代表1人×世界60名。「Anytime, Anywhere」で個が輝く、デジタルビルドの挑戦~デジタルビルド株式会社 代表取締役 佐藤 昂併さん~

デジタルビルド株式会社は、不動産・住宅業界向けに3DCGやVR制作を手がける企業です。建設前のマンションや住宅を、まるで完成後のように体感できる3DCGパースやVRを提供し、消費者が「理想の住まい」をより具体的にイメージできる購入体験を支えています。

同社の大きな特徴は、1棟あたり30〜50万円が相場とされるVR制作を、6万円からという圧倒的なコストパフォーマンスで提供している点です。VRをより身近な選択肢にすることで、住宅業界全体のアップデートを目指しています。その先に見据えているのは、VRの普及によって住宅購入の無駄なコストを減らし、子育て世代がマイホームを持ちやすい社会を実現することです。

そんな事業を支えているのが、「Anytime, Anywhere」を体現する独自の組織づくり。代表1人に対し、日本・フィリピンを中心とした約60名のクリエイターが、全員フルリモート・フルフレックスで関わっています。国籍や居住地、ライフステージを理由に可能性を閉ざさず、「個」がプロフェッショナルとして輝ける環境は、どのようにして生まれたのでしょうか。

佐藤 昂併 さんのプロフィール

役職:代表取締役
ご経歴
   -住宅業界10年
   -大手ハウスメーカーで建築士として経験を積み、
    バーチャル住宅展示場事業の事業部長を歴任
   -2025年、デジタルビルド株式会社を設立
デジタルビルド株式会社での社長就任年:2025年
居住地:東京都

極めて稀な組織形態と、その背景について

代表1人+世界各地のスタッフ約60名という組織形態に至った背景は?

前職で新規事業の立ち上げを担当していた際、社員の中で唯一「フルリモート・フルフレックス」という働き方を実現した経験があります。ちょうど新規事業の責任者として動いていた時期で、部署も自分ひとり。営業から企画、資料作成まで、すべてを一人で担っていました。

その中で感じたのは、成果は「どこで・いつ働くか」ではなく、「どう設計された仕組みで、どんなモチベーションで働くか」で決まるということです。移動時間をなくし、仕事とプライベートを完全に切り分けるのではなく、柔軟に混ぜ合わせることで、むしろ集中力や生産性は高まりました。実際、年間で70社ほどの契約を一人で獲得することができ、数字としても結果が出ました。

この経験から、起業するなら国や時間、ライフステージに縛られず、今この瞬間に力を発揮できる人が自然と集まる組織をつくりたいと考えるようになりました。その結果、全員業務委託・フルリモート・フルフレックスという今の形にたどり着いています。

世界中のクリエイターと繋がる中で、特に「現地のママさんスタッフ」たちが持つポテンシャルをどう感じていますか?

海外、特にフィリピンで感じているのは、子育てを理由に働くことを諦めている、非常にスキルの高いママさんが多いという現実です。「会社に行けない=働けない」という選択肢しかない環境は、本当にもったいないと感じました。

実際に求人を出すと、月2〜3万円程度の広告費でも数百人単位の応募がありました。そこには、スキルも意欲もあるのに、機会に恵まれてこなかった人たちがたくさんいました。仕事を通じて収入を得るだけでなく、「人生の選択肢が広がった」と感じてもらえる瞬間があるのは、とても嬉しいことです。

また、ママさんに限らず、デジタルビルドで働き始めて半年ほどで収入を貯め、人生で初めて海外旅行に行けたというスタッフもいます。
ママだから、海外だからという理由で可能性を狭める必要は全くないと、日々実感しています。

徹底された「Anytime, Anywhere」の実態

納期と品質だけを重視する単価制で、モチベーションをどう保っているのでしょうか?

デジタルビルドでは、稼働時間は一切問いません。重視しているのは、納期と品質だけです。その上で大切にしているのが、「一緒に夢や目標を叶える」という考え方です。

制度で縛って管理するのではなく、スタッフ一人ひとりの夢や目標をしっかり聞く。採用時や定期的な1on1で、「この仕事を続けた先に、どんな未来を描いているのか」を共有しています。仕事が単なる作業ではなく、自分の人生につながっていると感じられることが、モチベーションの源になると考えています。

「ご褒美」という考え方が、スタッフの働き方に与えている影響はどういうものでしょうか?

成果に対する還元を、ルールとして固定するのではなく、「モチベーションを高めるためのご褒美」として捉えています。例えば、日本に行くことが夢だと話してくれたスタッフには、「このフェーズを一緒に乗り越えられたら、実現しよう」と具体的なイメージを共有します。

一人ひとりの人生に向き合い、その夢を全力で応援する。そうすることで、無理に頑張らせなくても、自然と責任感や集中力が高まり、長く関わってくれる人が増えていると感じています。

国境と時差を越えたチームビルディング

海外クリエイターと安定した品質を実現するための工夫はありますか?

