「夢はカタチにするもの」。そう力強く語るのは、新幹線の運転士から1年間の育休を経て起業した、株式会社LIVE GO代表取締役の藤末さん。
元AKB48の島田晴香氏や元DMM.comグループ会社社長の大島礼頌氏とともに立ち上げた同社は、「ライバーを憧れの職業にする」というビジョンを掲げ、ライブ配信のマネジメントやECコンサルを手がけています。所属無料・報酬100%還元をはじめ、3ヶ月家賃光熱費無料の東京ライバーハウス、ミスコン提携やABEMA出演導線など、業界トップクラスの圧倒的なサポート体制でライバーの挑戦を後押ししています。
その一方で、社内文化として最も大切にしているのは「ママと子どもの笑顔を守り、子育てとの両立を当たり前にすること」。
自身も子育てに奮闘する父親として、子育て世代のメンバーとともにフルリモートで組織を運営する藤末さん。なぜ安定した職を離れ、起業したのか。ライブ配信という新たな選択肢を通して描く未来と、子育てやキャリアに悩むママたちへのメッセージをお伺いしました。
家族のために選んだ起業と、フルリモート組織の工夫
新幹線運転士から起業を決意された原点について教えてください。
僕にはもともと「新幹線運転士になる」夢と、「自分の力で起業する」という2つの夢がありました。運転士の夢を叶えてやりがいを感じていたものの、大企業の中にいると「自分の仕事がどう巡ってお金に変わっているのか」が見えづらく、自分でビジネスを作りたい思いが膨らんでいきました。
大きな転機となったのは、息子の誕生に合わせて取得した1年間の育児休業です。家庭で子育てに専念する中で、24時間体制で子どもに向き合い続ける妻の姿を目の当たりにしました。外で働くことで切り替えができる男性と違い、育児に専念する女性は逃げ場が少ない。「この大きな負担をパートナーだけに背負わせるのは違う」と強い危機感を抱いたのです。
さらに大きかったのは、僕自身の幼少期の記憶です。忙しい父でしたが、サッカーの試合のときにピッチの外から大声で僕の名前を叫んで応援してくれました。大人になった今「自分は応援してもらえる」「親に愛されている」という確固たる実感が、どんな挑戦も恐れない僕の自己肯定感の原点になっていたのだと気づきました。
自分も息子に対して、いつでも一番近くで応援できる父親でありたい。ですが新幹線の運転士は泊まり勤務が多く、急な体調不良や行事があっても即座に駆けつけることができません。子どもとしっかり向き合い、家族との時間を最優先できる働き方を実現するために、起業を決意しました。

フルリモート体制で業務の質を落とさない工夫は?
社員全員が子育て中ですので、フルリモート・フルフレックスを採用しています。ただし、単なる自由にするのではなく「数字や施策の徹底的な見える化と共有」を行っています。
毎日全員が「昨日の気づき」「昨日のハイライト」「今日のフォーカス」「今日の成功イメージ」という4視点の振り返りと計画をオープンに共有しています。全員の動きが一目でわかるためタスクの遅れを防げますし、業務を標準化しておくことで急な子どもの発熱などで離脱しても即座にカバーできる体制を整えています。
また、成果評価においても時間ではなく「アウトプットとプロセス」を重視しています。子どもの通院や学校行事で日中に抜ける時間があっても、自身のライフスタイルに合わせて集中できる時間に業務を進められれば何の問題もありません。
さらにGoogleカレンダーも全社公開しており、「代わりに打ち合わせ出ておこうか?」「リスケ調整しておいたよ」と自然に助け合える風土が根付いています。定期的にお互いの家族と集まる「パパママ会」で背景が見えていることも、深い信頼関係につながっています。
ライバーのリアルと磨かれるスキル
ライブ配信の現場のリアルについて教えていただけますか?
若い人の娯楽と思われがちですが、実際に弊社で活躍しているライバーの多くは30代女性で、40代・50代の方も数多く活躍されています。配信を楽しむリスナー(視聴者)層も同じく40〜50代の大人が中心です。子育ての合間や夜の隙間時間に、画面越しに温かいコミュニケーションを楽しむ「大人のサードプレイス」になっているのがリアルな実態なんです。
ライブ配信でどんなスキルが身につくのでしょうか?
