データ生成までを自動で行います。

株式会社エッグシステム
https://eggsystem.co.jp/

エッグシステムの働く環境について

会社の取り組みや制度、課題に関して教えてください。

取り組みとしては、社員全員がフルリモートワークを行っています。物理的な出社はなく、オンライン上にあるバーチャルオフィスへ出社し、バーチャルオフィス内で打ち合わせ等を行っています。

また、勤務時間に柔軟性をもたせており、出勤・退勤時刻は個人で選択可能、中抜けなどの一時的な退勤が自由、といったルールがあります。


社内での反応は、物理的な出社が不要で、どこからでも勤務が可能であるため、転勤や引っ越しをしなくても弊社へ参画できる点が喜ばれています。実際、社員は全国各地に住んでいます(栃木、愛知、香川等)。弊社はフルリモートが中心になったということもあり、社員の居住地に囚われずに雇うことが可能になりましたね。

あとは、家事や介護をしながら勤務できる点でも好評です。家事のため、夕方一時的に中抜けして、夜になったら勤務を再開するといったことが実現できています。

課題としては、オフィスで直接会って話しているわけではないため、コミュニケーションが不足しがちになる点です。

お互いの性格や保有スキルなどを把握しにくくなってしまいます。

そのため、現在は月1で社内勉強会を開き、お互いの経験や今対応している案件について話し合ってノウハウを共有する取り組みを実施中です。この取り組みを実施し、回数を重ねるごとに社員が

「どういう人か」

「何をやっているのか」

といった、人となりがわかってきましたね。そういうバックグラウンドがわかると、質問はしやすいですし、コミュニケーションも円滑に取れますから。


あとは、福利厚生として、働きやすい在宅勤務環境を整えるために「PC周辺機器の経費負担」「PCを自由に選択可能」「書籍購入やセミナーへの参加費用を負担」「整体・マッサージ手当(月2回、1万円まで)」という制度があります。

➖コアタイムはありますか?

社員一人ひとり取り巻く環境は違うので、コアタイムは設けていません。原則として、社員は9時から18時の間で勤務しています。出勤時間がそれぞれ違う、という感じで、概ね日中働いているという状況です。

創立は2017年ですが、当時は出社が通常のスタイルだったのでしょうか? フルリモートになった経緯を知りたいです。
創業当初は一人だったので、都内のオフィスで仕事していました。当時は自宅から都内のオフィスに通っていました。現在は社員全員フルリモートなので、登記はしているものの物理的なオフィスはありません。
きっかけとしては、やはりコロナですね。

元々、弊社ではコロナ以前からリモートで打ち合わせをするなどしていました。ただ、当時は取引先の方がリモート環境に慣れていらっしゃらなかった。お客様先にご訪問する、お客様先でデスクを借りて常駐して作業をするということを2019年頃までやっていました。
会社としてはフルリモートですが、お客様は全国にいらっしゃるので、頻度は多くないものの、出張してお客様先に出かけるということはしています。

自宅で仕事をしている高橋さん

高橋 翼さんのプロフィール
職業 システムコンサルティング
お子さんの年齢1歳7ヶ月
居住地 神奈川県
勤務形態 フルリモートワーク(自宅勤務)

株式会社エッグシステムについて

エッグシステムを起業されたきっかけを教えてください。

個人事業主として自宅で働く父親の影響を受けています。

「いつかは独立して家族との時間を大切にしながら仕事をしたい」

という考えが自分に根付いていましたね。

具体的に起業に向けて行動するきっかけとなったのは、

「最も尊敬する先輩と一緒に仕事をしたときに感じた理不尽さ」

がありました。

当時、先輩と私は大手企業の一大プロジェクトのマネジメントを任されていました。先輩は誰よりも真面目に、誰よりも一生懸命に取り組み、そしてそのプロジェクトに時間をかけていました。にもかかわらず関係者からの反発を受けてしまい、思った通りの成果へ結びつかず…。先輩が悔しがる姿は今でも鮮明に覚えています。当時の私は自分の無力さを感じると同時に

「真面目に仕事へ取り組み、良い方向へ導く努力をしている人が、なぜ報われないのだろうか?」

と思い、献身的に行動する人が正当に評価されるような環境を作りたいと思い、起業に向けて行動しました。

先ほどのお話の中で、「正当に評価されるような環境を作りたい」とおっしゃっていましたが、高橋さんはどういうことを心がけているのでしょうか?

