【子育て中の働き方を考える】本当に働きやすい環境を手に入れる方法

この記事は、こんな方にオススメです!

  • 仕事復帰を前に、不安を抱える育児休暇中のママ
  • これからまた働こうと考えているママ
  • 転職しようか迷っているママ

18歳未満の子どものいる世帯(1073.7万世帯)におけるママの就業率は、年々上昇し、2021年には「仕事あり」の割合は75.9%となっています(厚生労働省調査より)。共働き家庭の増える中、多様な働き方ができ選択肢の多い現在だからこそ、小さい子どもを抱えてキャリアの描き方に迷うママも多いのではないでしょうか。働きやすいからと待遇を妥協する。その逆も然り…。どうするのが良いのでしょう?今回の記事は、悩めるママにヒントをご紹介。
株式会社リクルートに始まり、人材業界にて長年、人材紹介、採用支援に関わってこられた神村 昌志さんとお話させていただきました。

ママの社会復帰について

昨今のコロナ流行を発端として、テレワーク制度を導入される企業様が増えてきました。それによって一度会社を辞め子育てに専念したママも社会復帰しやすくなった側面があります。神村さんは、この状況をどのように感じますか?

神村さん:確かに在宅で仕事ができて、「パソコンに向かって作業する。何となくクリエイティブ!」というところで、働きやすさやイメージだけで”作業”的な仕事に就いてしまう方がいるのではないかと思うと心配になりますね。

ー なるほど。ただ、パートナーのお給料が思うように上がっていかない中で、目の前にいる子どもの事を考えて、少しでも収入を得るために働かなければ!と考えて焦るママも多いですよね。

神村さん:そういう場合、パートナーの意識も変えていかなければならないと思うけれど、ママ達はスキマ時間に働くといった事を考えるより、焦らず実になるインプットをしてから社会に復帰する、外部サービスなどを利用して働くための一定の時間を確保して、キャリアアップを見込める仕事をしてしっかり稼ぐ力をつけるのが良いのではないでしょうか。
もちろん、ご自身で起業にチャレンジするというのも、一つの選択肢だと思います。

育児に奮闘中のママ・パパが知らず識らずに身につけているスキルがある

ー 「焦らない」という事が大切ですね。子育てに専念し、仕事から離れた時期があるとまた働けるのかと、不安になるママは多いです。

神村さん:私の会社で産休・育休を取っている人も不安そうです。でも、おそらく子育てを通じて、皆さんスキルアップしているのでは?。子どもは急に泣き出したり、機嫌を損ねたり、予定通りではないですよね。 顧客の扱い方や同僚とのコミュニケーション、マルチタスクスキル、効率的な作業の進め方…何も分からない子どもをサポートすることから、これらを知らず識らず学んでいますよね!生活の中でしているあらゆる事が、仕事のスキル向上に役に立っているのです。

ー 確かに。子どもを産んでから働き方が変わったという方は本当に多いです!

神村さん:そうですよ。私が過去にいた会社でも成績優秀者は、いつも女性でした。圧倒的な集中力と作業効率化を徹底していたんですよね。徹底的に作業の無駄を省き、限られた時間の中で、成果を上げている人がいました。
以前成果を上げていた女性社員に、社員向けの作業効率化のセミナーをしてもらったこともあります。


ー そういった部分で自信を持って、職場復帰、社会復帰にのぞめばよいですね。

神村さん:そうです。仕事時間の確保も悩みの一つだと思いますが、子育てを経験する中で、時間管理はおのずとできていく。その経験によって、残業しなくても良いように高いパフォーマンスで仕事こなすようになるのですから。

職場復帰、再就職後に役立つインプットとは

ー あとは、実になるインプットというところで、迷ってしまう方が多いと思うのですよね。そのあたり、何かアドバイスをいただけますでしょうか。

神村さん:育休中の方は、現在の仕事の質をあげるためのインプットをするのが良いと思います。仕事ではアウトプットが求められます。育休中、時間が許す範囲で情報を入れ、ご自身の知識を増やしておく事が復帰に向けての自信に繋がるのではないでしょうか。

一度お仕事を退職された方も、それまでの経験をゼロと考えるのではなく、そこに上乗せする形でキャリアの構築を考え、インプットする事を決定するのが良いと思います。
そうする事で、ご自身の希望する環境で働ける可能性が高くなります。

働く時間や価値あるインプットのための時間は、思い切ってお金を払って作る方法も

ー 外部サービスについては、家事代行サービスやベビーシッターなど以前より利用する方は増えていると思います。ただ費用が高額だったり、子どもを預ける事に不安があったりと気軽に利用できないでいます。

神村さん:子どもを預けることへの不安については、とてもよくわかります!ただ、必ずしも1日中ママが子どもと一緒に過ごすことが良いということはないと思います。無理をしすぎたママがイライラして子どもに当たってしまう事も無きにしも非ずですし。産後鬱や育児ノイローゼになってしまうことも…。
特に今は、一度社会に出てから出産・子育てを経験する方が多いので、より可能性が高いと感じます。

