育休中にP検2級に合格した話 

私は現在、初めての育児にテンテコマイの毎日を過ごしている30代の母親です。生後6か月になる息子がいます。育休中「このままでは仕事に復帰できないのではないか」という不安から資格取得を思い立ち、先日「パソコン検定2級(以下P検2級)」に合格することができました。
この記事が「子育て中に何か始めたい」と思っている方に、少しでもお役に立てると幸いです。
 

私が育休中に資格を取ろうと思った理由

私は外資系の会社で営業職として働き5年目になります。外資系にありがちな完全歩合制のため固定給という概念がなく、自分が営業を頑張って契約を取れば取れるだけお給料は上がりますが、契約を1件も取れなければ翌月のお給料が0円にもなりえます。勤務時間という概念もなく、契約さえ取れるのであれば、月30時間勤務も300時間勤務も同じ評価です。
人と話すことが大好きな私は営業の仕事を楽しんでいましたが、土日も関係なく働き、1日の商談数は多ければ5件。産休に入った翌日からはどう時間を過ごせばいいかわからず、

「私がこうしている間に同僚は契約を取っているのに」

「営業生産性のない時間を過ごしていていいのだろうか」
といった変な罪悪感や焦燥感に襲われました。育休から復帰後も以前と同じようなスケジュールで働ける自信も全くありませんでした。
大切な商談の日に、子どもが熱を出したら・・・?
保育園のお迎えの時間だからと、商談を切り上げなければいけなくなったら・・・?
頑張っても、ノルマ未達が3ヶ月続けば3ヶ月無給、そして退職です。毎日、営業目標に追われるような生活では、家庭でも0歳児に余裕を持って接することができるとは到底思えませんでした。人格形成に一番大切と言われる幼児期に、私がいつもピリピリしていては取り返しがつかないかもしれません。せめて子どもが小さいうちだけでも、気持ちの余裕を持って一緒に過ごしてあげられるような仕事の仕方をしたい…。でも、小さな子どもがいる女性の転職市場はなかなか厳しいものがあります。
こういった不安を知人に相談したところ、「育休中の時間を使って、なにか勉強をしてみてはどうか」とアドバイスをもらいました。その一つがP検だったのです。早速勉強をはじめ、数ヶ月後になんとか無事に合格したことを報告すると、
「その経験を記事にしてみませんか」
「同じように育休中にキャリアのことを悩むお母さんは多いはず」
とお声掛け頂いたのが、この記事のきっかけです。そのアドバイスをくださった方は、はたママ運営元のシンプルメーカの社長、市川さんだったのです。
振り返って見ると、この育休という時間野中で家族との過ごし方や自分自身の今後のキャリアについて長期的な目線で捉えることができるようになったのは、とても良い機会でした。
 

子育て中に一番大切なこと

まず一番お伝えしたい大切なことは「子育て中に絶対に無理をしてはいけない」ということです。初っ端から話の腰を折ってとても恐縮ですが、今、こんなタイトルの文章を読んでくださっている方は、「子育ての他にも何か頑張りたい!」という志をお持ちの、かなり頑張り屋の傾向があるのではないでしょうか。勿論目標を立てることは素晴らしいことですが、一番大切なのはバランスです。
というのも、私は産休に入った際「せっかく時間ができたのだから難関資格にトライしてみよう」と勇んでいくつか資料やテキストを取り寄せました。しかしいざ子どもが生まれてみると、全くもってそれどころではなく本当に必死の毎日です。だんだん埃を被り始めたテキストを見ては、「私は自分で決めた目標もできないんだ」「なんて生産性が低い人間なんだ」「このままじゃ仕事復帰なんてできるわけがない」と、どんどん自信を失っていきました。テキストを読んでも、睡眠不足のせいで紙の上を目線がなぞっていくだけで内容が全く頭に入ってこないのです。
…今考えると、子育て以上に地道で生産性の高い仕事はない、と言い切れるのですが、当時の私は疲労のせいか、全てに後ろ向きでした。子育ても自分の勉強も中途半端になってしまい、自己肯定感が削がれてしまっては、元も子もありません。
ですので、もし出産直後であれば、まずは母体の回復と小さな小さな赤ちゃんの生存を最優先してください。そして、体調もメンタルも順調に回復してきたなと思えたら、お子様との時間を大切にしながら、少しずつ新しいことを始めてみても良いかもしれません。それは資格取得への挑戦でもいいし、地域活動でも、家庭菜園でも何でもいいのですが、あくまでも自分のペースで、「育児の気分転換になるなぁ」「仕事復帰のための緩やかなリハビリになるなぁ」など、ポジティブな気持ちで取り組めることが大切だと思います。もし上手くいかなくても気長に取り組めば良いので、新しいことに挑戦しようと思えた自分の気持ちを全力で自賛していきましょう。
 

