銀行員からデザイナーへの転身で叶えた、フルリモートという働き方

働く女性のライフイベントにも柔軟に対応している株式会社ライボでは、2021年3月に初のフルリモート勤務の社員が誕生しました。その女性、高橋奈津美さんは、銀行員からデザイナーに転身し、さらに、子育てのために東京にある本社から離れた福岡でのフルリモート勤務を選択。自身のやりたい仕事、やりたいライフスタイルを叶えています。そんな高橋さんに、これまでのキャリアやフルリモートの実際などお話を聞きました。

高橋奈津美さんプロフィール
職業: デザイナー
お子さんの年齢: 1歳6ヶ月
居住地: 福岡県

銀行からスタートアップベンチャーへ

―まず、現在の仕事内容について教えてください。
当社の『JobQ』というサービスのアプリと Web のデザインや、コーポレート系のクリエイティブの作成 がメインです。

―ライボさんに入社するまではどのようなお仕事をされていましたか?
大学卒業後、出身地にある銀行に就職しました。東京で働きたくて都内のネット銀行に転職し、さらにその後スタートアップベンチャーの会社に入社しました。

―スタートアップに行かれた理由は何ですか?
プログラミングの勉強をしていて、犬も飼っていたので、IT×ペット系の仕事がないか探していたんです。それで、興味を持った会社に話を聞きに行ったところ、手伝ってほしいということだったので入社することになりました。その後また金融業界に戻り、信託銀行を経て、2020年4月にライボに入社しました。銀行では合計13年間働きました。

―信託銀行から再びIT系に転身されたのですね。
銀行の業務は、マニュアルがきちんと決まっているんです。私はローンの審査に携わっていたので、尚更 ルールが明確にあって、ルールの通りにミスなくやっていくことが求められていました。ところがスタートアップベンチャー企業は、事業を伸ばすためならと、自由に裁量が与えられていることが多いんです。逆に自分から動かないと成果は出ません。
それから、銀行ではやはり勤務時間もきちんと決まっていました。スタートアップベンチャーだと最低限のルールはあるけれど、時間の融通が効いて、一日の中の時間の使い方を自分で決められます。業務内容も勤務時間も自由度が高い点が、自分には向いていると思いました。

高橋さんの仕事風景。フルリモートのためにデスク環境を整えました

―ライボさんに入社したきっかけは何ですか?
夫が先行してライボでエンジニアとして働いていたので、その紹介で入社することになりました。入社する前から私はデザインの勉強をしたり、個人でデザインを請け負ったりしていたので、デザイナーとして入社したいと希望を伝えて拾ってもらったという感じです。
ただ、入社の条件として、会社での業務経験がないままデザイナーになるのは厳しかったので、これまでの銀行勤務を生かして、バックオフィスの方をやりながら他のデザイナーさんのお手伝いをするというかたちでスタートしました。

―まだ小さなお子さんを抱えて新しい会社に入ることに不安はありませんでしたか?
めちゃくちゃ不安でした!でも、私の性格をよく知っている周りの人や、当社の小谷社長からも、ライボに転職した方がいいと言われたんです。不安ながら周りに背中を押されたという感じです。デザイナーとしてやっていきたいという自分自身の思いもありました。

フルリモート勤務の実際は?

―2021年3月からフルリモート勤務とのことですが、きっかけは何ですか?
フルリモートは、どちらかと言うと夫が主導で進めました。東京で1人目の子どもを育ててみて、親が遠方にいるという環境は大変だなと実感したんです。それで、夫の地元である福岡に行く=フルリモートということになりました。
もともと東京で勤務していた時も、コロナ禍のため基本はリモートで働いていたので不安はなかったですね。当時は、みんなと会いたい時や対面で話をしないといけない時などに、週に1回もしくは、2週間に1回に出社するというペースでした。

―会社にフルリモート勤務を切り出す時の心境はいかがでしたか?
夫は同じ会社で業務委託の形態で働いているんです。当社は、業務委託なら全国どこで仕事をしてもいい、正社員であれば要相談という規定があります。なので、夫はフルリモートでもOKなんですよね。そこで夫が「子育てがこれから大変になるから福岡で仕事をしたい、高橋(妻)も連れて行く」というようなことを社長に話してくれました。社長も子育てに関して理解があり、融通を利かせてくれました。なので、すごく交渉して頑張って福岡に行ったというわけではありません。 サクッと相談したら柔軟に会社側が対応してくれて、とても感謝しています。

デスク周りに癒しのグリーンを置いて

―フルリモートだと、社内でのコミュニケーションのとり方も変わってきますよね。どのように工夫されていますか。
最初は東京にいる時と同じようなやり方でやってみたんです。ところが、離れている環境で仕事をしているからか、私が何をやっているか分からないといった声も一部でありました。そこをどのようにして共有していくかが一番の課題でした。
タスク管理ツールを当社で使っているんですが、それまではデザインとプロダクト開発とで分けられていたものを、プロダクト開発の中にデザインも入れてもらって、私の動きがみんなに周知されるようなシステムに変えました。それから、週1回社内の人と1on1を組んでもらって、私の動きがちゃんと共有されているかフィードバックもらうようにしました。さらに、エンジニアや開発チームのミーティングに積極的に入れさせてもらうなど、顔を出してみんなと話す時間を増やす工夫をしています。

―フルリモート勤務になって良かったのはどんなことですか?
通勤時間がないから勤務開始から勤務終了までフルで仕事に時間が使えることです。そして離れていて直接話せないからこそ、仕事の話をした時にテキストに残るような形にして共有するという思考になれたのはよかったのかなと思います。

―夫婦2人で在宅勤務だと、さらに時間の融通が利きそうですね。
今は2人で仕事をして、2人で子育てをして、2人で家事をするというかたちで、ほぼ半々のタスク量でやれているので、それはすごくありがたいなと思います。

―仕事と育児の両立で工夫していることはどんなことですか?
夫を上手に使う……協力を上手に仰ぐことでしょうか(笑)。いくら義理の両親が近くにいて助けてもらえるとはいえ、やはり一番近くにいる夫の協力があるからこそ、今の仕事ができていると思います。

家族で近くの海へおでかけ

―今後の目標について教えてください。
今は社内のデザイナーが私1人という状況で、 デザインに対する信頼がまだまだないフェーズの会社だと思います。ですから、他の職種の人たちと協力しながらいいプロダクトを作ることで信頼を高め、会社に貢献できるようなチームを作り上げていきたいですね。

はたママ読者へのメッセージ

―最後にはたママ読者へメッセージをお願いします。
銀行で働いていた頃の自分にアドバイスするみたいな形になると思いますが、柔軟な働き方をしたければ、ジョブチェンジを選択肢に入れてもいいと思います。私は13年間銀行で働いてきて、銀行でしか転職できないと思いこんでいました。ところが、周りの人の協力もあって、ラッキーなことにジョブチェンジできて、今フルリモートという働き方ができています。こういうことも起こり得るので、いろんな人に相談するとか、勉強を始めるとか、チャレンジしてみる価値はあると思います。  

編集後記

「2人で仕事をして、2人で子育てをして、2人で家事をする」という言葉に、充実した毎日を送っている様子が伝わってきました。小さな子どもを抱えながら、思い切って新しい環境、新しい仕事に飛び込んだ高橋さん。銀行員とデザイナー、まるで違うようですが、原理原則を理解して業務を進めることに共通点があるのかもしれないとも話してくださいました。得た経験をどう今後に生かしていくかは、自分次第なんですよね。

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。