4児の母が叶えた、業務委託から取締役の道~育児と仕事、両立の秘訣 ~株式会社Piece to Peace元取締役 毛利優子さん

大学時代に結婚・出産を経験し、就職活動を育児とともにスタートさせた毛利優子さん。
育児と仕事の両立をしながら2度転職を経験し、現在は4児の母でありながら業務委託から取締役というキャリアを実現させ、今年6月にフリーへと転身しました。
どのように育児と向き合い、両立をしてきたのか。これまでの経歴や苦難とともに毛利さんならではの両立法についてお話を伺いました。

毛利優子さんのプロフィール
  • 大学在学中に結婚、長男出産
  • 新卒で監査法人に就職 2 人目、3 人目を年子で出産
  • WEB企画・制作会社に転職→新サイト立ち上げで月10 万PV、収益化を実現
  • 2014 年、独立 
    『働くママが必ず悩む36のこと』(日本実業出版社)を出版、企業でキャリアや働き方の講演などを行う。
  • キャリーミー※の立ち上げにプロ人材(業務委託)として参画後、2022年から取締役に就任 4 人目を出産
    (※専門性の高い人材と企業をマッチングさせる人材サービス)
  • 2024年6月にフリーに転身

4児のママ流~育児と仕事、両立の秘訣~

―4児の母である毛利さん。日々、育児に仕事にとお忙しいと思いますがどんな生活を送られていますか?

仕事で疲れて出前を頼む日もありますし、学校の提出物を忘れてしまったり、完璧とはほど遠い生活です…(笑)
高校生ふたり、中学生ひとり、小学1年生ひとりを送り出して、下の子が学童から帰ってくるまでが仕事時間です。
役員時代は出社週3、リモート週2くらいでしたが、いまはフリーなので、基本リモートでお仕事をしています。

―育児と仕事の両立をする上で、大切にしていることはありますか?

「引き算思考」と「長期視点でものを考えること」を意識しています。
引き算思考は最低限これがあったらとりあえず幸せだと思えるものは何か?と考えることです。
私でいうと、「自立すること」「家族が元気で過ごせること」の2つです。
広い家に住みたい
給与を上げたい
海外旅行にいきたい
など理想をあげればたくさんあると思います。
そういった目標を持つことでポジティブに行動できる時は良いのですが、迷った時は引き算の思考で原点を意識して、その他はプラスアルファで楽しめたら良いなくらいに思っています。
また仕事や子育てで日々追われていると、うまくいかないなぁと落ち込んだり、モヤモヤすることも多いですが、そういうときほど10年単位など長期の目線で考えるようにしています。
10年後を考えて後悔しないために、今は転職して新しいスキルを身につけるべきなのか、子どもとの時間を増やすべきなのかなど、時間軸を広げることで見えてくる選択肢があるからです。
家族の年表をつくると、この時は学費がかなりかかるな、親もこの年齢になっているな、など具体的にイメージしやすくなるのでおすすめです。

就活と育児を同時にスタート!大学生で長男を出産

―大学時代に結婚・出産され、異色の経歴で就活をスタートさせた毛利さん。
 大変なことも多かったと思いますが、当時のことを教えてください。

実家を出て、出産、子育て、家事、就職活動など初めてづくしが重なり、わけのわからない毎日でした。加えて網膜剥離で失明の危機に陥るなど、人生のライブイベントがすべて重なった1年で記憶があまりないほどです(笑)
長男は一歳になると同時に保育園生活をスタートしたのですが、私も同じくして社会人一年生になりました。
一番下っぱなのに、残業できないのは肩身が狭かったのですが、優しい先輩に指導いただき、限られた時間の中でも成果を出せるよう、ビジネス書で読んだことを仕事に反映させてみるなど、できることから工夫していました。

正社員から個人事業主へ 独立を決意

―2度の転職を経たのち、個人事業主として独立されています。
 転職されてどのようなキャリアを積んだのでしょうか。

1度目の転職は、20代後半の時で、「このままでは10年後のキャリアが見えない」と感じ、新しいスキルを身につけたいという焦りが原動力になりました。
給与が半分になっても自分のスキルが身につく場所に行こうと決めて転職活動をスタート。
「残業できない」「未経験の職種への転職」ということでエージェントでもなかなか相手にしてもらえませんでしたが、最終的に自己応募した横浜のWEBメディアの企画・運営会社に正社員として入れてもらいました。
Webマーケティングやライティングは全く未経験でしたが、出社初日で、Webサイトの企画書を出してと言われて驚きましたが、同時にワクワクしたのを覚えています。
自身が日々仕事と育児の両立に悩んでいたので、同じような悩みを持つ方の役に立ちたいという思いがあり、働くママのためのサイトをゼロから企画。すべての記事の執筆を担当し、社長にチェックしてもらって、少しずつ経験を積んでいきました。ここでのサイトの立ち上げ経験や記事のライティング、SEOの知識はその後のキャリアの軸になっています。

―その後、なぜ独立をされたのですか?

