“建設業界の働き方改革”を支える!、柔軟な働き方を実現する仕組みと文化とは~株式会社ネクストフィールド 林 杏輔さん~

建設業界向けのDX推進を担うネクストフィールドで、3児の父として働く林杏輔さん。親会社と同様に整った制度に加え、現場の理解やチームの支えによって実現されている柔軟な働き方。働く親として、またDXを推進する立場として、彼が感じる“建設業界の働き方改革”の今についてお話を伺いました。

林 杏輔さんのプロフィール

職業:会社員
お子さんの年齢:3歳・4歳・7歳
居住地:神奈川県
勤務形態:日勤、フレックス勤務

勤務ルールや福利厚生、働き方の仕組みなどについて

親会社と同じ制度を使っていたり、影響を受けている点があれば教えてください。

基本的に親会社と同じ制度のため、フレックス制・在宅/リモート勤務・分断勤務・育児休暇等の制度面や福利厚生も整っています。リモート勤務に関しては、建設現場への出張も多いことから、個室型のシェアオフィス契約やクラウドサービスでの業務環境、モバイル端末の貸与・通信環境等が整備されています。

実際の運用面では、週の半分は在宅勤務をしていますが、上長への事前共有および他メンバーにはスケジューラー上で出社or在宅等の情報を登録して調整しています。チーム内にもそうした文化が浸透しており、上司や役員自らが積極的にリモート勤務を行っているので、制度が実際に使いやすく機能していると感じます。

オフィス環境など、安心して働ける仕組みがあれば教えてください。

オフィス内の環境についても、たとえば人事など一部の機密性の高い業務に対応できるよう、個室ブースが設置されています。オフィスの席は基本的にフリーアドレスになっているので、日によって座る場所を変えながら、いろんな人と会話して業務を行う風土です。

現在、取り組まれている「建設業界向けDX推進」について

どのような背景・目的で建設業界のDX推進に取り組まれているのでしょうか?中堅・中小建設会社に特有のDX推進の壁や難しさについて、現場で感じていることがあれば教えてください。

建設業界でも就業者数の減少が進んでいますが、それに加え、2024年4月には労働基準法改正により残業上限規制が施行された建設業界では、DX推進による建設現場の生産性向上や人手不足解消などが急務となっています。

DXの壁としては、まず「建設業はリモートで業務を完結しづらい」という点があります。現地で実際に建物を建てるという業務は、どうしても人が現場にいなければならないため、完全な遠隔化や自動化が難しいのが実情です。

また、現場での安全管理や品質管理は非常に重要で、命に関わる業務でもあるため、遠隔で管理するには限界があります。危険を伴う作業が日常的にある以上、安全性を最優先する観点からもDXの導入は慎重にならざるを得ません。

そうした業界全体の課題を解決するために、自らが建設会社でありながら、建設業界に向けたDX事業に取り組み、建設現場の業務改善の実績を持つ飛島建設と、ICTをはじめとした最先端の技術・ノウハウを持ち業界DXを進めようとしているNTTグループ(NTT、NTT東日本)の3社出資による建設DX事業を行う会社として、ネクストフィールドを設立しました。

御社の取り組みが「お客様の働き方」に与える影響について

お客様である建設業の現場において、御社の取り組みが働き方にどう影響を与えていると感じますか?e-StandやIoTツール導入によって、現場での具体的な業務や働き方にどのような変化があったのか教えてください。

私たちは主にICTツールを活用して、建設現場の働き方を効率化することを目指しています。例えば、様々な建設テックのアプリケーションと連携した「e‑Stand」(建設向けダッシュボード)https://nxtfield.co.jp/service/e-stand/を活用した現場情報の可視化、WebカメラやIoTセンサを用いた現場の遠隔確認などによって、現場職員の稼働を減らし、時間外労働の削減にもつながっています。

現場の具体例で言えば、建設現場は敷地の関係で、現場から離れた場所のマンションの一室を借りるケースも多くあります。首都圏では特に物件制限もあり、現場から事務所まで自転車で10分以上かかることも珍しくありません。そうした現場にカメラを設置することで、1日3回現場を往復していた作業を2回に減らすことができるなど、業務効率が大きく改善されています。単純な回数削減でも、往復で30分以上かかる場合、1時間分の作業時間短縮になるケースもあり、その時間を事務処理や退勤時間の前倒しに活用することで、現場の働き方そのものが改善されています。

こうした工夫の積み重ねが「働きやすさ」や「早く帰れる」ことに直結しており、現場からの評価も高く、確実に変化が起きていると実感しています。

御社における働き方の柔軟性について

現在、出社・在宅・フレックスなど、どのような働き方が選択可能ですか? ご自身(林様)の働き方についても具体的に教えてください。

その日の業務に応じて、個々人が出社・在宅・フレックス等を自由に選択可能です。また、自宅以外の外出先や帰省先等でのリモート勤務も可能になっています。子供のいる社員や親の介護を必要とする社員もいることから、突発での勤務形態の変更も会社として柔軟に対応できる仕組みが整っています。私自身も週の後半を中心に在宅勤務を活用していて、子どもの送迎など家庭の事情にあわせて調整しやすい働き方をしています。

自分は基本的に、週の後半を在宅勤務にしています。妻も基本はフルリモートで働いていて、海外出張がある時や月1回の出社日以外はずっと在宅で、リビングで仕事をしています。在宅勤務のときは、私は2階のおもちゃ部屋で仕事をしています。今日は、下の子が体調不良で保育園を休んでいるため、子どもたちは1階のリビングにいます。お互いの勤務スタイルにあわせて、出社や外出の予定を前半・後半で調整するようにしていて、特に決めたわけではありませんが、自然とそういう分担になっています。

これからの働き方に大切な視点と、子育て世代へのエール

これからの働き方において、どのような環境づくり・支援を大切にしたいですか?

