愛知県岡崎市を拠点に、企業や自治体のマーケティング戦略立案から広告制作、DX人材育成、SDGs経営支援までを一気通貫で手がける株式会社壱吉コーポレーション。2009年の創業以来、地域密着型の総合広告代理業として実績を重ね、戦略設計からクリエイティブ制作、成果検証まで伴走する体制を強みとしています。
生成AIやDX研修など時代に即した取り組みを行う一方で、同社が掲げるミッションは「人と経験が循環し続ける組織と社会をつくる」こと。年齢や肩書きに縛られず、それぞれが挑戦を続けられる働き方を当たり前にすることを目指しています。
「できる人が、できる時に、できる事を」。
その考えのもと、多世代が支え合う組織づくりを実践している瀧美千代代表に、お話を伺いました。
組織のあり方とベテランの活躍
役職者やベテランが独立する際、組織としてどのような葛藤や想いがありましたか?
これまでに4名が独立しています。中にはマネージャーやディレクターとしてプロジェクトを主軸でまとめてくれていたメンバーもいました。
正直に言えば、「痛いな」と思います。中心人物が抜けるというのは、どの会社でも大きな出来事です。残るスタッフは不安になりますし、プロジェクトの再配置も必要になります。
ただ、私たちの仕事は特許のように囲い込めるものではありません。マーケティングや広告のノウハウをすべて教える仕事です。独立志望で入社し、力をつけて「自分でやってみたい」と思うようになるのは、ある意味で成長の証でもあります。
惜しむのではなく、「ここで学んだことがその人の将来につながれば、それは会社の財産だ」と考えています。
もちろん、残るメンバーへのケアは徹底します。「大丈夫だよ、君にはできるよ」と声をかけ、役割を任せ、自信を持ってもらう。経験は人から人へと循環していくものだと思っています。
ベテランのクリエイターだからこそ気づける「仕事の急所」とは、どのようなものだと感じていますか?
私たちが最も大切にしているのは「気づき」です。
クライアントから1番から3番までの指示をいただいたとします。そこで終わるのではなく、「5番や6番も確認しておいた方がいいのではないか」と気づけるかどうか。あるいは「この方法よりも別のやり方の方がコストを抑えられる」と提案できるかどうか。
これはマニュアルでは学べません。積み重ねた経験から生まれる判断です。ベテランの強みは、この気づきの引き出しが多いことだと思います。
空の青さは100人いれば100通りの青があります。日頃から空を見ている人と、見ていない人では感じ方が違う。スタッフの表情の変化、プロジェクトの違和感、クライアントの言葉の裏側。そうした小さなサインに気づける力こそが、仕事の急所を押さえる力につながります。
デジタルネイティブ世代と経験豊富な世代が共存することで、どのような相乗効果が生まれていますか?
若手が「これ、もっと早くできますよ」と新しい方法を提案することがあります。するとベテランが「それならここは気をつけた方がいい」と補足する。そんなやり取りは日常的です。
私たちは、良いことも失敗もグループチャットで共有しています。トラブルも、その解決策もオープンにする。後から入った人も、過去の事例から学べるようにしています。
教える側・教わる側という固定された関係ではありません。若手から学ぶことも本当に多いです。年齢や学歴ではなく、その人が今持っている強みを持ち寄る。それが組織の厚みをつくっているのだと思います。

人との繋がりと「経験」の価値
御社が社員教育で最も大切にしている「気づき」とは、具体的にどのような力なのでしょうか?
無関心でいないことです。
人や物事、世の中の出来事に興味・関心を持つ。例えば「今日は空がきれいだな」と感じることも、その感度の一つです。スタッフが少し疲れていることに気づく、プロジェクトの進行に違和感を覚える。そうした小さな気づきが、トラブルを未然に防ぎます。
無関心でいれば、生産性はゼロです。興味関心を持てば、そこに何かが生まれる。スキルや資格も大切ですが、それを活かせるかどうかは「気づけるかどうか」にかかっています。
試用期間中のミスを「良いこと」と伝える背景には、どのようなお考えがありますか?
