働く時間はママではなく“自分自身”に戻ることができる〜後編〜 エンジニア・鄭基英(ジョン ギヨン)さん

在宅・フリーランスという働き方を選択した”働くママ”への「在宅ママインタビュー」。

今回は、弊社(シンプルメーカー)でエンジニアをされている鄭基英(ジョン ギヨン)さんのインタビューの後編です。

5年間住んでいたアメリカを離れ、今年3月に日本に戻った鄭さん。

今回は生後100日の赤ちゃんがいる状態で仕事に復帰したことや鄭さんが働く時に大切にしているルールを伺いました。

前編はこちらから。

アメリカから帰国して

今のお仕事を始めたきっかけはなんでしょうか?

アメリカから帰ってきて自分のキャリアを活かした仕事をしたいと思っていました。実際、子育てに理解のある会社ってまだまだ少ないじゃないですか。在宅であっても、9時から16時までは勤務して欲しいという条件があることも…。まだ生後3ヶ月の次女がいますし、通勤できる状況ではありません。

そんな状況で、完全在宅で働くことができるという、今の私が理想とする働き方ができる現在の会社で働かせていただくことになりました。在宅以外でも探してはいましたが…

在宅以外でも探していたのですね!実際どうでしたか?

会計士として戻ろうか迷いました。公認会計士の資格を取得したので、私自身、事業をスタートさせたいという想いもあったから。どうしようと考えて、コンサルの方と何回かお話をする機会はありましたが、在宅勤務が可能という仕事は少なくて…。

在宅の仕事も紹介していただいたのですが、最低週30〜40時間は働いて欲しいと言われました。プロジェクトを渡されてもうまく回らない可能性があり、会計士の仕事はとてもじゃないけど無理だろうなと思いました。

−今のお仕事を始めるにあたって、どのような行動をしましたか?(仕事の探し方、スキル習得など)

とにかく在宅でできる仕事を探しましたね。

探している間、市川社長が人を大切にする経営という記事を発信していて、それを読んだ時に深く共感。私の考えと方向が似ていると思いましたね。

ママの働き方に理解のある会社だと感じ、シンプルメーカーに応募しました。

−それでも小さいお子さんを育てながら仕事をするのは大変だと思います。どうして今のお仕事をしようと思ったのですか? 不安はありませんでしたか?

育児をしながらなので、やはり色々考えるところはありますよね。

それでも、やっぱり働くことが好きなので、少しでも働ける時間が作れるなら働きたいと思いました。エンジニアとして5年ほどのブランクがあったのと週20時間と短い業務時間なので、自分がちゃんと貢献できるのかという不安は消えなかったけど…。

在宅勤務で良かったこと

−在宅勤務で良かったことは?(働いていてよかったことは?)

働く時間はママではなく自分自身になれた気分。育児からのストレスを忘れることができます。

また仕事が終わると、家事と育児では味わえない達成感もある!

とてもいい気分で、子どもたちに向き合うことが可能になります。

−在宅勤務で困ったことや大変だったことは?(それをどう解決していきましたか?)

勤務時間は次女の睡眠パターンに合わせて決めていますが、それがなかなかうまくいかない日もありますね。ビデオ会議途中に起きて大泣きされたときは大変でした。

赤ちゃんの睡眠時間を毎日正確に把握するのは難しいですが、できるだけ規則正しい生活のリズムで生活できるように心がけています。

でも、仕事に泣かれることもしばしばあります。そういう場合は、

「すみません!抱っこして続けます」

と、その時の子どもの状況に合わせ臨機応変に対応させてもらっています。

今の会社の方々は、みなさん「大丈夫ですよ」と暖かく返信してくださるので心強い!

そのため、もっと会社に貢献できるようにならなきゃ!という想いも強くなっています。

−大事にしていること、ルールなどがあれば教えてください。

やっぱり子どものことですね。

仕事をしているともっと長い時間働きたいという気持ちも出てきますが、勤務時間が終わるとパソコンを閉じ、ちゃんと子どもと向き合うようにしています。

−仕事、家事、育児をどうやってバランスとっていますか?

家事は諦めるところは諦めるようにしています。例えば仕事の時間が思うようにとれなかった時は、夕飯の支度の時間にちょっと仕事して、夕飯は旦那に買ってきてもらうなどとしています。

私自身、もともと子どもと長くいれる方ではないかも(笑)。

アメリカ時代も預けて、自宅に帰ってきてからしっかりお世話をする…というのが自分には合っていました。

幸い上の子はプリスクールにもすぐに慣れてくれたので助かりました。

他の人の手を借りる、ということが多かったかもしれないですね。

もっと寛容になって、他人の手を借りるということも選択肢として取り入れた方がいいかもしれませんよね。私を含めて、他人の手を借りるのは不安を感じている人が多いような気がします。

−仕事で息抜きをするときのグッズやオススメの図書など、好きなものをご紹介ください。

あー疲れたと思うときは、大好きなアメリカのドラマ「フレンズ」を鑑賞します。

今まで何十回観たかわからないかも(笑)。

何も考えず笑えるので、見終わると幸せな気持ちになります。あとは、夕食時の旦那と一緒に飲むビール一杯!

