ママになっても好きな仕事に打ち込んで自分らしく働くために

日本製にこだわった靴下の製造・販売を行うタビオ株式会社。「靴下屋」「Tabio」などのお店でもおなじみですね。今回は同社の働きやすい環境について、また、一児のママでブランドPRを担当する小林さんに子育てと仕事の両立について話をお聞きしました。

本部と店舗、誰もが働きやすい環境を模索中

―御社の事業内容を教えてください。

1968年に創業し、日本製にこだわった靴下の製造・販売を行っています。現在では「靴下屋」「Tabio」「Tabio MEN」等の靴下専門店ブランドを日本全国に249店舗(2022年2月末時点)を展開、海外でも事業展開しております。

株式会社Tabioのコーポレートサイト

―働きやすい環境への取り組み、それに対する社内での反応、また、現在感じている課題について教えてください。

働きやすい環境への取り組み

・時短勤務制度 お子さんが小学校3年生の3月31日まで時短勤務が可能です。弊社の規定勤務時間が7時間45分ですが、7時間30分~5時間45分の間、15分単位で時短勤務を設定できます。

他には、
・本部社員の時差出勤制度
・本部社員のテレワーク制度
・時間単位有休制度


などがあります。

社内での反応

本部および店舗で働く社員からヒアリングしたところ、以下のような声をもらいました。

コロナで保育所が閉園になった時など、子どもは元気なので看病する必要はないが預け先がなかったので、テレワーク制度があって助かった。

・保育所に預けていてもお迎えの時間が早いので、時短制度があって良かった。

テレワークだと通勤時間が無い分、仕事が始まるギリギリまで家事が出来るし、また帰る時間を考慮しなくてよい分ギリギリまで働けるので時間が有効に使える。

・子どもを病院に連れて行ってから出社できたので、時差出勤があって良かった。

・時間単位有休は、子どもの体調不良で急な保育所からの呼び出しがある時に使えて助かる。
周りの理解があるので、制度が形骸化せずちゃんと使えるものになっているのでありがたい。
・上記の制度全てが子育てと両立する上で助かる。もしなかったら、仕事を続けることが難しかったかもしれない。

今後の課題

まだ「パパ育休」取得者が出ていません。社長からの声掛けもあり、育休取得を検討した男性社員もいたのですが、奥様が里帰り出産することになり、取得には至りませんでした。このケースは違いましたが、それだけでなく、もしかしたら男性第一号になることに対するハードルを感じている者もいるかもしれません。短期間でも男性が育休を取得することが当たり前になるような社風にしていけたらと思います。

―歴史のある企業ということで、制度を変えるのが大変だったのではないでしょうか。どのように変化していきましたか?

15年くらい前までは、妊娠したら退職するのが普通という意識だったように思います。それから少しして第一号の産休育休取得者が出て、そこから徐々に風穴が開いていきました。第一号の社員は今も働いています。

今は妊娠したという報告を受けて、「いつから休み?」と聞かれることはあっても、退職するかどうかという質問はもう出ないのではないでしょうか。社員みんなが経験しながら、勉強しながら、制度や意識が変わっていったと思います。

―テレワークはいつから導入されたのでしょうか。

コロナ前から、テスト的にテレワークをしていた部署はありました。コロナの感染拡大が懸念され始める中、部署単位で少しずつ始めていき、第一回目の緊急事態宣言時に全社的に行うようになりました。

弊社は本社が大阪で、東京に支店があり、奈良にも拠点があります。経営会議など、大阪、東京、奈良をオンラインでつないで行うことは日常的にありましたので システム自体は皆使い慣れていたと思います。

―御社は実店舗を抱えているので、働きやすい環境整備にも苦労があるのではと思いますが。

そうですね、本部は徐々に制度が整ってきましたが、店舗スタッフの子育てと仕事の両立はまだ課題が多いと感じています。保育所では預かってもらえない遅い時間帯や土日祝の勤務を出来るだけ減らせたらとは思いますが、店全体のシフトを考えると、ほかのスタッフへの負担が大きくなってしまいます。

