育休取得したパパ社員が語る「家事育児の経験やキャリアの悩みを共有し共感することの大切さ」

株式会社ダーツライブで経営管理をしている多久さんは、2ヶ月の育休を取得しましたが取得前はキャリアが止まってしまうのではないかと不安に襲われたといいます。しかし、振り返ってみると育児のサポートはもちろん、キャリアを見直せた有意義な時間だったようです。その心境の変化の裏には何があったのでしょうか。

ココロを揺さぶるエンタテインメントを提供するダーツライブ

ー御社の事業内容を教えてください

弊社はセガサミーグループのグループ企業として2003年に設立しました。主な事業はエンタテインメントサービス及び、関連機器の開発・販売・運営です。
ソフトダーツマシンの先駆けとなったのが弊社で開発した「ダーツライブ」です。「ダーツライブ2」「ダーツライブ3」と専用ICカードによるネットワークサービスを中心に、ゲームコンテンツの企画・開発から各種プロモーション、イベントや大会等まで幅広く展開しています。

株式会社ダーツライブ
https://www.dartslive.co.jp/

ー働きやすい環境への取り組みや制度についてお聞かせください

働きやすい環境への取り組みとしてはフレックス制を導入しており、7:00〜22:00(コアタイム11:00〜16:00)の間で就業が可能です。
出勤スタイルは、出勤とリモートワークどちらも可能なハイブリッド勤務を採用しています(リモートワークは週3日まで)。双方の働き方のメリットを生かし、一人ひとりのライフスタイルにあった勤務スタイルを実現できます。
育児をしている社員に特化した独自の制度があるわけではありませんが、社内は子育てに理解がある環境です。子どもの有無に関わらず、それぞれが就業ルールの中で自身にとってベストだと感じられる働き方を実現し、育児中の社員もポジティブに働くことができています。

多久さんのキャリアや現在の働き方について

多久輝さんのプロフィール

勤務年数:13年目
業務内容:経営企画部
お子さんの年齢:1歳
居住地:東京都

多久さんはダーツライブ公式ブログ「シャイン」にも登場中!
https://www.dartslive.co.jp/jp/shine/interview-20201210/

ーダーツライブへは新卒で入社されたのですよね

そうですね。大学時代に演劇をやっていたこともありエンターテインメント業界で働いてみたいと思っていた時、就活サイトで弊社の求人を見つけました。セガサミーグループというバックボーンもありましたし、当時ダーツは未経験でしたが大人な感じで魅力的だなと。その後、面接して頂いたのがきっかけで入社しました。
2010年に新卒で入社をしているので、今は13年目になります。

ー今年の6月に経営企画部へ異動したとお聞きしました

入社当時はプロモーション部へ配属され、国内外のイベント企画・運営を行っていました。そこから12年ほどプロモーションをメインに働いていましたが、現場での経験を活かし今年から経営企画部に移動し経営管理を主に担当しています。

お仕事中の多久さん

ー現在の働き方を教えてください

弊社は週に3日までの在宅勤務が認められていますが、私自身は異動したばかりで新しい業務を教えてもらう機会も多いことから8〜9割ほどは出社していますね。出社勤務の方がコミュニケーションを取りやすく、仕事が進めやすいです。もちろん、個人的な作業をしたい時はリモートワークをしていますが、家にいると気を抜いてしまうこともありますから(笑)。基本は会社での作業がメインです。ですが、10月から娘が保育園に本格的に通い始めたので、子どもの体調不良の時はリモートワークを選択できるのでありがたいですね。子どもが居ながらの仕事は生産性が上がらずなかなか難しいなと痛感しているところです。社内には子どもがいるメンバーが多いので先輩ママ・パパのアドバイスに助けられています。

コロナ禍でのワンオペ育児。疲弊する妻を見て育休を決意

ー育休を取ろうと思ったきっかけは何かありましたか

娘が生まれる前から育休を取ろうかなと漠然と考えてはいましたが、実際に取得に向けて動き出したのは出産して1ヶ月後くらいでした。出産直後から育休を取れれば理想的だったのですが、ちょうど仕事が忙しい時期だったのと、生まれた時期が夏だったので1週間の夏休み期間を出産直後の育児当てようと考えていました。
ですが、出産直後から授乳や寝かしつけ、終わらないお世話と新しいことの連続じゃないですか。奥さんは僕に気を使って寝室を別にしてくれましたが、妻の育児の負担がどんどん大きくなり疲弊していく様子が見て取れました。これはまずいなと感じて育休取得を決断しました。
お互いの両親に手伝いに来てもらうという選択肢も考えましたが、コロナ禍で東京に来てもらうのが難しかったのです。特に、妻は実家が香港にあるので両親が入国するハードルが多くありました。

