事務・システム開発・デザイン等多岐にわたる業務のBPO(※1)サービスを提供するmamasan&company株式会社は、ママを積極的に採用し戦力とされています。今回は、代表取締役田中茂樹氏にお話しを伺いました。お客様のサービス利用メリットを最優先に考えながら、在宅勤務で限られた時間に働くママ達を束ねる手法は考え抜かれた組織運営がポイントでした。
今回は、当メディア(はたママ)を運営するシンプルメーカー代表の市川がインタビューに初挑戦!
※1:BPO(Business Process Outsourcing)は、自社の業務を一括して外部のBPO専門業者に委託する経営手法です。業務設計から業務の効果分析、改善案実行による業務効率化まで委託できます。
市川:本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます!
田中社長:こちらこそ。ちょっと余談なんですが、私たち見た目が似てますね(笑)いつもは、黒縁メガネなんですが、今日はたまたま金縁です!
市川:あははは。そうですね!服も白だし。
(田中社長のおかげで和やかにインタビューは始まりました^^ありがとうございます)
目次
徹底した仕組みづくりで、サービスの魅力をしっかり確保。
市川:では、まずBPO事業を開始したきっかけを教えていただけますか。
田中社長:友人の会社の業績回復を目的にコンサルとして関わった際に、バックオフィス業務のコスト削減を考えたのがきっかけでした。他のクリエイティブな業界を見た時に、業務委託でフリーの方に作業をお願いしている。バックオフィス業務も業務委託にできるのでは?と考えました。実際、その会社で年間3,000万円くらいのコスト削減に成功したので、サービス化してみることにしたんです。
はじめは身近にいる人から募集して業務を任せていったところ、ママが多かった。そんな背景もありmamasan&companyができました。
市川:創業から12年(2021年現在)、事業を順調に拡大されていますが御社のBPOサービスの魅力は何でしょう?
田中社長:弊社のサービスの魅力は、「コスト削減に繋がること」と「安定したクオリティを担保できること」だと思います。
どんな業務にも「業務の流れ」があります。クリエイティブな仕事にも。mamasan&companyでは、ご依頼いただいた業務プロセスを可視化してフローチャートを作り、徹底的にタスクを細分化し作業単価を設定しています。同時に、タスクごとに詳細なマニュアルを用意し、相応のスキルを持っていれば業務委託のスタッフが対応できるようにしています。
そうすることで、業務担当者を限定する必要もなくなり、対応時間もフレキシブルになるため、時間がなく予定の立てづらいママ達にも対応できる仕組みになっています。成果物にのみ費用が発生するため、お客様のコストを削減、安定させることができます。
特定の人に頼る必要がないため、作業の進捗にムラがなく弊社からの成果物は一定の品質を保つことができます。満足度120%の時もあれば40%の時もあるというようにムラがあるより、80%でも継続的に安定した品質のものを届けることが大切だと考えています。
市川:なるほど。お客様の利用メリットをしっかり確保できるよう、合理化されているんですね。
マネジメントチーム制によって、在宅作業でもコミュニケーションを円滑に。ママ達が主体的に働くことのできる環境。
市川:御社のお仕事を請け負うママ達の魅力は、どんなところでしょうか?
