【企業インタビュー】仕事も家族もどちらも諦めたくない。 在宅勤務を選択した私の生き方。 株式会社エイチームライフスタイル・米山美樹さん 後編

前回に引き続き、転機を迎えた社員の働き方に関する課題解決に取り組んでいる、株式会社エイチームの子会社である株式会社エイチームライフスタイルに所属する米山美樹さんにインタビュー。今回は会社の制度について詳しくお尋ねしています。

はたママ読者へのメッセージもあるのでお見逃しなく♪

前編はこちらから。)

株式会社エイチームGreat Place to Work®発表2020年日本版「働きがいのある会社」女性ランキングにもランクインされています。

株式会社エイチームは、インターネットを軸に多様な技術領域・ビジネス領域において事業を展開する総合IT企業。ライフスタイルサポート事業として、ライフエンディング情報サイト「Life.」など、生活に密着したWebサービスを展開されています。

エイチームの働き方に関する制度について

エイチームは独自の働き方に関する制度があるとお聞きしましたが…?

2017年10月に出産や育児支援などを行うファミリーサポート制度(以下、ファミサポ)が導入されました。この制度の前身は、全社の働き方のプロジェクトである「ママユメプロジェクト」です。私はそのプロジェクトメンバーとして参画していました。

プロジェクト発足時、エイチームの平均年齢は約32歳、グループ社員数も700名を超え、結婚・出産・育児などをはじめとする様々なライフステージを迎える社員の増加が見込まれていました。また、男女問わず活躍の機会がある中で、女性に特化した出産・育児の支援だけではなく、男性の育児への参加も推奨することも目的としていました。さらに、今後発生する介護など多様な働き方の選択が可能な職場環境を整備することを目指しました。

私自身の育児の経験などから、もっと子育てをする社員が働きやすい職場環境を作っていきたいという思いもありました。

そこで、私含めた女性のプロジェクトメンバー6名でいろいろ意見を出し合い、経営陣や社員などのヒアリングをし、どんな制度であれば安心して長く働けるのか検討を進め、制度化を進めました。

制度のうち、在宅勤務に関してのハードルは、すごく高かったですね。

プログラムを始め、電子データは持ち出しやすいですが、社内データへのアクセスに関してのセキュリティ問題もありますから。

経営陣がこれからの時代を見据えて、実施できるよう判断してくれたことで、実現することができました。

ただ制度発足時は、あくまで乳幼児が対象。しかも病気の時などに利用できる一時的な在宅勤務のみということで、常時在宅勤務まではこちらも求めませんでしたし、許可も下りなかったと思います。

その後、私の長女が小学校に上がったことで、働き方を見直す必要が出てきました。学童が近所になく、勤務時間を確保することが困難になってしまったのです。

退職も視野に入れて、上司にも相談していました。ちょうどそのころ、「ママユメプロジェクト」から進化した「ファミサポ」で、「一時在宅勤務制度」をもう少し長期間で適用させようという話が出て、私がそのテストケースとして、常時在宅勤務を開始させてもらいました。

在宅勤務によって、働く時間を確保しながら、子どもの面倒も見やすくなりました。また、平日の習い事にも通わせてあげられるように。

*一時在宅勤務制度は、現在は子が小学6年生終了時点に達するまでの期間に延長されました。

「ファミサポ」とは具体的にどのような制度なのでしょうか?

「ファミサポ」は、出産・育児・介護など様々なライフステージへの支援を通じて社員が長く安心して働ける職場環境の実現を目指して、2017年10月にスタートした制度です。

<働き方のサポート>

・育児一時リモートワーク(子が小学校6年生まで)

・フレックスタイム以外の社員に対し働く時間の選択肢を拡大(8-20時の間で6-8時間勤務)

・育休中のキャリア面談を実施

・各種休暇の付与(結婚祝い・結婚記念日休暇、出産祝い・配偶者の出産休暇、ファミリー誕生日休暇、母性健康管理休暇、子の看護休暇、子の学校行事休暇、など)

・企業主導型保育所を導入

<給付・休暇のサポート>

・出産(配偶者含む)・結婚・結婚記念日などの休暇制度を整備

・ファミリー誕生日休暇、母性健康管理休暇、子どもの看護休暇・学校行事休暇を拡充

・臨時託児金銭補助

<イベント開催>

・育休ランチ&会社説明会(四半期に1度)

・家族向け会社説明会(年1回)

<介護関連支援>

・休業期間の延長(法定93日から最大1年に拡大)

・介護休暇の設置(有給休暇10日/年)

・介護一時リモートワーク

・介護マニュアルを配布し、社内相談窓口を設置

「ファミサポ」は普段どのように活用していますか?

「ママユメプロジェクト」が発足したことで社内の「働き方」に関する意識が高まったように感じますね。

「ファミサポ」として制度化されたことで、風向きが大きく変わったのではないでしょうか。

一番大きいのは、やっぱり常時在宅勤務が可能になったことかもしれません。

ちょうど制度化された2017年のころ、子どもが4歳と1歳のときでした。乳児は発熱も多く、急きょ会社を休まないといけないことも多かったです。

水疱瘡で長女が1週間の登園停止になった後、その1週間後に次女が発症して再度1週間登園停止になる…ということもありましたから。

在宅勤務によって子どもに無理をさせずに済み、結果的に病状の経過が早くなったので、とても助かりました。

また、子どもを平日の習い事に通わせられるようになったので、子どもの「やりたい」を叶えやすくなりましたね。オフィスに出社する働き方だと、通勤時間のため自由に使える時間が減りますし、平日に習い事に連れて行くことができませんから。

在宅勤務含め、制度化された数々のサポートは、すべて必要だと考えて提案したものです。なので、社員の声を聞き入れ、制度化してもらったことはとても感謝していますし、働く場所と時間に柔軟性が高まったと感じています。

また、働く時間の選択肢の拡大やフレックスタイム制の導入で、時短勤務による給与の減額などの給与面のマイナスが少なくなったことも大きいのではないでしょうか。こうした制度を使う社員のみなさんには、

「仕事にまっすぐ向き合って、より会社や事業に貢献しよう!」

という前向きな気持ちになってくれるといいなと思っています。

今はどのような働き方をしていますか?

