ママになっても仕事で結果を出すために 「属人化タスク」と「私にしかできない仕事」~株式会社アカツキ【後編】

前回に続いて、株式会社アカツキで働く2人のママによる座談会です。アカツキで働くことが好きという思いにあふれたお話をたくさん聞けました。
 

佐竹 佑紀さん プロフィール
職業: 会社員(コーポレート/人事)
お子さんの年齢: 5歳・3歳
居住地: 千葉県
入社年:2012年

山崎 聖愛さん プロフィール
職業: 会社員(ディレクター)
お子さんの年齢: 2歳
居住地: 東京都
入社年:2015年

裁量労働制で時間調整をしやすく

―主な業務内容と現在の働き方について教えてください。
佐竹さん 私は人事部に所属をしています。出社は月に1~2回くらいで、どうしてもオフィスでないとできない仕事があるので、そこは必ず出社します。また、徐々にマネージャー陣が「より密なコミュニケーションを図る目的で、チーム内では出社を増やした方がいいのでは」みたいな雰囲気を出しているので(笑)、これは直接話した方がいいなというミーティングがある時は出社しています。
当社では裁量労働制という労働形態をとっています。極端に言えば1日1分でも働いて成果が出ていればそれでもよくて、労働時間よりも結果を重視しています。一応9時~18時という基準の勤務時間はありますが。今日は3時間しか働かなかったからその分給料が減るとかでもなく、逆に残業も一定時間内ならしてもしなくても変わらない。
ただ、この働き方は、自分自身である程度マネジメントできることが前提なので、例えば新卒では難しい。ですから最初は固定労働時間制です。
 
山崎さん 私は、スマートフォンゲーム制作・運用に関する業務に携わっています。企画から始まり、実際に世に出して運営をしていきます。
週5日勤務していますが、9時から17時過ぎくらいまで家で仕事をして5分で子どもを迎えに行って、その後は子育ての時間ということで、やや時短みたいな感じですね。私も裁量労働制なので時間の使い方を自分で工夫しながら、以前と同じ、あるいはそれ以上のバリューが出せるよう働いています。基本はずっと在宅ですが、メンバーに会いに月1~2回くらい会社に行っています。
 
―ゲーム事業はとても忙しいイメージがありますが、子育てと両立できるか不安はありませんでしたか?
山崎さん 復職した時はありました。仕事が好きで、以前は時間を気にせず好きなだけ働いているほうだったんですが、子どもが生まれたら以前と同じような働き方は無理だなとは思っていました。ですから、休を取る前と後で業務の内容を少し変える、属人化したタスクはなるべく持たないといった工夫をしています。
ありがたいことに、周りの理解が得られている環境なんですよね。「この時間は子育てで忙しいから連絡は取れない」と伝えたら、「では、自分がその代わりにやっておきますよ」と言ってくれる社員がいるとか。
 
―前編で「オフラインのコミュニケーションや人のつながりを大事にする」というのが御社の方針という話がありましたが、周囲の理解があるのはそのおかげもあるのでしょうか。
山崎さん そうですね。産休育休に入る前から仲よくしていたメンバーとの「信頼貯金」が今生きてきたのかなとは思います。それもあって、最近入った若手社員とランチするためだけにその日に出社するなど、業務とは別で信頼関係を構築していくところにも時間を割くようにしています。

山崎さんの在宅での仕事風景

靴を脱ぐオフィスに驚き―入社のきっかけ

―入社されたきっかけとこれまでのキャリアについて教えてください。
山崎さん 2015年に中途で入社しました。それまでもゲーム会社にいたので業種は同じです。たまたま知人からアカツキのことを聞いて興味をもったのが転職のきっかけです。面接を受けたらその場で「合格です」と言われ、スピード感と現場の裁量の高さに魅力を感じましたそれから、オフィスでは靴を脱いで過ごすんですよ。執務室に入ったら下駄箱があって、そこに靴を入れてから仕事をします。リラックスできる空間で、魅力的な仲間が多くて、直感的に「ここだ!」という運命を感じました。
佐竹さん 私は、2012年アカツキがまだスタートアップと言われるタイミングで入社しました。新卒のときはIT系の比較的大きな会社に入社したんです。そこで感じたのは、組織はピラミッドになっていて変わらないということ。転職するなら出来上がった会社よりも、自分が本当にいいなと思うメンバーと一緒にこれからつくり上げていくような会社に行きたいと思ったんです。
人事の一人目として私が入ったので、これから仲間を増やしていく採用についても、マニュアルや学歴にとらわれず、ゼロからみんなで考えて決めていくというのが魅力でしたね。私や山崎がアカツキに入社した時は、もっと小さなオフィスで、本当に家みたいだったんです。アットホームな感じだからこそ未来が詰まっているというか、これから大きくしていくぞ! という可能性が感じられました。