田中社長:よいしょしているワケではないんですが、一歩先を読んで計画を立て、継続的に安定して物事をこなせるのは女性の強みですよね。男性に比べサボったり弱音を吐いたりしない。子育てしているからか、ストレス耐性もついている。マッチョですよね!現実路線で計画的。
その分、現状維持になりやすく変化を好まない側面もあるように感じますが。そこは、傾向を自分たちで把握していれば、修正できますし問題ないと思っています。
市川:流動的に働くスタッフをマネジメントするのは、簡単ではなさそうですよね。
田中社長:先にお話しした業務遂行のためのオペレーションチームとは別に、結束力を高めるためにマネジメントチーム制を導入しています。
弊社の8割以上のスタッフが在宅勤務、業務委託のママですから、何もしなければ協力しようという意識が状況的に生まれにくいです。海外のスタッフもいますから時差もありコミュニケーションがすれ違ってしまいます。そこで、複数存在するマネジメントチームでは、mamasan&companyの考え方”ママさんBPO (※2)”を理解しキャリアを持つ1人のボスママとボスママを支える5人のサブママがシンママ(※3)のパフォーマンスと成長を支える構造になっています。
ボスママ・サブママ会議では、教育ツールをどうしていくとか、自分たちが運営主体となりどう運営していくのが良いのか考え発案します。ボスママは、採用から関わりコミュニティを育てていきます。コミュニティでの関わりのおかげで業務でも自然とお互いで助け合ったり踏ん張ることができているんですよね。
私はよく「長屋みたいな組織でいてほしい」と言っています。隣のちょっとしたトラブルにも口を出す。大きなお世話をし合う。こんなことを冗談ではなく真剣に説いています。
※2:ママさん(違った時間と場所で働く大勢のメンバー)が、細分化した作業フロー&整備されたマニュアルによって実現される、品質の安定したBPOサービス。
※3:mamasan&company独自の一般ママさんの呼称です。「シンママ」の「シン」には、信頼の「信」、心を込めたお仕事の「シン」、常に前進・進化する気持ちを持っての「進」などの意味が込められています。ボスママ・サブママ以外のママがシンママに当たります。
市川:面白いですね。マネジメントチーム体制によってママ達の成長を支えるということですが、各自スキルアップできる環境が整っているのでしょうか。
田中社長:そうですね。どんな環境でも努力すればスキルアップできるものだと思いますが、パソコンスキル取得のためのeラーニングシステムやレクチャー動画などの用意もあります。
あとは、長屋のようなコミュニティーですから、その中で刺激を受け成長できる環境だと思います。
市川:オフ会もされていると伺いましたが、頻度や様子を教えてください。
田中社長:コロナ禍では難しくなってしまいましたが、スタッフのオフ会を3ヶ月に一回程度開催しています。BPOオフィスが東京・沖縄・熊本・浦和・仙台とあるのでそこに集まったり、遠方で難しい人はオンライン会で集まります。
お客様にみていただいた事もありますが、オフ会でも仕事のことを熱く話しているママ達の姿に驚かれた事があります(笑)。
市川:オフ会でも仕事の話で盛り上がるというのは、意識が高い!長屋のようなという、田中社長の思いが根付いているのですね。
これまでのノウハウをサービス化して第2のmamasan&companyを作っていきたい
市川:最後にお話しいただける範囲で、今後の展望を教えていただけますか?
田中社長:コロナショックを受け企業体制を見直している企業様が多い今、必要とされているサービスだと考えているので上手く波に乗り事業を拡大していきたいですね。
また、業務プロセスは、企業の生産性にとって重要です。どんなに優秀な人がいても、きちっとしたプロセスでやっていなければ生産性は下がります。そこのところを追求していく「業務プロセス可視化及び最適化コンサルティングサービス」と共に、これまでのノウハウを生かし「テレワーク導入支援」も行なっていきます。最近では、mamasan&companyの組織運営方法を「いいね!」といっていいただける企業様に向けて、コーチングサービスやチーム育成サービスの提供もスタートしました。
労務契約を結び時間で人をしばらなくでも、在宅で時短でしか働けないママ達をマネジメントして、安定した組織運営ができるのだということを証明し続けていきたいですね。
市川:ありがとうございました。
mamasan&company様インフォメーション
https://mama-sun.com/jp/
最初にmamasan&companyさんに取材依頼させて頂こうと考えたのは、ママ人材の活用や、システム開発も行っているということで、当社(シンプルメーカー)と似た会社に見えたからでした。実際に取材させて頂くと当社とは全く異なる独自性を持った会社でした。ママさんたちが働く上でのメリット、デメリットとしっかり向き合い、徹底的に合理化、仕組化し、そこで働くママさんも、クライアント企業もwin winになれる仕組みが実現できていることにとても驚きました。
決してママさんたちが働くうえでのデメリットを理由に、サービスの質を落とすことなく、逆にクライアントにとってそれがメリットに感じる仕組みを作ることができたのは、田中社長が徹底して合理的にサービスを磨いていった結果だと思います。同じ経営者としてしっかり見習いたいと思いました。