場所にとらわれない働き方に変え、オフィスは社員の有機的なコミュニケーションを生む“ベース”に

「株式会社フューチャースピリッツ」では、在宅・出社を自由に選べる制度を採用しています。働く場所がオフィスだけでなくなったことで見えてきたのがオフィスの在り方だそう。さらに「働かない制度」といったユニークな制度も。
広報の阿部清佳さんに同社の働きやすい環境への取り組みについて、また昨年育休から復帰した秋山祐紀さんに、在宅勤務を活用したご自身の働き方についてインタビューしました。

秋山祐紀さんのプロフィール

職業:管理本部 財務経理部
お子さんの年齢:1歳
居住地:栃木県
入社年:2011年

「オフィスの再定義」「働かない制度」で働きやすい環境を

 
―御社の事業内容を教えてください。
 阿部さん:ホスティングサーバー、パブリッククラウドの構築・運用から、クラウドサービス、Webシステムやサイト制作まで、お客さまのビジネスの進化に貢献するための、Webソリューションをワンストップでご提供します。日本国内3拠点の他、海外グループ会社(中国・タイ・マレーシア)3拠点にも展開しております。
 
―働きやすい環境への取り組みはどのようなものがありますか?
 阿部さん:フューチャースピリッツは、「やりたい仕事」や「ありたい生活スタイル」が、働く場所や時間によって制限されない「新しい働き方」の実現を目指しています。
そこで、2020年7月1日から全社において在宅・出社を自由に選択できる体制へと移行し、働く場所の自由化を進めました。
「今日は家で仕事しようかな」というのもOKですし、コロナの状況にもよるのですが、毎週何曜日にゆるく集まろうと決めている部署もあります。業務やチームの状況によって、各自で決めています。
 
―きっかけは新型コロナウイルス感染症でしょうか?
阿部さん:コロナでより加速したというのは確かにあります。ただ、それ以前からフルリモートでの勤務も可能にするために、ペーパーレス化やスタッフ全員が業務用のPCをノート型のものにするといった取り組みは進めていました。
 
―オフィスのリニューアルもされたそうですね。
阿部さん出社か在宅か選択が自由になったことで、オフィスの在り方も変わってきました。さまざまな社員が有機的に集まることでイノベーションが生まれる場所、社員のクリエイティビティを刺激する場所として再定義をしたのです。2020年10月に東京支社を移転させて「東京ベース」を開所、2021年10月には大阪支社のオフィスを「大阪ベース」へとリニューアルしました。
 

大阪ベースのSkyTerrace(スカイテラス)。ミーティングや雑談の場だけでなく、終業後にみんなでゲームしたり、お酒を飲んだり、さまざまな使い方ができる空間です。


―社員の反応はいかがですか?
阿部さん:これまでのオフィスとはイメージが変わりました。たとえばコロナが収まっているときは、金曜日に集まって終業後に軽くお酒飲むといった使い方をしているチームもあります。今までより、自発的に人が集まりやすくなっていると感じています。社員のモチベーションという面でもいい影響を与えていますね。
 
―他に働きやすい環境への取り組みは何かありますか?
阿部さん「会社公認 働かない制度」でしょうか。社員の強みを伸ばすだけでなく、お客さまの期待に応えるための広いアンテナと柔軟な思考を育てるため、2016年より導入しました。正式名称は、「社員スキルアップ支援制度」と言って、業務時間中に毎⽉最⼤20時間を、スキルアップを目的とした業務外の勉強や趣味、副業にあてることができます。
 
―秋山さんはこの制度を使っていますか?
秋山さん:以前は英会話講師に来てもらって社内で英会話教室が開かれており、そちらに参加するために使っていました。
 
阿部さん:語学で言えば、中国語を学んだり、逆に海外のスタッフがオンラインで日本語の授業を受けたりというケースもあります。あとは大学に通っている人が何人かいますね。通信制の大学でイラストレーションデザインを学んでいる人もいますし、家業のお手伝いにこの制度を利用している人もいます。業務とは直接関係ないことでもOKなんですよ。

