在宅ママインタビュー 第3回

在宅ママエンジニア
在宅ママエンジニア

在宅で働くママの生活やリアルな現状、隠された本音を紹介していく「在宅ママインタビュー」。第3回は、エンジニアとしてアプリ開発を手掛けているmochiさんです

■プロフィール

名前:mochiさん

年齢:33歳

職種:アプリエンジニア

お子さん:3歳6ヶ月

居住地:東京都

ワークスタイル:在宅+正社員

■簡単な経歴

2009年 工業大学情報工学部卒業

2009~2012年 SIerに勤務

2013年 ワーホリでオーストラリアへ

2014~2015年 ウェブ制作会社に勤務、結婚も

2015~2018年 出産&育児で専業主婦

2019年~ シンプルメーカー勤務

■1日のタイムスケジュール

7時:起床&朝ご飯の準備

7時半:みんなで朝ご飯

8時:夫を見送り、身支度&保育園の準備

9時:子供を保育園に送る

9時半:家事(掃除、洗濯、食器洗いなど)

10時:仕事開始

15時:仕事終了&まったりタイム

16時半:家事(ご飯準備&お風呂掃除、買い物など)

17時:子供のお迎え

18時:夕食

19時:入浴、歯磨きなど寝る準備

20時:子供を寝室へ。少し遊んで寝かしつけ。

22時:好きなことをやる時間

23時:夫帰宅

24時:就寝


きっかけは、中学生の時にわが家にやってきたパソコンだった

ーまずは、mochiさんの仕事内容を聞かせてください。

mochiさん:

今年の春から、株式会社シンプルメーカーでアプリエンジニアとして、主にFirebaseのAnalyticsの検証を行っています。また最近では、子育て中のお母さんたちに便利に使ってもらえるようなアプリ開発にも携わっています。

ーmochiさんは現在、3歳になるお子さんがいらっしゃいますが、出産前からそのようなお仕事をされていたのでしょうか?

mochiさん:

はい。大学卒業後はSler(※)でプログラマーとして働いていました。

(※)Slerとは…システムインテグレーションを行う業者のこと。

ーそもそも、プログラミングやアプリ開発を始められたきっかけは何だったのでしょうか?

mochiさん:

初めてパソコンに触れたのは、中学生の時でした。わが家に初めてパソコンがやってきたのがきっかけです。私も使っていたんですが、そのうちにチャットでやり取りするようなメル友ができたんです。その時に「同世代の知らない人とこんな風にやり取りしたり、友達になれたりできるインターネットってすごいなぁ」と感銘を受けたんです。

ー確かに、私も学生のころに初めてパソコンを使ったときは、「こんな世界があるんだぁ」と新鮮でした。

mochiさん「リビングが仕事場です。」

mochiさん:

それからは、HTMLを触り始めました。当時は、HTMLでメールの文字に色を付けたり、背景を可愛くしたりすることが流行っていたので、素材サイトを見ながらどんどん触っていました。そして、パソコンやインターネットへの興味もどんどん深まって、大学もプログラミングが学べる工業大学に進みました。

ー初めはお友達とやり取りするだけのツールだったパソコンを、いつしか仕事に活用したいと思うほどになったんですね。

Slerではどのような仕事をされていたのでしょうか?

mochiさん:

業務系アプリや求職サイトの開発を手掛けていました。 ただ、2次受けや3次受けの仕事が多かったので、指示通りに作ることが求められました。仕事を続けるうちに、自分の思いが反映されたものを作ってみたい、そう思うようになり、会社を退職しました。

ーその後は、ワーホリで海外に行かれた後にWeb制作会社に入られたんですね。

mochiさん:

そこでは求人サイトやゲーム系のAPIを作ったり、アプリ開発をしていました。しかし、連日のように朝早くから夜遅くまで働くような忙しい環境だったので、妊娠を機に退職しました。


仕事を探すも、ブランクを理由に断られたこともあった。

ーそれから3年を経て、仕事に復帰しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

mochiさん:

元々、働きたいという欲は強い方だったんです。この業界にいたのも技術があれば再就職も出来ると思っていたからであって、出産後は「せっかくやりたかった仕事についたのになぁ…」と悶々としていました。なので、今まで経験してきたことを活かせるような仕事をしたいとずっと思っていました。ただ、私が子どもを産んだ当時は、地元に保育園の待機児童も多く、役所に相談しに行くも、「現状、働いていないから入るのは難しい」「求職中でも入れないだろう」と言われてしまいました。保育園が決まっていないと仕事も決められないし、仕事が決まっていないと保育園にも入れない。まさにデッドロック状態でした。

ーそれはむず痒い思いをしてきましたね。

mochiさん:

そんな時に、ママ友の紹介でデータ起こしの仕事をいただきました。そのため、日中は子どもと過ごして、夜に子どもを寝かしつけた後に作業をしていました。その時に、「子どもがいても、家で数時間からなら働くことができるかもしれない」と思い、在宅の仕事を探し始めました。

ー仕事探しは順調に進みましたか?

mochiさん:

なかなかに難しかったですね。在宅で、かつ好きなシステム開発の仕事をという条件に絞って様々な求人サイトに登録しました。最近は働き方の多様化に伴い、リモートワークも結構普及しているので、求人自体はありました。ただ、「ブランクが3年ある方はちょっと…」と登録さえ断られるケースもありました。移り変わりの速い業界なので仕方ないと思いつつも、ずいぶんと悔しい思いをしました。