どうだった?産休育休のブランクと復職

―仕事のブランクはありましたか?
山崎さん 新型コロナの感染拡大もあって保育園の入園が遅れ、1年半くらいお休みしました。戻った時はさすがにブランクを感じましたね。人とコミュニケーションとるのがこんな下手だったっけ?と思いました。仕事している時に比べると一人の時間が多かったからか、言語化するのがものすごく下手になっていて、うまく答えられないんですよね。できていたことができなくなっているのが辛くて……。周りも「あれ?」って思っているんじゃないかと、勝手な被害妄想もありました。
佐竹さん 1人目の育休の時は、戻った時に前と同じバリューを出せるかという焦りがすごくありました。でも働ける時間は決まっているわけです。それで、すぐに結果を出そうとして相手に決断を早く迫るといった、自分都合の時間軸でコミュニケーションを取っていたので、今振り返ると反省ですね。
2人目の時は、一度経験していたのもあり、復帰したら子育ての期間で得たものをチームに還元したいと思っていました。独身の時は、血気盛んでどんどん自分がやってしまうという感じだったんです。でも、何も分からない子どもを育てるという経験をして、新卒のメンバーにどういう言い方をしたら気持ちよく伝わるかなと考えられるようになり、育成マネジメントという面ではプラスになりました。
アカツキ全体でママはまだ少ないですが、復職した時は温かく迎えてくれたり、何か言わなくてもうまく業務の調整をしてくれたりという雰囲気がありますね。そういう文化は一朝一夕にはつくれないのでありがたいなと感じています。
 
―マンションの一室から始まって今や海外に拠点を置くまでになったそうで、成長スピードが早いですよね。でも、人と人とのつながりや温かさも変わらずあるんですね。
佐竹さん 採用時に、履歴書上すごく輝かしい経歴を持っている人もたくさん来られます。もちろんそれも大事ですが、それ以上に人柄を昔から重視しています。たとえば、この人と東京駅から新大阪まで2時間半ずっと隣にいたいか。そういう目線って大事だと思っていて、それができない人と同じチームで仕事をしても楽しくないですよね。今持っているスキルにこだわらず、のびしろなども含めて採用を続けた結果ではないでしょうか。
 
―育児と仕事の両立で工夫していることはどんなことでしょうか?
山崎さん 工夫ではないのですが、心の拠り所として、同じプロジェクトの働くママたちと定期的に情報交換をしたり、息抜きにZoomランチをしたりしています。みんな戦友のような感じなんですよね。一緒に喜んだり悲しんだり、味方がいてくれることが心の支えです佐竹さんにもよく相談したり愚痴ったりとかしちゃってる(笑)。
 
佐竹さん 出産前に引っ越しをする時、自分の実家近くに住むことにしました。会社からは離れますが、子育てとの両立という面で考えたら、選択肢としては最良だったかなと思います。あとは、夕飯を考えるのが結構負担なので、週末におおまかな献立表を書いておくようにしています。

お二人の癒しグッズ


―今後の目標について教えてください。
山崎さん 私は復職して約1年ですが、この1年はリハビリ期間というか、家庭との両立に慣れる期間と位置付けて、育休前と同じプロジェクト、ある程度分かっている仕事をさせてもらっていました。今後は新しいことにチャレンジして、自分自身が成長できるよう心を燃やしていたいなと考えています。社内のママ代表として、ピカイチ輝く存在でありたいですね。働くパパやママがたくさん増えて、ますます子育てしやすい会社になっていけば、と思っています。
 
佐竹さん ママって大変そうだなって見えてしまって、結婚することや子育てすることが怖くなったら、それは残念なことですよね。ですから、私自身楽しく両立しているなと思いながら過ごしたいですし、仕事を続けやすい制度づくりにも取り組んでいきたいですね。個人としては、短い時間でもいかに価値貢献できるかを昔よりももっと考えるようになりました。たとえば人事制度でここが弱いなというのがわかったら自分で学びに行くとか。山崎から「属人化したタスクをなるべく持たない」という話が先ほど出ましたが、それは別に私だからできること」を増やして、成長し続けたいですね。

はたママ読者へのメッセージ

―最後に、はたママprojectの読者へメッセージをお願いします。
山崎さん 自分自身がママにならないと分からなかったことだらけで、辛かったり悲しかったり悔しかったり、負の感情を持つことがたくさんあったんですね。ほんの小さなことでもいいから毎日自分を褒めてあげることが大事だと思っています。頑張り方も仕事への向き合い方もみんな違っていいんですよね。究極的には「今日も息してて偉いわ」くらいの気持ちで、無理せず自分らしくやっていきましょう!
 
佐竹さん 子どもは目が離せないから、緊張感が続いてとても疲れると思うんです。私も仕事の方が楽ぐらいに思うときもあります。「自分は頑張っている」と思うことは本当に大事だと思いますね。一方では職場の雰囲気や方針は、自分だけでは変えられない部分がどうしてもあります。子どもがいると転職はなかなか考えられないかもしれませんが、一歩外に出てみると全然違う環境の職場もたくさんあると思います。「動けば世界が変わる」ということも考えていいと思います。

株式会社アカツキ information
https://aktsk.jp/

編集後記

仕事が好きというお2人の思いが終始感じられた今回のインタビュー。とくに印象残ったのは「属人化タスク」と「私にしかできない仕事」についての話でした。子育てと仕事の両立のために、属人化タスクを減らして業務を共有する工夫をする一方で、自分しかできない仕事にチャレンジしていくという気持ち。それがママになっても仕事を楽しみ、結果を出していく秘訣なのかなと思いました。

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。