子育ての困りごと、病児保育を手厚くサポートして働きやすい会社に ~株式会社アカツキ【前編】

ゲーム事業やIP(知的財産)事業を展開する株式会社アカツキ。2010年にマンションの一室で創業し、今や海外に拠点をおくまでに成長しています。
今回は同社で働く2人のママにインタビュー。前編は、リモートワークのリアルな実情やパパママ向けの制度、アカツキの今後の展望や求める人材についてお聞きしました。
 

佐竹 佑紀さん プロフィール
職業: 会社員(コーポレート/人事)
お子さんの年齢: 5歳・3歳
居住地: 千葉県
入社年:2012年

山崎 聖愛さん プロフィール
職業: 会社員(ディレクター)
お子さんの年齢: 2歳
居住地: 東京都
入社年:2015年

「リモートワークは効率的だけど寂しい!」

 
―御社でリモートワーク導入されたきっかけについて教えてください。
 
佐竹さん 新型コロナウイルスがきっかけですね。それまでは積極的には行っていませんでした。2020年2月、感染拡大防止策の一つとして、全社一律に導入をしました。
 
―全社で一気に導入となって、混乱はありませんでしたか?
 
佐竹さん 社内のネットワークシステム自体は構築されていたものの、アクセス権をどうすべきかといった、情報漏洩の観点が一番大変だったと思います。その点はセキュリティチームがすごく頑張ってくれたと思います。
私自身の業務で言えば、最初はオンラインでのミーティングに戸惑いましたね。どのタイミングでしゃべればいいのだろう?とか。オフィスならすぐ横にいる人に聞けることを、きちんと時間を取って電話するか、Zoomミーティングを組むか、または Slackを使うかしなくてはなりません。テキストベースで話をする時、齟齬が生じないよう進めるのに慣れるまで、1~2カ月かかりました。その一方で、子どもを決まった時間に保育園に迎えに行かなければいけない身としては、在宅勤務は非常に効率的でした通勤時間がなくなりますし、昼休みを有効に使えます。家だとランチに60分はかけないので、15分で食べて残りは家事ができるというのはありがたいなと感じています。
 
山崎さん リモートワークに切り替わったとき、私は育休中だったんです。復職した時はみんな少しずつリモートワークに慣れてきて、慌ただしい感じも少なくなってきた時期でした。
 
―育休復帰がリモートワークで助かった面もあるんですか?
 
山崎さん 非常に働きやすい環境でした。子どもを産む前は、働くお母さんたちが保育園の送り迎えをしながら頑張って仕事されている様子を見ていて、大変そうだなと思っていました。ですから、いざ自分が復帰した時に在宅でよかったなというのはあります。
 
―コロナが落ち着いたらリモートワークの体制はどうなるのでしょう?
 
佐竹さん 経営陣の判断として、今後コロナが落ち着いてきたら出社とリモートワークのハイブリッド型を推進する方針が出ています。現時点では、週2~3回出社推奨というかたちですね。ただ最終的にはチームで決めてほしいということで強制的なルールではありませんが、徐々に出社率は増えているのが現状です。
 
―完全出社には戻らないのですね。
 
佐竹さん 今後の状況を見ての判断となるかと思います。リモートワークを導入してみて、家でも仕事が出来るのは実証されました。一方で、もともとアカツキにはコミュニケーションや目には見えない繋がりを大事にする文化があります。ワークショップも多く、その結果メンバー同士仲がいいんですよね。2010年に創業してから培ってきたその信頼貯金で、今回リモートワークが成り立ったと思う部分は多々あります。たとえばこのままリモートワークを5年続けてリアルでのコミュニケーションが希薄になったら、どうなるんだろうというのは分からない部分です。現時点での判断としては、出社してやるべき仕事と家でもできる仕事を分けようということになりました。

佐竹さん オフィスでの風景


 
山崎さん 私自身、「オフラインのコミュニケーションや人のつながりを大事にする」という会社の方針に共感して入社した部分もあります。業務面では、話せばすぐ済むのに文章にすると上手くコミュニケーションが取れずもどかしい時もありますし、佐竹さんが言うようにメンバー同士仲がいいので、純粋にリモートワークは寂しい!という気持ちがあります。メリットもあるのでどっちを取るのか難しいんですけど。なので、ハイブリット型はすごくいいと思います。