なぜP検を受験したのか

さて、そんな中で資格勉強の良いところはやはり、努力が目に見える形で残ることではないでしょうか。前述の通り、私は育児に追われながら「このまま仕事に復帰できるのだろうか」という不安を知人に相談したところ、お勧めされたのがこのP検でした。決して難しい資格ではありませんが、資格試験合格は私の不安を解消し、「今も社会と繋がっている証」として自信をつけてくれるものでした。
ここからは、なぜP検を選んだのか、どうやって勉強時間を作ったのか勉強の進め方などをご紹介していきます。もしP検を受験しようという方は、ぜひ参考にしてください。
 

P検とは

P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)は、パソコンに初めて触る方から、仕事で有効利用されている方まで、パソコンを扱う全ての方を対象としたエンドユーザー向けの検定試験です。総合的なICT活用能力を評価し、資格認定します。その中でも2級は「ICT活用の総合力を有し、高いレベルで、ビジネス上の問題解決ができる人材」を目指すものとされています。(公式HPより引用)
 

私がP検2級を受験した理由は2つです。

①実用性がある
 私は子供が小さいうちはできるだけ時間と心の余裕を持って働きたいと思っています。在宅勤務も視野に入れて仕事を選びたいため、P検が在宅勤務の求人に多い事務やオフィスサポートのお仕事などでは重宝される点が魅力でした。試験にはWordやExcelなどの実技試験があるため、現在の仕事に復帰した時にももちろん役立ちます。万一転職することになっても、履歴書に堂々と記載できるため、選択の幅が広がりそうです。
 
②難易度がそれほど高くない
 P検の2020年度の合格率は以下のとおりです。
 1級:29%
 2級:69%
 準2級 :82%
 3級:86%
 4級:89%
私はとにかく「育休中でも資格試験に合格できた!」という自信が欲しかったので、難易度が高すぎない点は魅力でした。もちろん元々の経験にもよりますが、きちんと対策すれば決して難しい試験ではないと思います。
 

教材

受験を決めてから準備したものは以下3点でした。
 
①テキスト「P検合格シリーズ P検2級テキスト」
 P検公式HPから購入できます。テキストの章末に演習問題があり、試験本番ではほぼ同じ問題が出たため、テキストをやり込んでおいて良かったです。
(参照:https://www.pken.com/personal/text/index.html
 
②模擬試験
 P検の公式HPには、各級ごとに3回分の模擬試験が無料で公開されています。自分のパソコンにインストールすると、本番と全く同じシステムで問題演習することができますので、3回ずつ解きました。もともと情報セキュリティなどに詳しい方であれば、この模擬試験をやりこむだけでも十分合格できるかもしれませんので、腕試しに解いてみると良いと思います。
(参照:https://www.pken.com/tool/moshi.html
 
③Microsoft Officeツール(WordやExcel、Powerpointのパッケージ総称) 
 パソコン検定にはExcelやWordなどの実技試験があります。残念ながら我が家のパソコンiMacには、これらOfficeツールがインストールされていなかったため、MicrosoftOffice公式ページから1ヶ月間無料で使用できるパッケージをインストールしました。おかげで、絶対に1カ月で合格するぞ!という決意が生まれました。
(参照:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/try
 

費用

 合格までにかかった費用は9,920円で、内訳は以下の通りです。
・公式テキスト代 3,300円
・受験料 6,220円(高校生以下は学割で4,180円)
・受験会場までの交通費 400円
受験年度や級などによって変わりますので、公式HPなどで公開されている情報を都度ご確認ください。
 