また、うちの子どもは療育に通っているので、時間の融通が効くというのも必須の条件でした。週に1回、療育施設に通っているので、必ず仕事を休んだり時間をずらす必要があるというのは、会社勤めにおいては障壁になると感じました。それも、在宅にこだわった大きな理由です。

ーそういう事情もあったんですね。そして、今の会社の求人を見つけられたんですね。

mochiさん:

主婦向けの求人サイトで見つけました。私の条件にピッタリでした。

ー以前にデータ起こしの仕事をしていたとはいえ、在宅で働き始めることに不安はありませんでしたか?

mochiさん:

初めは、職場とくつろぐ空間が同じということに不安を覚えていました。仕事とプライベートの切り替えがうまくできるかな…と。今でも切り替えが難しいと感じることはありますが、例えば「仕事時間以外は、連絡事項に使うチャットを見ない」といった自分なりのルールを設けるようにしました。

ー自宅で仕事となると、良くも悪くもすぐに仕事できてしまうので、自分でメリハリをつけることは大切ですよね。

mochiさん:

仕事で自分のプライベートな時間を削らないということも意識しています。自分の時間を削ると、気持ちにも余裕がなくなりますし、精神的に良くないと思っています。なので、できる限り残業もしないように努めています。 また、うちの夫は毎晩仕事で帰りが遅いので、家事も育児もおのずと私が担うことが多くなります。なので、何ごとも完璧にこなそうとしないこと、肩の力を抜きながら仕事することを心掛けています。

ー家事と育児と仕事のバランスを取るのは、働くママ・パパにとっては永遠のテーマともいえますよね。

mochiさん:

なので、最近は週末の時間がある時に夕食の作り置きをしたり、レトルトやお惣菜、簡単に調理ができる料理キットなど、使えるものは何でも活用しながら調理時間を短縮していますあとは、どうしても辛くなったときには、夫に正直につらいということを伝えて、何をしてほしいのかを具体的に話すようにしています。自分のキャパシティを超えて抱え込まないように、夫婦で分担をするというのは心がけています。


仕事を再開するようになって、目標が出てきた。

ー日々お忙しいと思いますが、働いていて良かったと感じることはありますか?

mochiさん:

仕事を再開するようになって、やりたいと思うことが増えて目標ができました。例えば、私はAndroidのアプリ開発はできるんですが、今後はiOSのアプリ開発もやってみたいと思い、会社に教材本を買ってもらいました。また、ログデータに関する仕事もしているので、Web解析士の知識を勉強したいと思っています。日々、技術の情報を追いかけては、新しい技術を触ってみたい、試してみたいという思いが強くなってきています。

在宅ママエンジニア
「娘との時間も大切にしたいです」と語るmochiさん。

あとは、生活にメリハリが出てきました今までは子どもと同じ空間にいても、ただ一緒にいるだけで、たまに遊ぶという程度でした。けれども、仕事を再開したのを機に子どもは保育園に入り、一緒にいる時間も限られてきたので、しっかりと向き合って遊ぶということが増えました。子どもと一緒にいるのは楽しいですし嬉しいことですが、ずっと2人だけで過ごすと閉塞的な世界にいるような感覚にもなるんですよね。なので、前より子どもとの距離感がうまく保てていると感じます。これまでは「ママ」としてばかり生活していましたが、今は「mochi」という個人の時間ができたと感じています。

ー今後はどのような働き方をしていきたいと考えていますか?

mochiさん:

新しい技術を身に付けたり、この「働くママ応援プロジェクト」のようなクライアント案件ではないプロジェクトに携わったりしながら、開発スキルだけでなく様々な経験を積んでいきたいです。あとは、在宅ワークママの1つのロールモデルとして、世のお母さんたちに向けて、働き方を見せたり情報を発信していきたいです。また、私が仕事を楽しんでいる姿を見せることで、娘には働くことを前向きに捉えてもらえたらいいなと思っています。

ーそうですね。きっとママやパパが生き生きと働く姿は、お子さんにとっても良い刺激になりそうですね。

mochiさん:

あとは、「出産・育児=ブランク」という認識が薄れてほしいと感じています。働きたくても働けないママが多い中、ブランクを理由に働けないというのは本当に勿体ないことです。出産や育児を経たからこそ新しい視点も得られるだろうし、出産前よりもむしろスキルアップしたと思ってもらえるような社会になってほしいですね。

また、男性の育休取得や働き方改革はもっと進んでほしいです。わが家は夫がSE(システムエンジニア)で日々忙しく、平日は朝から夜までワンオペです。勤務先には育休の制度があるものの、評価に響くということで取得しづらい状況があります。せめて、夜に子どもをお風呂に入れられる時間に夫が帰ってきてくれたらなぁと思います。

ー育児や家事に積極的に取り組みたいと思っているパパさんたちでも、会社の制度や風習でそうはできないこともありますよね。

最後に、在宅で働きたいママたちに向けてメッセージをお願いします。

mochiさん:

私も在宅で働き始めるまでは、一歩踏み出すのにたくさんの不安がありました。勇気もいりました。でも、いざ一歩踏み出してみると何とかなるものだなと感じています。今、働きたいと思っているママさんたちには、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してほしい、前に進んでもらえたらなと思っています。

ー経験者だからこその説得力あるお考えですね。

どうもありがとうございました!

mochiさん「癒しグッズがどんどん増えます(笑)」