子どもがいることをハンデに思わなくていい!選べる制度で両立をサポート

 
―近年はパパ・ママ向けの環境整備も進んだそうですね。
 
佐竹さん 会社も設立してまだ10年ちょっとで、一般的な企業と比べてかなり若い世代が多いのですが、徐々に子育て世代も増えてきました。そこで、パパ・ママにどういう制度があったらいいかを有志で集まって話し合ったのです。明確になったのが、子どもが病気になったときの病児保育が一番大変ということ。このネックを解消するための施策に重きを置いて、主に2つの制度を新たに整えました。
 

1)キッズサポート休暇
有給とは別に、年に5日間子どものために休暇取得できる制度がもともとありました。ただ5日間は、たとえばインフルエンザにかかったら一回で全部なくなってしまうことも。そこで、このキッズサポート休暇を病児保育(健診や予防接種も含む)に限って、取得回数無制限にしました。ただし性善説に基づいて導入するものなので、1年間試験運用をして、想定外の使われ方が起きないか、実際に何回みんな取得するのかといった統計を取りました。結果、課題が思ったより少なかったので、本運用になりました。

2)シッター代全額会社負担
キッズサポート休暇を取得できたとしても、当然休めば休むほど仕事が滞ってしまいます。それでは困るメンバーもいるので、シッター代を基本全額会社負担にしました。子どもが病気になったときにキッズサポート休暇を取るか、シッター制度を使うか、それぞれの事情で選べるようにしました。

 
―社内の反応はいかがでしたか?
 
佐竹さん ものすごく良かったですね。パパママからすると一番ありがたい部分ですから。たとえば午前中だけシッターさんに来てもらって、午後は自分でみるという使い方もできるようになっています。「子どもがいることをハンデと思わなくなった」とか「配偶者がすごくいい会社だねと喜んでくれた」といった声も聞いています。
 

―山崎さんは制度を活用されていますか?
 
山崎さん 結構使っています。仕事的にあまり休めないので、どちらかというとシッター制度を多く利用しています。いやもう、神だなって思いますね(笑)。佐竹さんが言うとおり、夫から「ここまで手厚い会社はそうそうないんじゃない?」と言われました。
仕事をしているとどうしても悔しい気持ちがあるんですよね。独身時代のような仕事量がこなせずに子どもがいることをハンデだと思ってしまい、そういう自分に対して嫌な気持ちになる……。制度を活用することで、そんな自己嫌悪を払拭できましたし、子育てしながら自分らしく働けるのがすごく魅力的だなと思っています。

山崎さん オフィスでの仕事風景

アカツキで取り組みたい事業や展望、求める人材

 
―今後、御社で取り組んでいきたい事業や展望について教えてください。
 
佐竹さん ゲームを軸に、IPプロデュースカンパニーとして世界で突き抜けていくことを目指しています。言われてやるというより、自分で考えて行動できることが重視されています。本当に何かやりたい人って、自分の目の前の仕事をこなしながらでも空いた時間に、新しいゲームやサービスを考えているんですよね。それをリーダーに提案して通ったという事例もあります。それぞれのチャレンジを応援している会社だと思います。
 
―御社が求めているのはどのような人材ですか?
 
佐竹さん たとえば、子育てか仕事かみたいに「0か100か」というよりは、どうすれば両方うまくいくかなと考えられる人ですかね。二者択一ではなく第三の方法を前向きに考えられる方は、職種問わず重要だと感じています。
 
後編は、入社のきっかけやブランク、今後の目標についてお尋ねしています!
 

株式会社アカツキ information
https://aktsk.jp/

編集後記

リモートワークのプライベートと仕事の両立のしやすさ、社員同士のコミュニケーションが活発な社風、そしてコロナ禍の社会状況。これらを掛け合わせたアカツキ様にとっての最適解が、在宅と出勤の「ハイブリッド型」なのですね。
山崎さんがおっしゃっていた「子どもはかわいいのに仕事のハンデと思ってしまい自己嫌悪に陥る」というのは、子育てと仕事を両立させたいと頑張るママにとって切実な問題ですよね。子育て中の社員の声から生まれた「キッズサポート休暇」「シッター代全額会社負担」という2つの制度は、そんなママの心も救う制度だと思いました。

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。