1カ月間の育休をとった管理職パパ 〜「子育ては全部2人がかりで」 睡眠不足の辛さも分かち合う~

TSUTAYAや蔦屋書店、Tカードでおなじみの「カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社」のグループ企業である「CCCMKホールディングス株式会社」。同社でゼネラルマネージャーを務める篠崎さんは、1カ月間の育休を取得しました。管理職の立場で仕事を離れることは勇気がいる決断だったそうですが、実際に取ってみるといろいろな気づきがあったそう。そんな篠崎さんに仕事と子育ての両立について語っていただきました。そして、広報の中川さんには、同社の働きやすい制度についてお聞きしました。

「何を大事にして、どう働きたいか」ライフステージに合わせて選択可能

―御社の事業内容について教えてください。
中川さん「ユニークデータを解決力に。」をキーメッセージに掲げ、生活者からお預かりした大切で多種多様なデータをもとに、テクノロジーと対話力と提案力で、さまざまな企業のみなさまの課題を解決するカンパニーを目指しています。

会社情報 | CCCMKホールディングス| CCC MK HOLDINGS


 
―働きやすい環境への取り組み、それに対する社内での反応、また、現在感じている課題がありましたら教えてください。
中川さん新型コロナウイルス感染症の拡大前から、事情に応じて在宅や時短勤務を選択することもでき、周囲の理解もあるため、働きやすい環境は整っていると感じます。子育て中のパパ、ママ社員も多いです。最近、私の同期が育休を終えて時短勤務で復職したのですが、退勤時間になると早く帰るよう周囲が促してくれるそうです。
子育てに限らず人生のターニングポイントはありますが、その時々で「何を大事にして、どう働きたいか」さまざまな選択肢が用意されています。一時的にプライベートを重視する時期があっても、再びキャリアを形成することも可能で、各々の価値観に応えられるのではと思います。男性の育休取得も少しずつ増えています。
 
―男性管理職の取得も増えてきているのでしょうか?
 中川さん数はまだ少ないですが増えてきていて、その一人が今回登場してもらう篠崎です。

子育てと向き合うことで得られたもの

篠崎 友一さんプロフィール

職業:CCCMKホールディングス株式会社 ヘルスケアDivision ゼネラルマネージャー
<経歴>
2002年新卒入社。TSUTAYAの店舗、FCのスーパーバイザー・支店長を経て、2012年に台湾事業の立ち上げに参画。帰国後は新たな生活提案領域へのチャレンジとして二子玉川 蔦屋家電の立ち上げを行う。2020年よりCCCマーケティング㈱に異動、現職
<現在の業務内容>
CCCマーケティングの持つデータを活用した新たなBtoC、BtoBtoC向け事業創造をミッションとしています。具体的には、T会員向けヘルスケアアプリ「Tヘルスケア」の企画・開発や、データを活用した未病予防の取り組みなど、T会員のみなさまの健康づくりと正しい生活習慣の実践をサポートする事業開発に従事しています。
<在宅勤務の状況>
週2回出社・週3回在宅勤務
お子さんの年齢:1歳
居住地:神奈川県


―入社されたきっかけを教えてください。
篠崎さんたくさんの映画や音楽の提案を通じて、人々の人生を豊かにすることのできる場を提供している素敵な仕事だと思ったことです。
 
―1カ月間育休を取られたそうですね。周囲はどんな反応だったのでしょう?
篠崎さん長く望んで授かった子どもだったこともあり、子どもができたことを職場に報告する際に、育休を取ることは宣言していました。最初は、管理職の立場で1か月という期間にメンバーも驚いていましたが、子どもがいるメンバーも多く、すぐ状況を理解し応援してくれました。
システム上僕がボタンを押さないといけなかったり、評価に関わる相談があったりしたものの、育休中は基本的には業務からは離れていました。
 
―1カ月間という期間はいかがでしたか?
篠崎さん 1カ月間取得するというのは、自分の中ではすごく勇気がいる決断でした。みんなに迷惑をかけるのではないか、スムーズに復帰できるのかといった心配もしました。
ですが、実際に取ってみると、はじめての子育ては本当に忙しくて、あっという間に過ぎ去りました。初めての子育ては、想像していた100倍ぐらい大変というのが、僕の感覚です。もちろん、それ以上に嬉しいこともいっぱいあるから、なんとかやっていけるという感じでした。ですから、もう少し長い期間取ってもよかったなと今は思っています。
 
―復帰後に苦労したことはどんなことですか?
篠崎さん育休を取得する前に、それぞれのリーダーにお願いすること、お任せすることを明確にしていたのと、理解があり自走できるメンバーに恵まれていたので、スムーズに復帰できました。メンバーには少し負荷がかかったと思いますが、特に私自身は苦労したことはありませんでした。
 