少人数の会社のため、組織やチームでフォローしあいながら、一人ひとりが働きやすい環境づくりを心がけたいと思っています。建設業では、長時間労働や人手不足などの課題が多々あり、働き方に関しては他業界と比較して、まだまだ遅れている面もあると感じています。だからこそ、弊社の活動を通じて、建設業に関わる一人でも多くの方に、働きやすい環境を提供していきたいです。

また、コロナをきっかけに、親会社も含めてリモートの環境が整ってきましたし、世の中的にもリモート勤務や在宅勤務が広まってきたと感じています。ただ、私たちがお客様として接している建設業界では、現場で働く方々はもちろん、本社や支店で働く内勤の方々にも「出社しなければならない」といった暗黙のルールがまだ残っているという声を聞いています。

そういった背景も踏まえ、私たちが提供するサービスや、自分たち自身の働き方を通じて、建設現場以外も含めた建設業界全体が、働き方改革に向けて少しでも前進できるよう、サポートしていきたいと考えています。

子育てと仕事を両立するなかで、日々さまざまな判断が求められることと思います。そうした中で、林様が働くうえで大切にされている「優先順位」や「働き方の軸」があれば教えてください。

人によるとは思うんですけど、自分は家庭とかプライベートが充実してこそ仕事も頑張れるし、仕事にも向き合えるかなと思っています。自分以外のメンバーも、家庭の事情で仕事が少し滞ったり、やりにくくなることがあるので、自分自身もフォローいただいていますし、自分も逆にフォローしたいと思っています。それを日々心がけて、チームのメンバーや組織にはたらきかけていきたいと思っているところです。

子育てしながら働く方や、働き方に多様性が求められる方へのメッセージをお願いします。

うちは子どもが3人いて、両親も遠方に住んでいるので、親族に頼れる環境ではないんです。そういう中でも、今のところはうまくやれているかなと思っています。やれている理由としては、やっぱり周りのメンバーとか、会社がうまくサポートしてくれている存在が大きいと感じています。制度が整っているだけではなくて、安心して相談できる環境、話しやすい環境が整っているのがありがたいです。共働きの子育て世帯で、同じように悩んでいる方も多いと思います。そういう方たちにとって、弊社のような会社が少しでも増えていくといいなと思いますし、この記事を見て少しでも助けになれたらうれしいです。

御社の事業内容や会社カルチャーについて教えてください。

人事ご担当者様にお伺いいたしました。

主な事業内容と、事業の強み・特徴について教えてください。

弊社は2022年4月1日に飛島建設、NTT東日本、NTTの3社により設立された合弁会社です。飛島建設の建設現場のノウハウと、NTTグループのICT技術や現場での業務改善ノウハウを活かし、以下の事業を行っています。

①事業内容

  • 建設DX事業:DXに関するサービス提供
  • 建設BPO事業:ICT関連のアウトソーシングを実施
  • 建設ネットワーク事業:通信インフラの構築・提供

➁事業の強み・特徴

  • 自社開発のDXソリューション提供

様々な建設テックのアプリケーションと連携した「e‑Stand」(建設向けダッシュボード)やカメラ、IoTセンサデバイスの「e‑Sense」シリーズなど、建設現場の幅広いDXソリューションを提供 

  • 建設業のDXをワンストップサポート

建設業やICT技術のノウハウを有する人材がコンサルによる課題抽出からICTツールの選定・導入、運用保守までをトータルサポート

企業として大切にしている価値観やカルチャー(ミッション・ビジョンなど)があれば教えてください。

ビジョン

『DXの力で建設業界すべての人達に、最高の場を提供する』

ネクストフィールド自身も社員1人ひとりがプロフェッショナルな意識をもって、「常に前例のないものにチャレンジし、自らを変革できる企業」を目指しています。

株式会社ネクストフィールド
/https://nxtfield.co.jp/

編集後記

はたママ編集部

インタビューを通して印象的だったのは、林さんの「家庭やチームとの信頼関係を土台に、自分らしく働く姿勢」でした。制度や仕組みだけではなく、それを柔軟に使える環境と、周囲との支え合いがあってこそ成り立つ働き方。ネクストフィールドが取り組む建設業界のDXや働き方改革には、まさにその価値観が反映されているように感じました。

「子育て中でも無理なく働きたい」「業界全体を少しずつでも変えていきたい」──そうした一つひとつの想いが、組織の文化として根づき始めているのだと感じさせられる取材でした。林さん、ありがとうございました。

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