エンジニア派遣事業を中心に、業務委託や自社プロダクトサービス事業を展開する株式会社アウトソーシングテクノロジー。同社で2021年から活動を開始したのが、有志の女性社員による女性活躍推進プロジェクト(ジョカツ)です。取締役がオブザーバーとして参加しているトップ肝いりのプロジェクト。今回は13名のメンバーのうち、4名にインタビュー。活動内容や社内での反響など詳しくお話をお聞きしました。(画像左から、若林さん・羽賀さん・石井さん・徳永さん)
目次
ジョカツ立ち上げ秘話と変わっていった目的
―まずはジョカツの目的から教えてください。
若林さん:今はボトムアップ型での運営ですが、実は始まりはトップダウンだったんです。2018年に、当社グループの会長から、グループとして女性活躍推進プロジェクトを始めるよう指示がありました。
当社を含むグループ企業は約270社あり、うち220社が国外、36か国に事業展開しています。海外のグループ会社には女性のボードメンバーも在籍しています。会長も各会社の経営陣と話をする中で経営陣に女性メンバーがいる意義を実感し、日本でも女性役員を輩出したいと考え、話がおりてきたのです。
そのため、当初は「役員を輩出する」ということを目標に、そのためには何が必要か、3年ほど議論や模索を繰り返していました。「女性活躍推進とは何か」「海外と比べて、なぜ日本では女性が活躍できないのか」などなど、月に1回マネジメント研修のようなかたちで、課題を自分たちにインプットしていきました。
そうした学びを下地にして、2021年からは、女性役員を出すこともひとつの目標にしながらも、前段階として全社員が活躍できる環境づくりをミッションとしました。
―有志とのことですが、どのようにしてメンバーは集まったのですか?
若林さん:子どもの有無に関係なく、ボードメンバーになりうる可能性のある女性を、各部門長が推薦したのが最初です。その後、全社員対象のミッションに変わったタイミングで、時短勤務をしている石井さんと羽賀さんにも入ってもらいました。
徳永さん:私は初期の頃から参加しています。ちょうど自分のキャリアについて考えているときだったからです。活動を続けていくうちに、対象が女性だけでいいのかという議論も起こりましたが、女性の目線で会社を見るのは私たちだからこそできることだと気付きました。スタート時とはミッションが変わりましたが、自分たちで考えて決められたことがすごく良かったなと思っています。
ジョカツで実施した活動。アンケート結果に驚くことも。
―メンバーの方は、日常の業務と並行してどのように活動されているのでしょうか。
羽賀さん:例えば、セミナーを開催する場合は、資料を作成するチームと内容を考えるチームに分かれて準備をします。今後の活動方針をまとめたときも同様で、チームごとにチャットやウェブ会議で情報を共有しながら進めていきました。ジョカツ全体の会議は、月1回程度行っています。
1・子育て中の社員や管理職の声をヒアリング
徳永さん:上長経由で声をかけさせてもらうなどして、計51名にインタビューしました。その中で、仕事と育児の両立で働きづらさを感じている人がいること、管理者も対応方法や相談先がわからず困っているのではないかという実態が浮かび上がってきました。
社員の声(一例)
・復職時に在宅勤務が出来る部署への異動希望が出せたら家庭と両立しやすいのに
・子どもの病気で休むときやお迎えで早く帰宅するときは、後ろめたく感じてしまう
2・管理者向けセミナーの実施
石井さん:管理者に対しては、産育休を取る予定のエンジニアや部下に対してどんな選択肢があるのか、基本的な制度のほか、お金のことや福利厚生についても説明をしました。開催後のアンケートも、ポジティブな回答が多かったので、開催してよかったと思いました。
若林さん:一番最近のセミナーでは、内勤の社員約1000名のうち300名ほどが参加してくれました。男女比はほぼ半々で、ジョカツの活動に興味があるかどうかアンケートを取ったところ、男性社員も皆さん興味があると回答してくれて、驚いているところです。
「セミナーによって、育休を取っていいんだという安心感を持てました」という回答もあり、認知することの大切さをとても感じました。
育休から復帰して、時短で働きながら活躍する社員は以前からいたのですが、私自身はそういった情報にふれる機会があまりなかったんです。なので、ジョカツを通じて、いろんな働き方があって、それぞれ活躍しているんだよということを社内に認知していければと考えています。
そして、次の段階として、男性社員も女性社員も、お客様先で働いているエンジニアを含めた、全体向けの説明資料を作成中です。