エイチームは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2020年4月6日より原則全社員在宅勤務となり、2021年7月末まで継続予定です。私はコロナ禍前から在宅勤務なので、私自身の働き方に大きく変化はなく、一緒に働くメンバーのほとんどが在宅勤務になりました。

コロナでの全社員原則在宅勤務を経験して、ちょうど全社的に新しい働き方を作っていこうとしているところです。4月と7月に、人事部が働き方に関する全社アンケートをとったところ、約75%の社員が在宅勤務の継続を希望していましたね。そして、22期が2020年8月に始まりました。今期の全社目標として「新しいエイチームの働き方をつくる!」を掲げています。

私含め、社員一人ひとりが新しい働き方を実践していきたいと思います。

プールで楽しく遊ぶ子どもたち。

➖今後どのような働き方をしていきたいですか?

子どもや家族のために仕事を諦めたくはありませんが、私が仕事に忙殺されることで、子どもに犠牲を強いることもしたくない。柔軟なスタイルで仕事をしながら、子どもの健康や安全も守ることが理想ですね。

エイチームの各事業が大切にしている考え方に「三方良し」がありますが、家庭・職場の関係にも必要な考え方だと私は思っています。

子どもがやりたいことを自分でできるようになるまでは、働く場所を柔軟に選択できるというのは、とても素敵な解決策の一つではないでしょうか。

これからの働き方やコミュニケーションで心掛けていること

仕事の時間を確保することと、集中して仕事をすることを心掛けています。そして、「迷惑をかけてごめんなさい」ではなく、「助けてくれてありがとう」を意識するようにしています。妊婦や子連れのお出かけに関して、心の痛い情報も聞きますよね。でも電車で子どもとお話ししてくれる男性がいたり、3人の子どもを連れながら、私のベビーカーを階段の下まで運んでくれたりと、優しい人たちも多い。だから、次女が4歳を過ぎて、赤ちゃん連れの人を見かけたら今度は私が助けてあげたいと考えています。

自立も大事ですが、人は一人では生きられません。子どもを育てていくうちに、やっとそのことが腑に落ちてきました。

公私ともに「ありがとう」を意識して、循環させていける社会にしていけたらと思っています。

最後にはたママ読者へのメッセージをお願いします!

仕事をやめないことで人に感謝してもらえること…。子どもは確かに感謝してくれるけど、親がやって当たり前だと思っている節がありますよね(笑)。家族はそういう気持ちになりやすい。そうではなく、きちんと大人としての対応ができる、自分が役に立っている、という感覚が生まれるのはやはり働いているからだと思います。

私は義理の両親とも同居していますが、義理の両親も働いているので、夫も働いているし、家族全体で経営をしているような感じ。ここで私が仕事を辞めてしまうと家事の負担は私に全部来ます。むしろ家事は「全部やらなきゃ!」という状態になるはず。家の中って運命共同体で、みんなで維持していくものだと思います。家での負担を全部自分で対処しなくてはいけないのは大変だし、「引き受けなきゃ!」と思う気持ちに追い詰められて、どんどん辛くなっていくと思います。

家族みんなが働いているからこそ、一緒にやっていこうよという意識を全員が持つので、働いていて良かったと思います。

子どもと夫に家事を参加させるのもポイントですね!ママが家にいると、全てママがやってくれると思ってそうなので(笑)。そういう時は、「アレもコレも一緒にやっていこう!」といいます。こんな風に子どもたちに提案できるのは、働いているからこそだと思います!

子どもはいつか手が離れます。数年後、長女と同様に次女も私たち親から手が離れますし、思春期に入るともっと手がかからなくなる。そんな時に、自分に誇れるものがあれば良いと思います!

編集後記

米山さんは確固たるキャリアをお持ちだし、話す前は緊張していたO山(毎度のことw?)でしたが、気さくに話しかけてくれたのでインタビューは穏やかな雰囲気で、時に笑いが出るくらい!米山さんとのお話の中で、「習い事はいろいろやらせてあげたい」という話題になりました。

昔は、子どもに習い事をさせるというのは子どもの自由を奪うもの…と考えていたO山でしたが、最近は、

「何も抵抗のない今だからこそ楽しくなんでも楽しめるのではないか」という考え方に変化していて、今は子どもに習い事にチャレンジしてもらっています。

平日に仕事を中断して習い事に連れて行けるというのは、在宅勤務のメリットのうちの一つだと思います。(もちろん仕事とのバランスを考えて。)在宅勤務というワークスタイルは働くママたちの活路を与えるだけでなく、子どもたちの未来や可能性も切り拓くワークスタイルであると言えるのではないでしょうか。

ママの働き方は家族中心に合わせるのではなく、ママが望んだ通りに対応していく必要があると思いました。

目の前の育児に夢中になり、築き上げてきたキャリアを一旦ゼロにしてしまう方は多い。それが現状だと思います。

けれど、社会とのつながりは、自分が社会に役立っている、という証でもある。だからこそ、目の前の育児や日々の慌ただしさを理由にキャリアを断ち切るのではなく、一度立ち止まって「未来の自分はどうなっているのが理想?」と、自分に問いかける必要がある、そう思いました。

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