思春期を迎える子どもにも、親が家にいる安心感を

50年以上の歴史を持つIT企業である三井情報株式会社では、在宅勤務をはじめ、さまざまな制度を整えてきました。同社に新卒で入社し、現在は小学生2人のママである市川 祐美さんにインタビュー。仕事を続けてこられたのはしっかりとした福利厚生があったからと話します。
そんな同社の働きやすい環境について、広報・CSV戦略推進部 の竹中さんとグループ人事部の菅野さんにもお聞きしました。

従業員のパフォーマンス発揮に向けコロナ前から在宅勤務を推進

―御社の事業内容を教えてください。
竹中さん:三井情報は過去に多種多様なIT技術に強みを持つ8社が合併して現在に至り、幅広いITナレッジを組み合わせ、「守りのIT*」と「攻めのIT**」の両輪でお客様のDXを支援しています。
*守りのIT:基幹システムや業務システム、情報通信基盤といった企業のビジネスを支えるIT
**攻めのIT:AI・IoTやデータ分析のような企業がデジタルを活用して価値を提供するIT


 
―御社の在宅勤務の状況はいかがでしょう。
竹中さん:弊社では以前より全社の生産性向上を目指し、従業員がライフ&ワークバランスを実現しながらその能力を最大限に発揮できるよう、柔軟な労働環境の整備を進めていました。在宅勤務制度については仕事内容に合わせ、最もパフォーマンスを発揮できる業務環境を自主的に選択し、働くワークスタイルの実現を目的として、コロナ前の2018年から導入しています。国が主催する『テレワーク・デイズ』にも参加し、積極的に推進をしていました。
 
菅野さん:以前より推進をしていましたが、やはり、コロナをきっかけに在宅勤務と出社の併用が当たり前になりました。現在は仕事の内容などにもよりますが、約6割以上が在宅勤務をしている部門もあります。
 
竹中さん:一昨年度から、外部の講師をお招きし、自身のキャリアと人生を考える「MKIキャリアフォーラム」をZoomで開催しています。各講師から投げかけられる質問に対して、それぞれチャットで回答するんです。対面ではちょっと恥ずかしくて話せないような自分の思いや悩みも、チャットだと言えるという面もありました。在宅勤務はコミュニケーションが不足するという話も聞きますが、オンラインの特性をうまく活用すれば、積極的にコミュニケーションを取ることもできると思っています。
 
―そのほか働きやすい環境への取り組み、現在感じている課題がありましたら教えてください。
菅野さん:弊社では、社員一人ひとりが安心して仕事と生活を両立させ、それぞれのライフステージで最大限の能力を発揮できる環境づくりを目指し、ここ数年で各種制度の拡充を行ってきました。
育児や介護に関する制度については、法定を上回る対応をしている制度もたくさんあります。その他、癌や指定難病の際に利用できる「治療支援休暇」、不妊治療の際に利用できる「L休暇」など、どのようなライフステージでも安心して仕事と私生活を両立できる環境になっています。

課題は、これら制度を全ての社員が認知しているわけではないということです。
もちろん必要な人はきちんと理解し、活用していますが、全ての社員が知っているかというと、そうではない状況です。
制度を作って終わりではなく、本当に必要な人が利用しやすい環境をつくっていく必要もあると思っています。そのためには、まずは全ての社員、とくに管理職に知ってもらい、それぞれが「お互い様精神」をもって、利用しやすい環境をつくっていければと考えています。
そのため、現在は社内報で制度を定期的に紹介し、理解浸透を図っています。
 
―育児サークルもあるそうですね。
菅野さん:約40名が所属しており、月1回ランチ会を開催しています。現在はオンラインで開催しているため、拠点関係なく参加することが可能になっています。ランチ会では毎回子育てについてだけでなく、人事制度などについても情報交換をしています。
 
―市川さんは参加されていますか?
市川さん:はい、私もメンバーです。子どもが小さい頃に先輩ママに相談したり、意見が聞けたりする場があって助かりました。
 

子どもの一生懸命な姿を間近で見ることが仕事へのモチベーションに

市川裕美さん プロフィール

職業:事務職
お子さんの年齢:10歳と7歳
居住地:東京都

―御社に入社されたきっかけや築いてきたキャリアについて教えてください。
市川さん:就職活動をしていた頃は、福利厚生や社風が良さそうな会社を探していました。また、ものづくりに携わりたいという思いがあり、エンジニア職を目指そうと決めていました。
そんな中三井情報に出会い、選考が進んでいく中で、たまたま面接日と教育実習日が重なり、事情を人事担当にお話ししたところ、快く日程変更をして下さいました。他社では事情をきいてもらえなかったため、三井情報の柔軟な対応から社風のよさを感じたことが最終的に入社を決めた理由です。
 