3・事務営業向けセミナーの実施
石井さん:社員が制度について正確に答えられることで、産育休取得を考えている人に安心感を持っていただきたい、次のキャリアパスを自分でつくれるような社内の風土をつくっていきたいという思いで開催しました。
4・ポジションマッチ
若林さん:育休から復帰したものの、派遣するお客様先が見つかりにくく自宅待機されているエンジニアに対する支援策です。内勤で人手が足りない部署はたくさんあるのに、エンジニアの多くはお客様先で働く前提があるので、働く意欲があっても待機しているという現状に、矛盾を感じていました。そこで、時短勤務やリモートでできる業務がある部署の情報を募り、ジョカツで取りまとめています。
今年初めて実施し、2022年10月現在で、5名ほどがこのポジションマッチを使って内勤に移動しました。
5・復職面談シート
石井さん:「復職面談シート」は、復職支援の一環としてジョカツで作成した、面談用のヒアリングシートです。管理者が使うものですが、私たちキャリア支援をするチームでも使っています。休業前、休業中、復帰後で、悩みの種類が違いますので、使い分けできるよう3種類のシートを用意しました。私自身も出産後働き方に対して悩んだことも多かったので、シートを活用することで、会社と当事者の間で認識の齟齬がないよう支援できればと考えています。
活動する中で見えてきた、課題と今後のこと
―現在の活動を展開する中で課題は何かありますか?
若林さん:有志団体という位置づけですから、今後どこまで行えばいいのか会社と議論する必要があります。
徳永さん:「名前をどうするか」問題もありますよね。ジョカツの認知度が上がって、入りたいという方も増えているので、組織を広げていくのかどうか考えないといけません。
「セミナーは介護も対象ですか」というメールをいただいたこともありました。今は子育て支援ですが、 介護と仕事の両立支援も課題だと思います。
―今後に向けて意気込みを一言ずつお願いします。
羽賀さん:この1年間でジョカツが社内に浸透してきていることを実感しています。社員全員が自分らしく生き生きと仕事ができるよう、活動していきたいです。
石井さん:時短勤務でも、キャリア形成ができて楽しく働けることを、ジョカツを通じてみなさんに共有できればいいですね。
徳永さん:私はもうすぐ産休に入ります。ジョカツの活動を始めたときは、結婚も妊娠もしていなかったのですが、先輩の皆さんがたくさん活動されてきた中で今の会社のかたちがあるんだなと感じています。それに「タダ乗り」しないよう、後進のためにもがんばりたいなと思います。
若林さん:会社づくりは、役員や管理部門だけがやって行くものでもないと、いろいろと活動しながら実感しています。社員みんなでつくっていくことを楽しめるようになれたらいいなという思いがあるので、私はジョカツを通して全身全霊で楽しんでいきます!!
株式会社アウトソーシングテクノロジーはこんな会社!
事業内容
エンジニア派遣事業を中心に、業務委託や自社プロダクトサービス事業を展開しており、人材のプラットフォームとして機械・電気電子・半導体・IT、ソフトウェア・建設・医薬など、幅広いセグメントのエンジニアが所属しています。
経験者のみならず未経験の人材を正社員として雇用、育成し、エンジニアとしての一歩を踏み出していただいています。近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれる、私たちの生活をデジタル活用によってより便利にしていく取り組みが広がっていますが、当社も企業のDX支援として、デジタル活用による生産性の向上や業務効率化を支援しています。
https://www.ostechnology.co.jp/
エンジニアのスキルアップを支援する活動が充実しています!
編集後記
本業や子育てに加えて、有志の活動にも取り組むジョカツの皆さんの行動力に脱帽です。取材に同席してくださった広報の方からも、「メンバー皆さんパワフルで、会社を明るい方向に引っ張っていってくれる存在」「ジョカツの活動が企業のブランディングにもなっている」とのことです。ジョカツの皆さんの活躍が、後進にさらなる道を開くことでしょう!
若林聖子さん
業務内容:ITエンジニアの採用
お子さんの年齢:4歳、2歳
羽賀妃香里さん
業務内容:事務(会議の運営、M&A関連、秘書業務)
お子さんの年齢:2歳
石井えみさん
業務内容:キャリアアドバイザー(面談、キャリア支援、研修)
お子さんの年齢:9歳
徳永小百合さん
業務内容:地方創生・MaaS事業推進課にて、地方創生事業
お子さんの年齢:現在第一子妊娠中