単なる雑談だけでは視聴者はすぐに離れてしまいます。相手が求める話を察知するコミュニケーション力や継続力はもちろん、「今月はどんな企画で枠を盛り上げるか」というプロデューサー的な企画力・演出力が求められます。
さらに「3ヶ月後にどうなりたいか」という目標を立て、リスナーやマネージャーを巻き込んで実行していく目標管理能力も育ちます。
私自身、約1年半ライバーとしてリスナーさんと向き合い、CM出演などのチャンスを掴んできた経験があります。その中で痛感したのは、「自分自身をセルフプロデュースし、ファンと一緒に空間を作り上げていくプロセス」こそが、ビジネスの本質であるということです。
磨かれるのは社会で幅広く通じる本格的なポータブルスキルそのもの。配信枠は「小さな会社」であり、ライバーは自立した「一人社長」だと考えています。
ライブ配信がもたらす地域と個人の変化
地方在住者やシングルマザーにとって、どんなきっかけになっていますか?
最大の強みは「地域ごとの最低賃金」や「場所の制約」がないことです。全国どこにいても、自分の努力次第で都市部と同じ水準の収入を得ることができます。実際、北海道の小さな町で2人の子を育てるシングルマザーの方が、持病で外に出づらい環境でありながら、月約50万円を稼いで生活を支えている例もあります。
自宅から一歩も出ずに仕事ができるため、雪国や子育て中で家を空けられない世代にとって大きな選択肢になります。経済的な自立を得ることで、ママたちに自信と笑顔が戻っていく様子を何度も目にしてきました。
こうした成功体験は、単にお金を稼ぐこと以上に「自分も社会で通用する」「誰かに喜んでもらえる」という確固たる自信につながります。この自己効力感の向上が、家庭内の雰囲気をパッと明るくし、お子さんとの関係にも非常に良い循環を生んでいると感じます。
また、育休期・産休中の孤立感解消や社会復帰の「準備運動」としても有効です。一日中子どもと2人きりで過ごす中で、画面越しに大人と会話をして社会との接点を持つことが精神的な息抜きになり、復職後もスムーズに仕事に戻ることができています。
未来へのビジョンと一歩を踏み出すママへのエール
今後、挑戦していきたいビジョンを教えてください。
当社が掲げるミッション「ライバーの夢をカタチにする」、そして「ライバーを憧れの職業にする」というビジョンを実現するため、サポート体制の拡充に限界を設けません。東京ライバーハウスの提供やメディア出演導線の確保など、挑戦したい人が最短ルートで夢を叶えられるインフラをさらに強固にしていきます。
同時に、ライブ配信を「育児と仕事が共存できる社会的インフラ」にしていきたいです。現在はシングルマザー支援団体と連携していますが、今後は自治体とも積極的に連携したいと考えています。地方の人口流出の背景には「魅力的な仕事が少ない」課題がありますが、自治体と共同で「スマホ1台でできる働き方セミナー」や、地域の特産品を売る「ライブコマース」を展開できれば、地域に住み続けながら高い収入を得る選択肢を作れます。
最後に読者へメッセージをお願いします。
子育てと仕事の両立に悩み、『自分には何もない』と諦めかけているママは少なくありません。SNSのキラキラした投稿と比べて、焦ったり落ち込んだりする必要なんてありません。まずは、毎日頑張っているご自身を認めてあげてください。現状を変えたいとき、『いつもより5分早く起きてみる』『子どもを1つ多く褒めてみる』、そんな小さな一歩で十分なんです。僕自身も一人の親として悩みながら試行錯誤を続けています。『悩んでいるのは一人じゃない』ということ、そして『一緒に頑張っていこう』という気持ちを伝えたいです。小さな一歩を大切に、共に人生を楽しんでいきましょう!
編集後記
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ご自身の体験をもとに、「子どもをしっかり応援できる親でありたい」と語るフジスエさん。その温かな想いが、「ママと子どもの笑顔を守る」というLIVE GOのカルチャーや、挑戦するライバーと徹底的に向き合う姿勢の根幹にあるのだと感じました。
「ライバー=一人社長」という視点は、子育てや環境を理由にキャリアを諦めない新しい選択肢を示してくれます。「5分早く起きるだけでも立派な一歩」という優しいメッセージは、日々奮闘するママたちの大きな力になるはずです。











お名前:藤末匠吾
役職:代表取締役
ご経歴:1987年香港生まれ。JR西日本に入社後、新幹線の運転士などを歴任し退職。県立広島大学大学院(MBA)にて共同研究に参画後、2023年に株式会社LIVE GOを設立し代表取締役に就任。自身も約1年半ライバーとして活動し、CMやファッションショーへの出演実績を持つ。1児の父。
株式会社LIVE GOでの社長就任年:2023年
居住地:兵庫県