私たちの仕事は、一度世に出た情報が一瞬で拡散します。価格を一桁間違えただけで、大きな損失になります。実際に過去、桁を誤った事例もありました。
製造業のように「不良品を交換する」ということが簡単にはできません。だからこそ報・連・相・確認が命です。
試用期間中のミスは、むしろありがたいと思っています。会社の屋台骨が揺らぐような仕事は任せません。だからこそ、その段階で失敗を体験してほしいです。
私が必ず伝えるのは、「死ぬほどのことではないから」という言葉です。
失敗したときに必要なのは、過度な謝罪ではなく、最短の答え(リカバリー)を相手に伝えることです。私自身、過去に大きなミスがあった際には、謝罪と同時に解決案を持って向かいました。相手が求めているのは解決策という答えです。
失敗をどう受け止めるか。その姿勢が、次の成長につながります。
創業当初から支えてきた80歳の社員様は、組織にどのような安心感や影響を与えてくれましたか?
80歳を迎えられ、2026年2月末をもって退職予定ですが――32歳で起業した当時、私は本当に未熟でした。そんなとき、銀行で長年勤め上げたその方がそばにいてくれました。
※ご高齢の持病ため2月末で退職となりました。
何か問題が起きても慌てない。「じゃあ3パターン考えてみましょうか」と落ち着いて言ってくれる。一緒に焦るのではなく、静かに受け止めてくれる。
その姿勢から、「死ぬほどのことではない」という考え方を学びました。
叱るのではなく、気づかせる。寄り添いながら余裕を持つ。その存在が、会社全体の空気を安定させてくれていました。
16年近く共に働き、感謝しかありません。人として尊敬できる存在でした。
これからの展望と読者へのメッセージ
年齢を重ねてから新しい環境に挑戦する人にとって、大切にしてほしい視点は何でしょうか?
新しい環境に入れば、誰でも新人です。人間関係も仕事もゼロからのスタートです。
年齢や役職があるからこそ、「今さら」とためらう気持ちもあると思います。でも挑戦を諦める理由にはならないと思っています。
環境を変えることは勇気がいります。それでも、自分が本当に望む未来に可能性を持つことも大切だと思います。
キャリアチェンジを考える際、雇用条件以外に重視すべきポイントは何だとお考えですか?
雇用条件だけで決めないことです。
面接のときに「この会社の空気の中に自分が座っているイメージができるか」。その感覚は意外と当たります。
私たちも面接で感じ取ります。この人は合うかどうか。だからこそ、自分の勘を大切にしてほしい。第一印象は三秒で決まると言いますが、それは仕事選びも同じだと思っています。
編集後記
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「死ぬほどのことではない」という言葉の奥には、経験を重ねたからこそ持てる余裕と、人を信じる姿勢がありました。
若手の挑戦を後押しし、ベテランの価値を最大限に活かす。その循環こそが、多世代共生の本質なのだと感じます。
年齢に縛られず、自分の可能性を信じて歩み続ける勇気を、この記事から受け取っていただけたら嬉しいです。
関連リンク
株式会社壱吉コーポレーション
https://ichi-kichi.jp/


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役職:代表取締役
ご経歴:
~2008年 広告代理店で勤務
2009年5月 株式会社壱吉コーポレーション設立 取締役就任 広告代理店業スタート
2016年 企業向けマーケティング(プロマーケティング)事業発足
2017年 代表取締役就任
岡崎市フィルムコミッションプロモーターに選任
2018年 西尾市の「食の名物品コンテンツ造成検討会」のインバウンド向け食品アドバイザーに選任
2021年 知多市の「知多市物産振興会審査会」の審査員に選任されました。
2024年 社会福祉協議会、さくら地域包括支援センター、㈱Quiet、㈱壱吉コーポレーションが一緒になって地域の福祉活動および人と人を繋ぐ地域活性化活動を発足(みんつる)
スケッチグラム(消費者アート事業)発足
2025年 うまぷれ。事業発足
株式会社壱吉コーポレーションでの社長就任年:2017年
居住地:愛知県