在宅・出社自由選択制だから、環境の変化があっても働き続けることができる

―秋山さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
秋山さん:サービス業から転職して中途入社しました。今年で入社11年目になります。業務が少しずつステップアップしていくことにやりがいを感じています。入社した当時は京都に住んでいたので、京都本社で勤務していました。その後結婚を機に東京へ転居することになったので、東京支社に転勤させていただきました。昨年からは、夫の転勤の関係で栃木県に住んでいます。
 
―現在の働き方について教えてください。
秋山さん:基本的には在宅で勤務しています。管理系の業務なので、捺印や郵便物の確認など原本を扱うことが多く、出社が必要な時はしています。コミュニケーション面を考えて出社している時もあり、平均して月3回くらいは東京ベースに出社しています。
 

秋山さん オフィスでの仕事風景


―育休や産休中のブランクはありましたか?その間、どんな想いを抱いていましたか?
秋山さん:お休みをいただくことや、引き継ぎも時間があまりなく詰めて行ったので罪悪感がありました。帰る場所があるのかどうか、復帰後の仕事内容など気になることはたくさんありました。
 
―復帰後に苦労したことはどんなことですか?
秋山さん:私が育休中に在宅・出社を自由に選べる制度が始まり、復帰したら働き方がガラッと変わっていました。オンラインや在宅での仕事に慣れることや、新しく入社した方たちとのコミュニケーション、新しい仕事についていくことに必死でした。
 
―働き方が変わって慣れるのに大変だったとのことですが、よかった点もありますか?
秋山さん:栃木県に転居する時、転居地での保育園が見つからなくて、子どもが家にいる状態が1カ月間続きました。そのときも子どもを自宅で見ながら仕事をさせていただきました。在宅勤務ができる制度がなければ働き続けることはできなかったと思います。
 昨年11月には、子どもが熱性けいれんでいきなり入院になってしまい、1週間お休みをいただきました。 全然連絡も取れない状態だったのですが、部署の皆さんは「大丈夫だよ」と言ってくれました。部署の皆さんが、自分の現状を理解してくれていることにとても感謝していますし、理解してくださっているのでこの働き方ができていると思っています。
 
―妊娠・出産から復職というご自身の経験が、今のお仕事に何か影響を与えていますか?
秋山さん物事に対する考え方が変わりました。子育て中、自分のタイミングでできなかったり、どうしようもできなかったりということが多かったので、いろいろなことを受け入れられるようになりました。もともとははっきり決めたいタイプだったのですが、業務においても柔軟に対応できるようになった気がします。
それから、先に言ったように何が起こるかわからないので、前倒しでやろうという習慣がつきました。以前より時間を考えて仕事ができるようになったのも復職後の変化ですね。これからも家庭と仕事を両立させて、仕事をもっと任されるようになりたいです。
 
阿部さん:ここ数年、当社でも働くママ社員が増えてきて、喜ばしいことだなと思っています。以前は、子育てとの両立の中で、毎日の出社が負担になっている社員もいたと思います。在宅と出社の自由選択制によって、社員一人ひとりが自分らしいライフスタイルについて考えやすくなったと感じています。これからも、様々な背景を持つ社員にとって働きやすい会社であることを大切にしながら、社員のウェルビーイングに対する取り組みをしていきたいと考えています。
 

編集後記

在宅と出社の自由選択制にしたことで、オフィス=働く場所という考えから自由になったという話がとても興味深かったです。
今回お話を聞いた阿部さんは京都、秋山さんは東京ベースを拠点とされていますが、以前は京都本社で一緒に働いていらっしゃったとか。「はたママ」を通じた再会にお二人とも喜んでいた様子。和気あいあいとしたインタビューでした。

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ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。