成果は成果として大切ですが、途中経過を見ることが大切だと思っています。
少し抽象的かもしれませんが、私はやる気やその人がその仕事に懸けている想いや熱量を把握することも大事だと捉えています

やる気がある人は、行動にも現れてきます。積極的に質問をする、自発的に勉強する、といった具合に。

リモートワークという状況で、どうやって判断されているのでしょうか?

リモートワークの環境下では、判断するのは確かに難しいです。ただ、

純粋に頑張っている人は、アウトプットに何かしら現れてきます。

自分の立場上、社員が作った資料に目を通す機会が多いのですが、読むと努力の加減を読み取ることができます。あとは、わからないことは積極的に質問するといった姿勢からも伝わりますね。

高橋さんの育児と仕事のバランスについて

現在の働き方を教えてください。

フルリモートで8:00〜17:00の8時間勤務しています。日中中抜けした場合や業務繁忙の場合は、子どもを寝かしつけた後(21:00頃)から働くこともあります。

現在の働き方のメリットと課題について教えてください。

メリットは、

・子どもと一緒にいる時間を長くできている

・育児や家事などで日中一時的に対応しなければならない状況になっても対応できる

・電車移動がないためストレスなく働くことができている

課題は、

・社内、社外問わず、意識的に気をつけていないとコミュニケーション不足になってしまう

・お客様からすぐに現場へ来て欲しいと要望された場合は対応できない(現時点では発生していません)

・運動不足

という点ですね。

育児との向き合い方について

ご家族ともに育児に向き合っていると思いますが、ご自身の生活や仕事のスタイルは変化しましたか?

子どもが生まれる前は、代表なので勤務時間が長く、夜も長く働いていました。土日も関係なく仕事をしていましたしね。それが妻の出産からは自分の時間の使い方が変わりました。 いわゆる通常の時間帯、8〜17時という短時間で成果を出すことを目標にしました。と、決めてもなかなかできないものですが。だからこそ、 強制的に仕事の時間を区切るように自分を律しています。

奥様が出産された時はどういう風にお仕事をされていたのですか?
妻は里帰り出産したので、私も一緒に妻の実家で1ヶ月半ほど過ごし、仕事もおこなっていました!
子どもの首が座るか座らないかの段階で当時住んでいた家に戻り、妻と2人で育児をしていました。

今は、時々親の手を借りつつも、夫婦で育児に向き合えていると思います。

育児を通して、自分の考え方が変わったと思う点はありますか?

子育ては自分が思っている以上に大変! 同時に親への感謝が生まれましたし、世の中のお父さんやお母さんに賛辞を贈りたいです。働きながら子育てをするって…本当にすごいことですからね。

子育ては続きますが、今後のご自身のキャリアをどのように考えていらっしゃいますか。

仕事を取ったら育児は諦める、育児をとったら仕事は諦める、といったように、何かを得て何かを失うという考え方が自分には合っていないので、仕事も育児も全て両立できることを体現したいと思っています。

また、会社としては、リモートワークを活用することで全国各地どこからでも勤務できるため、社員もお客様も全国各地にいる状態を作り、地域活性化の一助も担いたいですね。全国各地にはまだまだデジタル化が進んでいない企業様がたくさんあります。今後労働人口が減少することは確実ですので、少ない人数で多くの業務を担える状態を作るためにデジタル化の推進が必須であると考えています。

全国各地にいる弊社の社員のみんなで、全国各地にいるお客様のデジタル化を推進する状態を作っていきたいです。正直に言うと、まだまだデジタル化の浸透は難しいと感じることもありますが、少なからず数年前よりWEB環境が整ってきました。だからこそ、これからも諦めず、私の地元である静岡での活動を中心に、デジタル化の推進を行っていきたいと考えています。

編集後記

「父親が、自分が小さい頃から起業していたため、自宅に父親が自宅にいるのが当たり前の環境だった」と話してくださった高橋さん。「だとしたら、きっとお子さんも起業されて自宅で働かれるかもしれませんね。」とお伝えしたところ、「自分もそうだと思います!」とにこやかに話してくださいました。働く環境が子どもの安心感につながるのだなと改めて感じたインタビューでした。だからこそ、子どもが“誇りに思う背中”に成長したいです!