ー取得するにあたって社内の反応はどうでしたか

まずは人事と上司に相談しました。ネガティブな反応の人は誰もいなかったので、「取ってもいいんだ」と前向きな気持ちで取得できましたし、この経験を社内に還元しようというモチベーションも生まれました。
そこから3ヶ月かけて段階的に引き継ぎを行い、周りのメンバーも協力してくれたのでスムーズに育休へ入れました。実は、育休取得前に上司から部署の異動を打診されていました。時期を相談して、育休復帰後しばらくしてから異動する運びになりましたが、育休前の引き継ぎ時に今までの業務の棚卸しもできたので良かったと思っています。

ー実際に育休を取得してみていかがでしたか

ポジティブな面で言うと、親になった実感が沸きましたし、短期間で成長していく娘を見ることが出来たことはとても嬉しかったです。一方で大変だなと思ったのは、四六時中面倒をみないといけないため、自分の時間をなかなか作れなかったことですね。育休を取得した時に娘は生後5ヶ月で、離乳食がスタートした時期でした。ですが、10倍粥を作るのがまず大変だし、一口食べさせるのにも時間がかかります。うまくいかなくて妻と一瞬ギスギスすることもありました。でも、そういう経験を妻と一緒にできたことで、大変さを共有できるので良かったですね。

育休はキャリアの停止ではなくキャリアを広げる機会だった

ー育休中は社内の人とコミュニケーションを撮る機会はあったのでしょうか

2週間に1回ペースで30分ほどオンライン上のコミュニケーションを取っていました。ですが、強制的でも用意されていたわけでもなく、僕が気になっていた部分を共有してもらっていた感じですね。そこは上司にも柔軟に対応していただいたので感謝しています。

ー育休を取得することに不安は感じませんでしたか

育休を取得してしばらく経った頃、自分がいなくても回っている会社を見て「自分は必要とされているのだろうか」と考えていたころが一番しんどかったです。育休前はいろいろな案件を任されている自分がモチベーションでした。そこが覆される感覚はありましたね。
ただ、これって育休を僕より長く取得していた妻も感じていたこと。特に女性は復帰した後も時短勤務等で今まで以上に仕事にフォーカスできないもどかしさを感じると思います。育休特有の悩みを女性一人だけではなく、男性も共にしないといけないよなと。こういった感情を2人で共感し合えたことはある意味、男性の育休を取得するひとつの意義なのかなと感じました。

パパの育休は必ず取るべきとは限らない。取りやすい選択肢として自然に広がっていけば

お子さんと一緒の多久さん

ーこれから育休を考えているパパ社員にアドバイスをお願いします!

まず、大前提として育休は必ず取るべきかと言えばそうではなくてケースバイケースだと思っています。収入面も少なくなってしまいますし。自然な形で「誰しもが取りやすい選択肢」の一つとして普及していくことが望ましいのかなと。僕の場合は、コロナ禍や妻の実家が国外にあり育児のサポートが受けられなかったので育休を取る選択をしました。取得する場合は、準備期間をしっかり調整することが大切だと感じます。
今思い返してみれば2ヶ月の育休期間はあっという間でしたし、自分が恐れていたほど恐れる必要はなかったなと。むしろ、もう少し多く取得すれば良かったとさえ思います(笑)。あとは、妻の大変さや悩みを共有できる経験が出来ますし、自身のキャリアを一旦立ち止まって見てみる良い機会でもあるので、取得に悩んでいる人はぜひ取ってもらいたいです。

ー今後どのような自分になりたいと思っていますか

今まで現場で働いてきましたが、今年から管理に携わる部署になり環境が変わったので業務の幅を更に広げていきたいですね。広範囲の知識を持つジェネラリストとしてキャリアアップしていけたらなと思っています。
パパとしては、娘にいろいろな経験をさせてあげたいです。やはり、経験しないことには何をやりたいかもわからないと思うので。あとは自分が仕事で苦労した言語を学んでほしいです。妻が日本と香港のハーフで4ヶ国語を話せるので、娘には海外との接点を作ってあげながら言語や文化の違いに恐れずチャレンジできる子に育っていけば嬉しいです。

編集後記

ライター・Oカダ

初めての育児は昼も夜も自分の時間がなくお世話に追われ、まさにブラック企業状態です。しかし、コロナ禍や実家が遠方という理由からママが育児の大多数を背負ってしまうことが少なくありません。初めてだらけの育児と社会から離れてしまったような疎外感を感じる経験が私にもありました。パパの育休取得は、育児のサポートだけでなく、そういった不安感や大変さをママと共有するという意味でも大きな意義があるなと思いました。

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