家事は思い切ってプロの手を借りてみる、ベビーシッターに預けてみる、というチャレンジをしてみるのは良いことだと思います。そうして確保した時間を、自分自身の学び(インプット)に費やしてみてはどうでしょうか。
ママ達の力も、日本の成長の今後の要ですから。プロの手を借りて報酬をお支払いすることも日本の経済を回していくことにつながっていると感じます。お子さんの成長した後の日本経済のためにも、広い視野で何をするのかを考えてて欲しいですね。

育児の次には介護がある。だからこそ稼いでいく力が必要。

ー はたママでインタビューさせていただく方達も上手にパートナーと家事を分担されていたり、サービスを利用されています。

神村さん:そうですよね。家のことは、女性がしなければならないなんてということはないし、さらに言うと、夫婦で家庭のことを全てやらないといけないという決まりもありませんよ。

そこに異論を唱える旦那さんだったら…正直なところ、そんな理解のない旦那さんを選ばなければよいとさえ思います(笑)。 苦労するのは、「旦那に理解がない」か「会社に理解がない」かの場合だと思っています。

ー そうですね。理解があるかどうかは本当に重要ですね!まず、態度で感じますものね。

神村さん:ただ、こうやって子育て期の働き方についてお話ししていますが、実際は子どもが落ち着いた頃に、親の介護の問題がでてくる場合もあります。出産する年齢も上がっていますからなおさらですよね。

そうなると、働きながら誰かの面倒を見る時期は長い。そんな中でも、働き稼ぐ力を一人ひとりがしっかり持つべきです。 会社の理解が必要になるのは、出産や子育てだけではありませんから。

自ら働きやすい環境を獲得できる人材を目指すことが重要

ー 育児の後に介護…。”今”だけに目を向けていてはダメですね。

神村さん:育児は、子どもの成長という希望があるから頑張れるけれど、介護となるとまた違いますからね。
でも、子育ても介護も、誰がするという決まりはないですよね。そういう意味では、男性でも女性でも、働く中で当事者となり働き方に悩む時は来るでしょう。 そういった時に、社員が働きやすいように制度等を整えるのが企業の役目です。

制度や待遇は、権利の獲得だと思うんです。「こういう制度にしてくれたら、もっと私は働けますよ。」と。 そこで、理解のない企業なら辞めればいいんです!
自ら働きやすい環境を獲得できる人材を目指すことが重要です。

企業にぶら下がるといった受け身の姿勢ではなく。といった感じでしょうか。ついつい働きやすさで選んでしまいたくなりますが。

神村さん:そう。最近は制度合戦みたいになっている節がありますよね。働きやすさを掲げた求人広告なんてナンセンスですよ!

そういう私も以前、女性活躍推進が企業に求められ始めた頃、PR的な事を考えて、人材会社で女性社員のプロジェクトを立ち上げ、会社の隣に保育所を設置しようとした事がありました。専門のコンサルタント企業に入ってもらってね。いざ、実現するとなった時、最後の最後に、女性社員からの反対に合いました。「保育所設置の恩恵を受けるのは、一部の人に限られてしまう。それであれば、運営費用をベビーシッター補助などとして分配してもらった方がいい。」という意見が挙がったのです。会社主導でこういうのを作っていってもダメなんだなと痛感しました。

企業は、働く人に100%平等に機会を与え、公平な評価をすべきですよね。ここを前提としなければ、公正な制度づくりはできません。制度づくりのそもそもを間違ってしまうと、おかしな事になってしまいます。

ー 中立な立場で、働く人の事を考える企業…!そういった文化のある企業を選ぶ事も長く働くためには、重要かもしれませんね。

神村さん:そうですね。でも、最も重要な事は、権利をしっかり獲得できるように自分を育てるという事が大切です!

ー はい!肝に命じます!ありがとうございました。

編集後記

子育てをしながら働きやすい会社ってどんな会社だろう?はたママメディアを運営する中でよく考えます。

そういえば、はたママインタビューでも「制度が整っていたから入社しました」という方はほとんどいません。皆さん、自分の環境の中で働きやすい居場所を作りあげていました。「考えすぎずに、目の前の業務、担っている役割で結果を出せるように取り組むこと」「自分の今持っているスキルを把握し、その上でより高度な仕事ができるよう必要なことを身につける事が大切」。神村さんのインタビューを通して、改めて感じました。

教えてくださったのは、神村 昌志さん!

国内人材企業2社をそれぞれ東証マザーズとジャスダック上場に導くなどグローバル人材業界で群を抜く実績を残し、業界の「殿堂入り」に相当する賞も受賞したIPOのスペシャリスト。出版、人材分野での豊富な経験に加え、企業経営にも精通。

現在は、「日本社会を元気にする!」をモットーに、キャリアコーチングや次世代を担う子ども達の育つ環境をより良くする活動に奮闘中!
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