「お客様の仕事も、自分のキャリアも止めない」。二枚看板制で挑む新しい働き方の選択 ~株式会社クラウドバディ 代表取締役 横川奈央子さん~

子育てやライフステージの変化を迎える中で、「これまでのキャリアがリセットされてしまうのではないか」という不安を抱くママは少なくありません。そんな不安に寄り添い、オンラインでありながらチームで強く助け合い、個人として圧倒的な成長を遂げられる環境を提供している企業があります。

今回お話を伺ったのは、株式会社クラウドバディ代表の横川奈央子さん。同社は「Change the Rule」をテーマに、既存のやり方に囚われないBPRコンサルティングやBPO・アウトソーシング、業務自動化・AI開発支援を展開し、企業の業務効率化を力強く牽引しています。

明確なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)はあえて定めず、「チームではたらく」「仕事をたのしむ」「限界を決めずに成長する」という3つの価値観を何よりも大切にしているという横川さん。オンラインでありながら、まるで「職場」にいるような温かい一体感を生み出す工夫や、「お客様の仕事を止めない」ためのチーム体制についてじっくり伺いました。

横川奈央子さんのプロフィール

役職: 代表取締役
ご経歴(簡単に):2005年エン・ジャパン株式会社(現エン株式会社)に新卒入社。2007年〜イー・ギャランティ株式会社で人事〜法人営業を経験、2社(総合保険代理店、大手リース会社)の出向を経験。2019年〜株式会社ライトワークスにてインサイドセールス、営業企画、CHROを経験。2024年齊藤ビジネスデザイン株式会社の共同創業、Cloud Buddy事業の立ち上げ、2026年代表取締役就任。
社長就任歴:今回が初めて
居住地(都道府県程度):東京都

組織の仕組みと「二枚看板制」について

急な交代が起きてもお客様の仕事を止めないために、情報の可視化や進捗管理で「徹底している共通ルール」はありますか?

私たちは「お客様の仕事を止めない」ことを主目的として、一つの案件に対して担当者を二人配置する「二枚看板制」を導入しています。子供の急な発熱などで手を止めなければならない場面は必ずやってきます。その時に、チームの誰かが「今は安心してお子さんに集中してね」と言い合える環境を目指して作られた体制です。

この体制を維持するために、現場で徹底しているルールが二つあります。一つ目は、それぞれの業務に対して明確な「手順書」を用意すること。前後の文脈が分からなくても、手順書さえ見れば誰でもすぐに業務ができる状態にすることを原則にしています。

二つ目は、二人の担当者に加えて、必ず「リーダー」を一人配置することです。リーダーが全体を見て具体的にタスクを落とし込んでからメンバーに渡すことで、次に稼働する人もパッと状況が理解できて迷わず業務に移れます。一人の担当者に仕事を抱え込ませず、情報の可視化とリーダーによる交通整理を徹底することが、この二枚看板制をうまく回すための核になっています。

「今回はチームを頼って、次はあなたが手を差し伸べて」という声がけによって、メンバー同士が自発的にフォローし合った象徴的なエピソードはありますか?

オンライン中心の働き方だからこそ、普段からとにかく丁寧に言葉を交わすテキストコミュニケーションを意識しています。私が代表として意識しているのは、「今回は大変な状況だから、しっかりとチームを頼ってね。その代わり、次に他のメンバーが困っていたら、ぜひその時は温かく手を差し伸べてあげてね」と伝えることです。

お子さんの急な病気やメンバー自身の体調不良など、突発的な事態が起きたときはチャットでチーム宛てに相談が飛びます。すると、メンバーの中から「私、そこ代わりに入れますよ!」と自発的に手があがって声がかかってくるんです。そこから先はリーダーが即座に体制を組み直します。もし誰も入れない日があれば、最終的にはリーダー自身がカバーするルールにしているため、業務が止まることはありません。

最新の手順書が常に用意されているからこそできることですし、何よりメンバーが「お互い様」という気持ちを持ってくれているので、自然と助け合える素晴らしい空気ができ上がっています。必ず二人以上のチームなので、誰でもカバーできるようになっています。

メンバーの多様性と働き方について

「オンライン業務委託だからこそできる経験」として、具体的にどのようなステップアップの事例がありますか?

