パパにもできることはたくさん! 育休で気づいた家族に寄り添う働き方

創業59年のエコー電子工業株式会社(本社:福岡市)。独立系SIerとしては老舗の同社では、社会の変化に合わせて働きやすい制度を次々と取り入れています。採用チームリーダーの野田さんは、1歳のお子さんのパパ。自身も育休を取得したほか、人事担当として育休取得を推進する立場でもあります。今回は、育休を通して得た気づきについてお話いただきました。

2021年度の育休取得率は男女とも100%

―御社の事業内容を教えてください。
富士通の代表的なパートナーとして、九州地場を中心に約2000社のお客様へITソリューションを展開しています。DXをキーワードとした業務システム開発のほか、ITインフラ、スマホ・タブレットアプリ、バーチャルロボアプリ開発などにも力を入れています。
また、自治体向けの大型ソリューションも手掛け、大規模工事が必要なシステムの導入も自社で請け負っています。
 
―働きやすい環境への取り組み、それに対する社内での反応、また、現在感じている課題がありましたら教えてください
働き方への取組みは数多く実施しています。特に育児のしやすさと、健康経営の取組みには力を入れています。
テレワーク、勤務時間選択制度(30分単位でスライドが可能)、時短勤務、時間有休、フィットネスジム支援などがあります。
また、育休取得対象となる社員には面談をして、制度や取得のメリットなどを説明するようにしています。2021年度の育児休業取得率は男女ともに100%でした。
こうした取り組みは、福岡県子育て応援宣言企業県知事賞、長崎県ながさきヘルシーアワード県知事賞、健康経営優良法人ブライト500(2年連続)など、外部からの表彰も多くいただいています。
現在の課題としては、育児休業制度の法改正に伴う対応と、介護休業の実績がまだないため、対象者がいつ出てもいいよう整備しようと取り組んでいます。

野田さんのテレワーク風景

妻の出産を控え産婦人科でテレワークも

野田健太郎さん プロフィール

職業:エコー電子工業株式会社 採用チーム リーダー
2013年~ システム課
システムエンジニアとして様々な業界のお客様に対して、業務課題解決のソリューションを提供2014年~ 総務課採用チームリーダーとして、新卒のほか、中途にも力を入れている。また、その他人材育成や人事評価などを担当
お子さんの年齢:1歳
居住地:福岡県

 
―入社されたきっかけを教えてください。
昔からパソコンが好きで、大学では情報系を専攻していました。
エコー電子は「プログラム開発ばかりではなく、お客様とコミュニケーションをとることが多い」仕事内容だったため、情報の知識と接客業のアルバイトのスキルが活かせると感じて入社しました。
 
―野田さんは育児休暇を取得されたそうですね。取得してみていかがでしたか?
2020年12月に第一子が誕生し、同年12月と翌年6月の2回育児休暇を取得しました。
取得する前は不安な気持ちもありましたが、取得してみたら、父親もできることはたくさんあると感じました。オムツ替えもミルクもお風呂も、よくよく考えると母親がやらないといけない理由はないですよね。ただ、わからないことだらけだったので、正しい情報を身に着けることも大事だと感じました。
現在もできるだけ早く帰ったり、テレワークをしたりしています。育児がどれだけ大変か実感できたことで、同様に正社員で働く妻に負担が偏らないよう意識するようになりました。
 

―育児休暇以外に、子育てに伴い取得した会社の制度はありますか
テレワークです。誘発分娩のため、妻が出産予定の3日前から入院することになりました。それで、いつ生まれてもいいよう、クリニックの許可をとって、ずっと産婦人科の部屋でテレワークをしていました。現在も週2~3日在宅で働いています。
 
―柔軟にテレワークができる環境が整っているのですね。
そうですね。育児世代を中心に少しずつ導入していたところ、コロナ禍となり、一気にテレワークが進みました。私の場合、妻が妊娠していましたので、そのまま生後半年くらいまでほぼフルでテレワークを続けさせてもらいました。
全社的には、現在、約半数の社員が活用しています。フルで在宅勤務の人もいれば、週2~3日の人もいます。システムエンジニアは、納期を守れば比較的自己裁量でできる仕事なので、テレワークをしやすいというのも大きいと思います。働き方が変わってきたことで、残業も以前の半分~3分の1程度に減ってきています。2013年に入社した当時は、今のような働き方は想像もできませんでした。
 
―現在の働き方のメリットと課題について教えてください。
やはり通勤時間がないのが、一番のメリットです。家族とふれあう時間が増え、娘の送迎も時間に余裕ができ、家事にあてられる時間も増えます(それでも、夕方はなかなか時間が足りませんが…)。私がテレワークの日はほとんどの家事を自分が行い、そうでない日は妻が行うというふうに分担しています。
妻は業務内容の関係で、私ほどはテレワークができないのですが、それでも週1回は在宅で働いています。
実は、先日子どもが保育園でコロナの濃厚接触者となり、登園停止になってしまいました。そのときは、私も妻も急きょお休みをいただき、乗り切ることができました。どちらも育児に理解がある職場でありがたいですね。
仕事面のメリットと課題はというと、在宅だと集中して取り組める反面、同僚や後輩とのコミュニケーションがどうしても希薄になるのが課題ですね。特に、新入社員やフルでテレワークをしている社員は、孤独感があったようです。チャットやバーチャルオフィスツールを活用して、できるだけコミュニケーションをとるように心がけています。

お子さんと一緒にスーパーで買い物

 
―今後のご自身のキャリアをどのように考えていらっしゃいますか。
テレワークを活用して、育児しながらでも働ける、出世できるということを、身をもって証明したいです。そして、自分の部下も育児するようになったら、一番の理解者でありたいです。
オンラインでチームをまとめるというのは大変な面もあり、自分の中でまだうまくできていないと感じています。リモート環境でもチームをしっかりとサポートでき、かつ自分の業務もできるというところを示してしていけたらもっと会社の理解も深まるかなと思っています。
テレワークがだんだん浸透してきたとはいえ、出社前提で進める業務も多い(会議など)ので、テレワークの人がいるのが当たり前という風潮にしていきたいです。
 
―これから育休取得を考えているパパに向けてメッセージをお願いします。
パパでもできることはたくさんあるので、家族のためにも自分のためにも、ぜひ育休を取得してもらえたらと思います。以前と比べたら、パパが育児をすることは普通のことと捉えられるようになっていますが、まだ上の世代を中心に、育児はママの仕事という意識が根強く残っていると思います。
私が子どものおむつ替えをしていたら、それだけで、両方の親がびっくりしたということもありました。育児に対する意識も知識も時代に合わせてアップデートしていく必要がありますし、私たちの世代が変えていかなくてはと思います。

編集後記

育休取得前と取得後の心境について率直に語ってくださいました。野田さんによると、エコー電子工業は新しいものを柔軟に取り入れる企業風土があり、子育て支援にも早くから力入れていたそうです。加えてテレワークも推進され、育児しながらでも働きやすい環境がこれまで以上に整ってきているなと感じました。

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。