あとは、ちょっとおしゃれなお皿を揃えるようになりましたね。

料理をする時に、お皿もかわいくすると気分が上がります。

娘がそういうのが好きなので、とても喜んでくれます!

これからの目標やプランについて

−これからどういう風に暮らしていきたいですか?目標やプランを教えていただきたいです。

子育てができて、その中で自分の仕事ができる今の環境をよりバランスよく維持して、会社にも家族にもまた自分にもWINWINな状態を作っていきたいと思います。

あとは働くママを応援するという理念を持つ今の会社にちゃんと貢献して、より多くのママを応援できる会社にしていきたいです。

駐在でアメリカに来た奥さん達ってものすごくキャリアを持っていらっしゃる。でも、駐在妻という立場を数年したことで、ブランクになってしまったことを非常に不安に思うようです。彼女たちが一歩踏み出せず躊躇している姿を見るともったいないなと思ってしまって…。

私はビジネスをやるつもりで公認会計士になったので、キャリアがあるのにブランクがあり、なかなか一歩踏み出せないママたちと一緒に何かやりたいなという想いがありますね。

アメリカでは、学校にお母さんがサイエンスを教えに来る、ということがあります。学校側からお母さんたちへ申請をお願いされることもありました。

そういうことがあるので、アメリカ時代は娘の学校に訪問して、プログラミング教えていたこともありました。この時はボランティアで行っていましたが、これをサービスにできたら面白いかなと思うことも。

−社会や国に対して望むこと、在宅(フリーランス)という働き方を選んで、どんな風に感じていますか?

通勤が難しい人を積極的に採用する企業をサポートする制度を増やして欲しいです。

やっぱり働く時間と場所に制限がある人を採用することは、企業側にとってもリスクを伴うこと。

でも社会的にそういう企業は、眠った人材を活用できる大事な存在です。

そのため行政がそういった企業をサポートし、より多くの人材を採用できるようにしていくことはとても大事なことではないでしょうか。

はたママ読者へメッセージ

−これから在宅やフリーランスで働きたいと思っているママさんやはたママの読者へメッセージをお願いします

3ヶ月の赤ちゃんがいる状態での在宅勤務は無理だといろんな人に言われていました。

「指が回るの?」

って。みんな、キーボードをうまく操れるのか不安だったようですね(笑)。

いざやってみると難しい時もありますが、不思議と子どもも協力してくれているのかなと思うような場面もあって、そのおかげで楽しく仕事させていただいています。

自分の環境を見て「無理かな…。」と悩む方もたくさんいると思いますが、少しでも働きたいという気持ちがあるときは、まずはネットでの検索だけでもいいので、行動に移してみるのをオススメします。

編集後記

はたママは7月に新しいwebサイトにリニューアルしましたが、その全ての作業を鄭さんがやってくださいました!ご自分の業務で多忙を極めているはずなのに、はたママのサイトを気遣ってくださり、O山の他愛のないメールでのおしゃべりにも付き合ってくれます。

今回のインタビューでは、そんな鄭さんの聡明さに脱帽したわけですが…!

前進し続けることができるのは、環境に甘えることなく学ぼうとする姿勢があるからだな、とインタビューを通して感じました。

アメリカでの子育て事情を伺って、子どものお迎えに合わせて帰宅するのが当たり前…という意識をみんなが持てるのは健全かもしれないと思いました。日本は独身であっても義務感のように会社に残ることもある。子どもを理由に帰宅すると、帰宅する側は罪悪感を持ち、残る側は嫌悪感を抱いたりします。この感情を払拭することができたら、心に余裕も生まれるのではと思いました。

鄭さんやこの在宅ママインタビューで出会った人たちみんなに共通していると思うことがあります。

それは、流れに抗わないこと。挑むといった刺々しさはなく、春風のように穏やかで軽やかに流れる…その柔らかさがチャンスをしっかり掴み取るのだと。私はそう感じました。

何もかもうまくいかない時は、強い負の感情に突き動かされている時なような気がします。

逆に言うと、その感情を手放すことさえできたら道は拓けるのかもしれません。

お話を伺いながら、頭の中にそのようなふっと考えが浮かんできたのでした。

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