まさに今、30代前半で一番長く働いてくれている方のステップアップが理想的です。彼女は結婚と出産でしばらくブランクがあり、前職では特定のツール(Salesforce)の導入支援しかやったことがない状態でした。

ですが、うちに入ってからの彼女の動きを見ていると、作業が早くて正確ですし、コミュニケーションも非常に密で本当に優秀だったんです。そこで、一般事務として置いておくのはもったいないと感じ、複数ある業務を一つに統合して全体を管理する「マネジメント(統括)」にチャレンジしてみない?と声をかけました。

最初は「未経験ですが、やらせてください」と前向きに始めてくれたのですが、非常に学習意欲が高く、業務の流れを綺麗に一本化していく仕組みを作ってくれたんです。その結果、今では5〜6人のメンバーの面倒を見るリーダーとして大活躍しています。一般的な企業だと、ブランクがあると裁量のあるポジションに就くのは難しいかもしれません。ですが私たちは、「実力と意欲があるんだから、絶対にできるよね」という目線でフラットに判断しています。

キャリア支援と教育の強みについて

事務職の枠を超えたプロを育てる上で、トラブルなどの振り返りの場ではどのような課題設定のアドバイスをされていますか?

お客様からのご要望に対して作業に時間がかかってしまったり、あるいはエラーを出してしまったりということは起こってきます。お客様からいただいたフィードバックは、良いことも悪いこともすべてそのまま本人に伝えるようにしています。

私は、そういうフィードバックに対して「次は絶対にやってやるぞ」「次はもっとうまくやろう」という、良い意味での“何くそ精神”を持って向き合ってくれる人こそが、一番大きく成長してくれると思っています。だからこそ、自分の仕事に対してしっかりと責任感を持ってほしいという想いがあります。

もし少し大きめのトラブルが起きてしまった場合には、ただの指摘で終わらせるのではなく、必ず関係者を全員集めて「今回の件は、本当はどうすれば防げたかな?」「何をすれば一番良かったんだろうね」ということをみんなで一緒に考える場を作ります。頭ごなしに叱るのではなく、全員で客観的にプロセスを振り返ることで、本人にとっても「しっかり反省して、次は絶対に挽回しよう!」という前向きな思いが生まれるきっかけになります。そういった「挽回のチャンスがある場」を意図して作るということは、常に意識していますね。

お客様から「バイネーム(個人名)」で意見や感謝の言葉をいただくとのことですが、これはどのように集計し、メンバーへ共有されているのでしょうか?

お客様との直接のコミュニケーションの中でいただくことが多いですね。定例ミーティングや日々のチャットの中で、お客様から「今回〇〇さんがこういう動きをしてくれたのが本当にありがたかった」と、スタッフの個人名を挙げて直接お褒めいただくことがよくあるんです。

そういう嬉しい言葉をいただいたときは、すぐにチャットで本人にフィードバックとして返します。これをちゃんと本人に戻してあげると、やっぱりものすごくやる気が出ますよね。

それと同時に、チームの他のメンバーから見ても「あ、あの人のあの動きがお客様に喜ばれたんだ。じゃあ自分も真似してみよう」という素晴らしい発想になります。個人名での評価が飛び交うことで、一人ひとりのモチベーションだけでなく、チーム全体の総合力がどんどん底上げされていくという良いサイクルが生まれているなと実感しています。

今後の展望と読者へのメッセージ

最後に、仕事と家庭の両立やこれからのキャリア形成に悩んでいる「はたママproject」の読者の方へメッセージをお願いします。

私自身、出産時に会社から「あてにされなくなった」と感じ、マミートラックにハマって強い焦りを抱いた過去があります。

今の時代、自由に動けるフリーランスを選ぶママは増えていますが、孤独ゆえに適切なフィードバックや評価をもらえる場が少なくなる難しさもあります。人が成長するためには、自分の仕事を客観的に見て評価してもらえる「場」があることが物凄く大切です。

だからこそ、在宅であってもオンラインであっても「ここが私の職場です」と胸を張って呼べる所属先を一つ持っておくこと。それがこれからのママたちの安心感と成長に繋がります。

誰かに決められた道ではなく、自分自身が納得のいく働き方を選択してほしいですし、私たちはその前向きな挑戦を全力で支援し続けます。

編集後記

はたさん

「仕組みがあること」と「それが文化として息づいていること」は別物なのだと、今回あらためて感じました。「二枚看板制」や「手順書の可視化」も、横川さんのもとでメンバーが率先して助け合い、「職場」のような繋がりを大切にしているからこそ機能しています。

甘やかしではなく、全員で成果を出し、限界を決めずに成長するための余白。だからこそ、個人名で評価されるプロとしての緊張感も失われない。「キャリアを諦めない」という選択は、理想論ではなく、徹底された組織設計とリスペクトの積み重ねなのだと教えていただきました。

関連リンク

株式会社クラウドバディ
https://cloudbuddy.biz/company/

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