子育てをしているスタッフや、子育て中のスタッフがいる店舗の店長と座談会を開いたりしながら、何かいい方法がないか模索中です。

育休中に得た「一人のお客さん」としての視点を、復職後に生かす

小林 理沙さんのプロフィール

職業:タビオ株式会社プレス室
お子さんの年齢:3歳
居住地:東京都

―担当されている業務内容を教えてください。

小林さん:靴下屋、TabioのブランドPRに携わっていて、取材対応、シーズンビジュアルやWEBビジュアルの撮影などの仕事をしています。新卒で入社し、最初は営業担当でした。その後プレス室に異動になりました。

―育児休暇を取得されたとのことですが、取得されてどう感じられましたか?

小林さんまた同じ仕事に戻れるという安心感もあったので、十分に育児に専念できましたちょうどコロナの感染拡大の時期と重なったこともあり、産休育休含め1年8ヵ月ほどお休みを頂きました。その間は一人のお客さんとして買い物をしたり、自社だけでなく他社アパレルのSNSを見ていたりしていました。

「こういうビジュアルがあったほうがわかりやすいな」「他社のアパレルはこんなコンテンツがあるけれど、当社にはないな」「検索するときに人気商品がこの場所に表示されたらいいな」などなど、離れてみて気づく点があり、復職後挑戦したいこともできました。

―復帰後に苦労したことを教えてください。

小林さん職場の体制やコロナ禍によるテレワークへの移行など、復帰前と状況が変わっていたことに戸惑いました。

それから、保育園に通いだして初めの1年間は、とにかく子どもが風邪を引き、もれなく私もうつり…常に体調が悪かったです

もともとは出社ベースだったのですが、復帰後はテレワークへの移行が進んでいたおかげで、具合が悪い時は在宅勤務ができましたし、臨機応変に対応してもらえてすごく助かりました。

―現在の働き方のメリットについて教えてください。

小林さん:現在は時短勤務をしていますが、子どもがいるからと嫌な顔をされることや、仕事を任せてもらえないということは全くありません出張や早朝ロケ、夜遅い撮影もありますが、夫に協力してもらうなど、自分で調整しながら働くことができています。

状況によって在宅勤務や時差出勤制度も使えるので、子どもの急な体調不良や休園にも対応できる安心感もあります。

―お子さんをご出産される前と変わらないペースで働くことができているのですね。

小林さん:そうですね。自分次第でやりたいことに挑戦できる環境というのは、とてもありがたいです。

―その姿を見た後輩の方も、将来子どもが生まれても安心して復帰できるという気持ちになれますね。
小林さん:そう思ってもらえたら嬉しいですね!

―では、課題は何かありますか?
小林さん課題はオンオフの切り替えです。
勤務時間外でも連絡が入ることあり、ついつい気持ちが仕事ばかりに向いてしまい、子どもから「またやってる!」と言われてしまうこともあります。それから、時短勤務内で仕事が終わらず、お迎え時間に遅れてしまうことも…。

気持ちの切り替えをして、メリハリをつけた生活をしていけるようにと思っています。

―小林さんの働く姿を、お子さんはどんなふうに見ているんでしょう?

小林さん:服装が自由な会社ということもあり、「ママみたいにおしゃれして行きたい」とか「ピアスをつけたい」とか言っています。まだ3歳なので(笑)。

―今後のご自身のキャリアをどのようにしたいと考えていらっしゃいますか。

小林さん:担当商材やブランドをより魅力的に伝えられるPRができればと思います。

また、子育てで得られる経験も仕事でも役立てられるようにしたいです。子どもには楽しそうに働く姿を見せられるといいですね。

編集後記

タビオさんの靴下を愛用しており、いちファンとして楽しみにしていた今回のインタビュー。この仕事が大好きという小林さんの気持ちが終始伝わってきました。ママだからと、ブレーキをかけるのではなく、出産前と同じようにやりたい仕事に打ち込む、そしていい意味で、子育て中だからと特別扱いしないという周囲の姿勢が素敵だなと感じました。

SNSへのシェアをお願いします!
ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。