最初は正直、かなり苦労しました。日本特有の曖昧な表現は、そのまま翻訳しても伝わりません。「少し薄い気がします」といった表現ではなく、「色を濃くしてください」と、必ず具体的な行動に言い換えるルールを徹底しました。

伝え方を仕組み化し、ルールを統一することで、海外スタッフでも安定した品質を出せるようになっています。最終的なチェックは日本人スタッフが行い、精度を90〜100%まで高めてから納品する体制を整えています。

あえて「管理」を手放すことで、どう信頼関係に影響していますか?

管理を手放すことで、無駄なコミュニケーションは大きく減りました。その分、人としての関係性はとても大切にしています。プロジェクトリーダーを中心に、定期的な1on1や、可能なタイミングでの食事会など、顔を合わせる機会を意識的につくっています。

業務は効率的に、関係性は丁寧に。そのバランスが、国境や時差を越えた信頼関係とスピード感につながっていると感じています。

未来の組織のあり方と、読者へのメッセージ

国境やライフステージを越えて、「個」が輝く組織をどう進化させたいとお考えですか?

現在は約60名規模ですが、今後は数百人規模へと拡大していく予定です。
フィリピンだけでなく、ベトナムやインドネシアなど、世界中のクリエイターとつながり、頑張った人が正当に評価され、人生の選択肢を広げられる組織を目指しています。

働き方に悩む人・人手不足に悩むリーダーへメッセージをお願いします

子育て世代の方には、「プチ起業」という選択肢を知ってほしいです。いきなり大きな挑戦をする必要はありません。まずは副業サイトを覗いてみて、自分のスキルがどれくらいの価値になるのかを知ることが第一歩です。

一方で、人手不足に悩むリーダーの方には、「社員がずっと同じ会社にいてくれる前提は、もう通用しない」という現実をお伝えしたいです。
制度を整える前に、目の前のスタッフの人生に目を向けること。その人の夢や理想の働き方を知り、「あなたの人生を大切に思っている」という思いを伝え、応援する。
その姿勢が、結果として信頼と成果につながると信じています。

従業員のママさんにもインタビュー

デジタルビルドの従業員代表としてお話をお伺いできたのは、フィリピンにお住いのMich B. Semiraさん。育児をしながらチームリーダーとしても活躍されているといいます。
今回は代表の佐藤さんが、インタビューをしてきてくださいました。

デジタルビルドに入社した当初、どのような印象を持ちましたか?

デジタルビルドに入社した当初は、会社がまだ立ち上げ段階だったこともあり、とてもワクワクしていました。
自分の知識を活かしながら業務フローづくりに関われることや、会社を一から一緒に作り上げていける点に大きなやりがいを感じていました。

また、在宅勤務が可能な環境は、働くママである私にとって本当に大きなチャンスでした。
リモートワークをしているスタッフを信頼して任せてくれることや、チーム全体で協力し合う雰囲気もとても良いと感じています。
特に印象的だったのは、代表がクリエイターを過度に否定せず、常にチームをサポートしてくれる姿勢です。
そのおかげで、前向きな気持ちを保ちながら、燃え尽きることなく、効率的に仕事に集中することができています。

子育てや家庭の事情に合わせた働き方ができていると感じますか?

はい、できていると感じています。
子どもが3歳のときにオフィス勤務を辞め、現在は6歳になります。
家庭を優先しながら働ける環境を求めてリモートやパートタイムの仕事を探していましたが、デジタルビルドでは、家族を大切にしながらも責任を持って仕事に取り組むことができています。
必要に応じて働く時間を調整しながら、納期を守って業務を進められるため、仕事と家庭のバランスを無理なく保てています。
この自由さと信頼のある働き方には、本当に感謝しています。

クオリティを維持し続ける秘訣はありますか?

普段からしっかり休息を取り、業務を整理し、必要があれば早めに相談するよう心がけています。
代表が個人的に体調や状況を気にかけて声をかけてくれることもあり、本当にチームを大切にしてくれていると感じます。
そのおかげで、集中力を保ちながら、安定して高いクオリティの成果を出し続けることができています。

今後の目標や、これから力を入れていきたいことを教えてください。

今後は、リーダーシップやプロジェクトマネジメントのスキルをさらに磨き、チーム全体の業務フローをより良くしていきたいと考えています。
デジタルビルドの成長に貢献しながら、自分自身も成長し続けていきたいです。

編集後記

はたさん

国や時間、ライフステージといった「制約」を前提にしない働き方は、決して理想論ではありませんでした。管理を手放しながらも、個人の人生と真剣に向き合う。その積み重ねが、結果として高い品質とスピード、そして強い信頼関係を生み出していることが、佐藤さんの言葉から伝わってきます。

「Anytime, Anywhere」という言葉の裏側にあるのは、自由と同時に、相手の人生を尊重する覚悟。その姿勢こそが、これからの組織づくりのヒントなのかもしれません。

関連リンク
デジタルビルド株式会社
https://www.digitalbuild.jp/

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