勉強時間

私の場合は、1日30分程度の勉強を1ヶ月続け、合計15時間ほどで9割以上で合格することができました。もちろん元のスキルによっても異なりますが、パソコン初心者の方でも、問題演習をしっかりやれば30時間ほどで十分に合格できると言われています。
内容は座学(暗記が必要なもの)と、実技(実際にパソコン操作をするもの)がありますが、私は細切れ時間でも対応できる座学の暗記を日中に進め、夜にパソコンを立ち上げて実技問題を解いていました。
勉強時間の配分は、座学4割、実技6割くらいでした。
 

工夫したこと

勉強時間の作り方
育児中は、まとまった時間が取れないかもしれません。子どもが突然泣き出したり途中中断する可能性もあるので、スケジュール通りに進まなくても全く気にせず、最後に帳尻が合えば良いくらいの気持ちでした。
私は座学内容を細分化して、隙間時間に少しずつ進める作戦をとりました。例えば、演習問題を解くのに1問1分かかるとしたら、10分で10問解けます。問題集は1ページに約10問載っているので、答え合わせも含めて15分で1ページ進められるというめ目処がつきます。この15分という単位で、家事育児の合間に少しずつテキストを進めていきました。この細切れの勉強は、育児の息抜きになりとても良かったです。
そしてExcelやWordなどパソコンを使った実技演習は、夜20時頃からパソコンを立ち上げて進めていました。というのも、実技では「制限時間内に成果物を作り上げる」練習が必要なので、どうしても隙間時間に進めることが難しかったのです。運良く、この頃には子どもが夜にまとまって寝てくれるようになってきたため、子どもの就寝後に制限時間を設けて演習を進めることができました。
 

効率よく合格するために

試験は、テキストの問題や模擬試験とほとんど同じ問題が出ます。同じ問題は決して間違わないよう、一度間違えた問題は何度も繰り返し解きました。
特に育児中で寝不足の頭には短期記憶が有効なので、夜に寝る直前と朝起きた直後に30秒ほど復習するだけでもとても記憶の定着率がよくなります。
 

失敗談~家事・育児とのバランス~

ここで私の失敗をご紹介します。
育休に入り「一日中家にいるのだから、家事も育児も勉強も完璧にできるはずだ」と気負ってしまったのです。もともと家事も得意ではななく週末にまとめてこなす程度だったのに、突然、毎朝洗濯機をかけて、毎朝布団をベランダに干し、毎朝床にクイックルワイパーをかけ、昼になったら子どもを抱っこして児童館にいき、晩御飯におかず3品を作り…という生活を始めたのです。加えて「1日〇問ずつ試験勉強をやる」という目標を立てた結果、早々に破綻しました。体に帯状の発疹が出始めたのです。びっくりして、これはきっとダニがいるに違いないと思い、洗濯や掃除にさらに神経質になっていきましたが、いくら家を綺麗にしても発疹は治りません。そしてある日皮膚科にいくと、お医者様に「ダニではなく蕁麻疹ですね」と診断され、またまたびっくりしました。慣れない家事育児のストレスや、睡眠不足が積み重なっていたようです。
その日の夜、私は神妙な顔で夫に「明日から家事の手を抜きます」宣言をしたのでした。すると夫は、なんと、そもそも私が家事のやり方を変えていたことにも気づいていなかったのです…。夫からすると「なんかイライラしてるな」くらいの認識で、私が一人で躍起になっていただけなのでした…。そこからは無理せず、洗濯は2日に1回になり、布団は週1回干すようになり、掃除は床が汚れたらやるようになり、晩御飯にはスーパーのお惣菜や宅配を取り入れる日も作るようになりました。
振り返ると我が家にとって適切な家事バランスになっただけなのですが、おかげで空いた時間を自分の時間に使えるようになり、P検のテキストを開く心の余裕が生まれました。
 

最後に

まだ育休中の私には、この資格が具体的にどのように活用できたかまだ実績はありません。しかし子育てをしながらの自分の勉強は、とても楽しいものでした。以前は毎日どんどん成長していく子どもに私は置いていかれている気がしていたものの、勉強を始めてからは「お母さんだって昨日より成長しているのよ!」と誇らしい気持ちで向き合えました。家事育児とのバランスを取りながら、無理をしすぎず、ぜひご自分の成長を楽しむきっかけにしてみてくださいね。