「育休取得は個人のキャリアを止めず組織へつながる」スタートアップ企業で初の育休を取得したパパ社員に聞く


スタートアップ企業というと、福利厚生やライフステージに関わる制度を心配する人も少なくないのではないでしょうか。
全国7800軒の生産者さんからこだわりの新鮮食材やお花などを直接購入できる産直通販サイト「食べチョク」をリリースしたスタートアップ企業である株式会社ビビッドガーデンでは、男性社員が育休取得をするなど積極的に働きやすい環境を整えています。 今回は、同社で初めて育休を取得した男性社員の平野俊輔さんに話しをお聞きしました!

チームとしてボトムアップし働きやすい環境を

ー貴社の事業内容を教えてください

弊社では、生産者からが直接食材やお花などを購入できるオンラインの直売所「食べチョク」を運営しています。 購入者の好みに合わせたセットが届くおまかせ野菜定期便、「食べチョクコンシェルジュ」や旬の果物が届く定期便、「食べチョクフルーツセレクト」などさまざまなサービスも展開し、国内産直サイト3年連続No. 1を獲得しています。
2021年からは個人向けだけでなく、企業様向けの法人サービス「食べチョク for Business」も開始しました。

ー働きやすい環境への取り組みや制度などはありますか?

コロナ禍をきっかけに、現在はリモートと出社のハイブリッドの働き方を実践しています。
出社率はチームごとにまちまちですが、私が所属しているプロダクトチームは基本フルリモートです。ただリモートワークだと、どうしてもコミュニケーションが取りづらくアイディアを吸い上げづらい環境になってしまうので、バーチャルオフィスを導入しました。基本は、そこで仕事をするチームが多いですね。このような取り組みは人事が制度として浸透させたわけではなく、各チームが自律的に「こうした方が働きやすい、事業成長につながりやすい」という観点でルールを考えボトムアップされ定着することが多いです。
また、中長期でパフォーマンスを出せるようにするのが大事という雰囲気が社内で浸透しているので、体調や家庭で何かあった時はそちらを優先できる環境があるので安心して働くことができます。

きっかけは「最大の後悔は育休を取らなかったこと」という言葉

平野俊輔さんのプロフィール

職業:エンジニアリングマネージャー/人事
お子さんの年齢:1歳
居住地:東京都

ー早速ですが、育休はどのくらいの期間取得されましたか

共働きだったので僕は2ヶ月間、妻は10ヶ月間育休を取得しました。
コロナ禍中の妊娠だったので、私が出産に立ち会えなかったり保活の状況が把握しづらかったりとバタバタしましたが、今年の4月から子どもを保育園に通わせることが出来ました。

ー育休取得する男性社員は周りにいらっしゃいましたか

実は弊社での育休取得は私が初めてです。
そもそも育休を取りたいと思ったきっかけは、前職で一緒に働いていた先輩社員の数人から「最大の後悔は育休を取らなかったことだ」と口を揃えて言っていたことでした。
実際に育休を頂いて2ヶ月間子育てに専念しましたが、妻も自分も体力的にも精神的にも負担が大きいことを実感しましたね。あの期間に仕事をしていたら、妻との間に一生かけても埋まらない溝が生まれそうだなと感じました。

ー育休取得第一号だったのですね!育休取得について社内でどのような反応がありましたか

会社としては短期的な成果も必要ですが、メンバーの働く環境も大切だと考えています。
なので、育休の相談をしたときも取得することを前提に「どうやったら安心して育休を取れるのか?」「復職するまでどのように業務をサポートしていくか」について積極的に話し合いを設けてくれました。
社内のメンバーとの関係も大事ですが、それ以前に家庭内での関係がよくないとちゃんと仕事に向き合えないと思っていたので、自分はそこにコミットしたいということも伝えました。結果、育休の前例ができたことで、後に続く社員が育休取得しやすくなったと思います。

ー仕事の引き継ぎなどはどのように進めていきましたか

まず、多岐にわたる業務をリストアップしました。育休に入る前にここまでは終わらせるけれど、残ってしまう業務もある。でも、会社が前に進むためには大事な業務だということを社内のメンバーに伝えました。そのタイミングで「この範囲は自分がやりますよ!」と手を上げてくれるメンバーが多くいたので有り難かったですね。個々の業務量が適切になるように会社として動いてくれたのも大きいです。

会社との接点があることで疎外感なく育休を取れる

ー育休取得されて改めて感じたことはありますか

生まれて最初の1、2ヶ月は子どもの成長が著しい時期だと思いますが、そこに立ち会えたのはよかったですね。記憶がないくらい忙しかったことは確かですが(笑)。
でも大変だと体感できたからこそ、妻一人に任せず育休を取得する必要性を改めて感じました。なので、社内で育休について相談された時は大前提として取得した方がいいよと伝えますし、実際に育休を取得した社員もいます。

ー育休中も社内の状況を把握する機会はあったのでしょうか

スタートアップ企業ということもあり、育休中の2ヶ月間だけでも、プロダクトの開発フローや会社の方針がガラッと変わってしまうこともあります。なので、復職した時に社内の状況が把握できるように月次の全社会にはオンラインで参加していました。会社との接点があることで疎外感を持たず、安心してお休みを取れました。

ー復帰後はスムーズに仕事ができましたか

先ほど話したように育休中の状況はわかっていたので、翌々日くらいには育休前のパフォーマンスを出せていたかなと思います。以前と変わりなく働く様子を見て、周りのメンバーも育休後でも活躍できると思ってくれたのではないでしょうか。
正直、復帰して1週間程度は大変だと思うこともありました(笑)それでも、置いてけぼりにすることなく当たり前のようにサポートしてくれたメンバーには感謝しています。
育休前に分担した仕事は自分に戻したものもあれば、自分以外のメンバーが出来るようになった業務に関しては引き続きお願いするものもありました。
結果的に、属人性が高かった仕事を無理やり剥がす機会になり、組織全体の守備力が向上したという副次的効果は実感しています。

ー育休から復帰した時はまだお子さんも生後2ヶ月で大変な日々だったと思います。どのように乗り越えていったのでしょうか

乗り越えられたかというと乗り越えられてはないです。私の育休が終わった頃は夜も2時間おきに子どもが起きてしまう生活で…。妻は引き続き育休中だったので、バランスを取りつつ夜の対応を妻にお願いする時もありました。
夫婦で相談しながら協力し合い、今に至っています。
今日も4時くらいに夜泣きで起こされました。しょうがないですが、なかなかキツイ時間に起こされる日々ですね(笑)。

育休を取ってもキャリアは止まらない。チャレンジする父親の姿を見せていきたい。

ー自身のキャリアや父親として、今後どのように考えていますか

育休を取得してキャリアが止まったわけではないですし、仕事に対する考え方は以前とあまり変わっていません。
引き続き会社を強くする為に縦横無尽に働きたいと思っています。
ですが、父親として育児に関するお金の認識は変わりましたね。子どもの将来を考えるとこんなにかかるのかと。
子どもの可能性を狭めないように僕自身、仕事でも趣味でもさまざまなチャレンジをしていきたいです。そういった父親の姿を見せる事で子どもが何かを感じてくれたら嬉しいですね。

編集後記

育休を取るのは当然の権利として最善の方法を考えてくれる社内のメンバーがいれば、気負うことなくお休みを取れますよね。そういった流れを率先して作り上げたビビッドガーデンはいい環境で働いているのだろうなと思いました!家庭での関係が良ければ必然と仕事のモチベーションも上がりますよね。パパの育休は家庭にも会社にもいい影響を与える選択肢なのではないでしょうか。

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