理由は大きく2つありました。
1つ目は、当時勤めていた会社が家からかなり遠く、通勤時間が片道2時間かかりました。保育園に間に合うように時短勤務で朝早く出勤。子どもたちが登校するよりも私が先に出勤し、その後はパパにお願いしていましたが、一年生の長女が毎朝泣いてしまうので、家にいる時間を増やした方が良いと直感的に思いました。
2つ目は、色々なビジネス書を読んでいる中で、テクノロジーの進歩により働き方が大きく変わってきていることを感じ、自分も新しい働き方に挑戦したいと思ったからです。

月額3万の業務委託から取締役に就任

―業務委託から取締役になるまでの経緯を教えてください。

個人事業主になってからは、出版コンテストに応募して、『これで解決。働くママが必ず悩む36のこと』(日本実業出版社)を出版したり、企業で仕事と育児の両立に関する講演などをしていました。育児とキャリアを両立するための情報を発信できることにやりがいはありましたが、同時に情報発信するだけでは、残業、転勤など画一的な働き方でしかキャリアが積めない現状の仕組みを変えることは難しいというジレンマを抱えていました。
そんな時、株式会社Piece to Peace代表の大澤と出会い、「働き方がもっと柔軟になれば、もっと活躍できる人が増えるはず!」という強い想いからキャリーミーの立ち上げに参画しました。
しかし、最初はアドバイスのみで月3万円からスタート(笑)
業務委託は何時間働いたからいくらという時間へのコミットではなく、アウトプットに対して報酬や契約の継続が決まります。
その分厳しいですが、やりがいもありますし、努力すればスキルや実績も伸ばすことができます。
特に事業立ち上げのフェーズだったこともあり、自分の報酬をつくるためにはまず売上をつくらなくてはいけないというマインドを作れたのは大きな収穫でした。
当時は人がいなかったので、マーケティングの担当ではあったものの、営業、登録者の方とのキャリア面談、請求書作成など必要なことは何でもやりました。
結果のために業務を限定せずに取り組んだことが取締役への抜擢へとつながったのかもしれません。

―取締役に抜擢された時の心境はいかがでしたか?

お声がけをいただいたときは、責任が重いポジションですし、子育てとのバランスを考えてすぐにお返事できませんでした。
もともと業務委託でCMOをしていたので、もっと社内のことを知るために出社を増やしたり、経営に関わるMTGなども参加して状況を把握することからスタートしました。それまで事業立ち上げから右肩あがりに成長していたのが、初めて売上が下がった大変な時期でもあったので、少しでも役に立てればという思いでお引き受けした形です。
それまではマーケティングやPRが管轄範囲でしたが、プロ人材としてCOO的な役割の方に入ってもらい、事業計画書の数字を各部署に落とし込んだり、採用や評価制度の設計も一緒に考えたりと、マーケティングPR以外の部分の業務比重も増えました。私自身も経営に関わることで、プレッシャーは大きかったですが、勉強になることもとても多かったです。
色々な壁にぶつかりながらも、社内一丸となって一旦下がってしまった売上も持ち直して最高売上を更新することができました。

今後の挑戦とメッセージ

―今後の毛利さんの目標を教えてください。

2024年6月に事業立ち上げから8年半携わってきた株式会社Piece to Peace(キャリーミー)の取締役を退任し、卒業しました。
40歳を目前にまたゼロからのスタートですが、家族との時間を増やしながら、自身のインプット、学びの時間を増やしたいと思っています。
ありがたいことにキャリーミーで広げてきたプロ契約(業務委託)という働き方で、色々な企業様からご相談を頂いています。
これまでの経験を活かして、担当させていただく企業様に貢献できるように精一杯取り組みつつ、家族と過ごせる時間を大切にしたいです。
大学生で出産した長男が今年は高校3年生で受験生。「光陰矢の如し」を日々実感しています。
日本で生まれ育ち、子育てができていることに感謝しているので、長期的な目線では、日本への恩返しができるような取り組みも考えたいですね。

―最後に、働きながら子育てをするママ、パパの方へ、4児の母である毛利さんからメッセージをお願いします。

コロナを経てリモートでの打ち合わせやミーティングが当たり前となり働き方は大きくかわりました。また、正社員でも週3正社員や業務委託(プロ人材、クラウドソーシング、顧問)や派遣などキャリアの選択肢は増えて、昔と比較すると両立のしやすさは格段に広がっていると思います。
日々、両立に努力している自分を褒めつつ、ご家庭の状況に応じて柔軟にキャリアプランを見直してみることをおすすめします。

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