―育休からの復職というご自身の経験が、今のお仕事にどのような影響を与えていますか?
篠崎さん育休ではじめて育児に向き合い、親の大変さ、妻の大変さを身に染みて理解することができました。また、理解し応援してくれたメンバーや会社にも感謝の気持ちが強いです。
自身の経験から、男性育休を当たり前に取れる環境の醸成や、子育てをしながら働くパパ・ママに寛容であること、特に子育てが原因でママがキャリアをあきらめるようなことがないような多様な働き方や評価について、まずは身近なところから変えていきたいと強く思うようになりました。
 
 ―ママになったことで働き方をセーブしようという方も、これまでいらっしゃったのでしょうか?
篠崎さんチームの中に、産休育休を複数回取っている人や、小さな子どもを抱えながら時短で働いている人もいて、話を聞いてみると、キャリアと子育ての板挟みで悩む場面が多々あるようです。自分が育休を取ってみて子育ての大変さが実感できたので、どうすればプライベートを大事にしながらもステップアップしていけるのか、それぞれの悩みに寄り添いながら考えていきたいですね。
 
―現在の働き方のメリットと課題について教えてください。
篠崎さんコロナ以降は、全社的に在宅と出社のハイブリッドワークに移行しました。現在は、週3回の在宅勤務をうまく活用させてもらい、子育てと仕事をシームレスに行えています。
課題を挙げるなら、在宅勤務だけだとどうしてもメンバーとの何気ない会話の機会が失われることです。悩みの相談もしにくくなってしまうので、週2回の出社の位置づけをコミュニケーションにおき、解決しようとしています。
 
―今後どんな自分になりたいと思っていますか。
篠崎さん育休や在宅勤務を活用させてもらうことで、子育てに向きあうことができています。日々学びがあり、自身の価値観も大きく変わりました。これからも仕事と子育てを、一時的なものではなく、線引きすることなく、ずっと両立していきたいと思っています。子育てを通じて、人の多様性に寛容でありたい、多様な働き方に寛容でありたい、という思いを強く持ったので、そうあれる自分になりたいと思います。
 
―「育休を取ってみたいけれどためらっている」という男性を後押しするようなメッセージをお願いします!
篠崎さん我が家は、「分担」とか「手伝う」とかではなく、「子育ては全部2人がかりでやる!」ということを夫婦で決めていました。授乳はできませんが、それ以外のことは全部一緒にやっています。一緒に子育てをして同じ場面を見て、共感しあえるから、喧嘩になることはあまりありません。これが育休を取ることのおすすめポイントですね。
 
―「全部2人がかりで」というのは、具体的にはどんなふうにしているんですか?
篠崎さん夜中の授乳のときは、僕も妻と一緒に起きるようにしています。照明の調節をしたり、ミルクの時はミルクを作ったりします。そして、妻の授乳が終わったら、また一緒に寝ます。たとえば、寝かしつけは夫がやって、夜中子どもが起きた時の授乳は妻がやるといったような分担制ではありません。
お風呂も一緒にいれますし、食事のときも妻が離乳食をあげて、僕が飲み物を飲ませるとか…ちょっと変わっていますかね(笑)
 
―すごいですね。夜中一緒に起きて、日中眠くなりませんか?
篠崎さん2人とも同時に睡眠不足になるというデメリットは確かにあります(笑)
 
―睡眠不足の辛さも分かち合うということですね。
篠崎さんそうです。分かち合って喧嘩にならないから、我が家は今そのほうがいいかなと考えています。
もう一つ付け加えると、育休に関する法改正がされ、2022年4月から、企業が従業員に対して育休の周知や取得の意向確認をすることが義務化されました。
たとえば、コロナ以前は難しいと思われていたリモートワークも、感染拡大でやらざるを得ない環境になったら、こうすればできるというふうに意識が変わり、なじんでいきましたよね。
それと同じように、実際に育休を取得した社員が現状を変えていくボトムアップと、法律や制度というトップダウンがうまくかみ合って、これまでの日本の社会における「子育ての当たり前」が変わるきっかけになればいいなと思います。
 

編集後記

 編集後記
子育ては想像の100倍大変とのことでしたが、苦労も喜びも2人で分かち合う子育て、素敵ですね。そして、子育ての大変さを実感できたからこそ、メンバーの多様な働き方を尊重でき、さらに働きやすくなる、そんないいサイクルがCCCMKホールディングス株式会社ではできているように感じました。

SNSへのシェアをお願いします!
ABOUT US
ライター・Y田
フリーライター兼フォトグラファー。仕事と子育てを両立したいママをサポートするNPO法人との縁で、働き方をテーマとする記事を執筆するように。取材を通していろいろな人や企業に出会うことが楽しみ。プライベートでは、中学生の女子の母。