入社してからは、
・4年ほどSEとしてシステムの保守・運用業務
・8年ほど技術系事務
・2022年4月より人事業務
に携わってきました。
 
―SEから事務系にキャリアチェンジされたのですね。
市川さん:現在ほど制度が整っていなかった頃に、社内の人たちを陰ながらサポートするような仕事をしてみたいと思い上司に相談して事務職に移りました。それから、仕事の幅も広がり人事部へ異動することになりました。新しいことはやってみたいタイプなので、異動した先でいろんなことを学べるのはおもしろいなと思っています。
 
―育休から復帰して苦労したことはどんなことですか?
市川さん:復職後の1年間は子どもが体調不良で休むことが多く、出勤したと思ったら保育園からの呼び出しですぐ帰るなんてこともあり、大変でした。あとは、生活リズムを戻すことが大変でした。生活リズムが大きく変わることで体力も低下してしまい疲れやすくなっていました。

お仕事をされる市川さん


―現在はどのような働き方をされていますか?
市川さん:フレックスタイムで時短勤務をしています。平均して、週2日出社し、残りは在宅勤務です。
夫はテレワークができない仕事のため、私がテレワークをすることでとても助かっているとのことです。
1日の仕事の仕方としては、午前中は家で1人のため、戦略を考えたり資料作成したり、1人で集中して行う仕事にあてています。午後は子どもたちが学校から帰ってくるため、子どもたちのいない2階で仕事をすることが多いです。テレワークをはじめた当初は、子どもが騒ぐこともありましたが、もう小学生ということもあり、仕事中は静かにしてねと伝えたら状況を理解し落ち着いてきました。
欲を言えば、自分の子どもがゼロ歳のときに在宅勤務できたらありがたかったかなとは思いますが(笑)、今仕事を続けていられるのは、しっかりとした福利厚生があるからだと思っています。
 
―在宅で仕事をしていると、より育児を身近に感じるのではないでしょうか。ご自分にどのような影響を与えていると感じますか?
市川さん:そうですね、とても身近に感じるようになりました。例えば、子どもが勉強や習い事の練習をしたりしている様子をみると、どんなに小さなことでも一生懸命で夢中になっているのです。どうしたらよくなるのか子どもなりに考え工夫をしています。そんな姿を在宅勤務中に垣間見ることができ、私も頑張ろうと前向きな気持ちになり、それが仕事に影響を与えていると思います。私の仕事へのモチベーションをあげてくれるのは子どもたちです。
 
―現在の働き方のメリットと課題について教えてください。
市川さん育児・家事と仕事が両立しやすくなり、家族との時間も増えたことが一番のメリットです。下の子は、私が在宅勤務になったことで、学童は止めました。私としてはもう少し続けてほしかったのですが、私が家にいることに安心感があるようです。
小学生は、乳幼児期のような大変さはありませんが、そろそろ思春期を迎え、心が揺れ動く時期です。子どものちょっとしたサインに気付きやすいという意味でも、在宅勤務制度はありがたいですね。
 
―今後どんな自分になりたいと思っていますか?
市川さん:会社の制度が充実してきているので、家庭と仕事を両立させながら自分のキャリアアップを考えていきたいです。
ワーママでもキャリアアップをあきらめない。それは何事もプラスに考え、自分を信じて新しいことに挑戦し続けていくことだと思っています。
 
―最後に、仕事と育児の両立に悩む新米ママにメッセージがありましたらお願いします。
市川さん:初めての育児はわからないことも多いですよね。そんなときは1人で悩まず会社の人でもママ友でも、どうしたらいいのか相談したり、一緒に悩んだりするのがいいかなと思います。失敗も楽しみながらがんばっていきましょう!

編集後記

お子さん2人を育てながらキャリアチェンジし、現在は人事の仕事に取り組んでいる市川さん。会社の手厚い制度整備に加えて、新しいことに挑戦するのが好きという市川さん自身の前向きな姿勢が、仕事と育児の両立のコツなのかなと思いました。</

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。