「ペア休」で、出産後の大変で幸せな時間を夫婦で分かち合える社会に~セントワークス株式会社 一之瀬幸生さん・後編

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前回に引き続き、セントワークス株式会社のワーク・ライフバランスコンサルタント、一之瀬幸生さんのインタビューです。昨年1カ月間の育休を取得した一之瀬さん。取得前の心構えから実際にとってみて感じたことなど、たくさん語ってくださいました。また、有志で推進活動に取り組んでいるという「ペア休プロジェクト」についてもお聞きしました。

一之瀬幸生さんプロフィール

職業:ワーク・ライフバランスコンサルタント

お子さんの年齢:6歳、0歳

居住地:神奈川県

1カ月間の育休を取ってみて感じたこととは?

一之瀬さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大学を卒業して旅行会社に入りました。残業は多いし転勤もあってハードでしたが、楽しくてやりがいもあったんです。ただ、そのハードさゆえに長く勤める人が少ないという状況でした。

このままでは自分も続かないと思い、在籍していた支店で残業を減らそうと呼びかけました。それでも売上利益は確保しなくてはなりません。そこで、複数担当制や情報共有を進めるなどいろんな取り組みをしました。そうすると、サービスの質が上がり、お客様からの受注も増えたんです。売上利益が上がり長時間労働も減らせるという手ごたえを感じたのですが、会社全体の風土が変わる気配はありませんでした。

私自身が結婚したこともあり、今後の人生を考えて転職を考えたときに、たまたま今の会社が「ワーク・ライフバランスコンサルタント」という職種を募集していたんです。こんな仕事があるんだって驚きましたし、これはまさに私がやりたい仕事だと思いました。そこで、応募したら運よく採用していただきました。今は、外部の企業様に対するコンサルティングや研修を主に担当しています。

すごい!天職ですね。

そこまでか分かりませんが、この仕事に就くことができてありがたいです。

昨年1カ月育休を取られたとのことですが、いかがでしたか?

すごく幸せな部分とすごく大変な部分と、両方分かりました。実は1人目の時は育休をとったのは数日だけで、それは失敗だったんです。それでも、その数日間は24時間一緒に育児をして大変なのはよく分かりました。ですから育休から復帰しても、定時の18時で帰るようにしたんです。ところが、定時で帰っても会社から家まで2時間弱かかるので帰るのは20時近く。そこからお風呂に入れたり、寝かしつけをしたりしていたのですが、「全然足りない」と妻が怒ることもしばしばでした。私もつい、「えーっ?普通よりやっていると思うけど」みたいに言ってけんかになったり……。それから、妻は帝王切開で出産したのもあって、ずっと体が痛いと言っていて、全然治っていかなかったんですね。

そのときのことを反省して、2人目の時は1カ月育休を取ることにしました。仕事仲間の女性やママ友に話を聞いて情報収集もしました。そうすると、「夫が協力してくれなかったことはずっと忘れない」といったことを、ほぼ100%の方が言うんです。これが数年前とかじゃなくて10年、20年前に出産した人もそうなんですよね。帝王切開で出産した方の話も聞いて、産後しっかり休養をとることが体の回復には大事ということもわかりました。

ですから、産後の本当は幸せな時間が辛い期間にならないよう、私ができることは家事も育児も何でもすることにしました。とはいえ睡眠時間はお互い取らないとまずいので、夜の赤ちゃんの世話は1~2日交代で担当することにしました。でも実際にやってみたら、交代制でも大変でした(笑)。

それから、出産後はホルモンバランスが崩れて精神的に不安定になるという話を聞いたので、妻がイライラしていたら、とりあえず話を聞くだけ聞いてやり過ごすということもしていましたね。

2人で協力し合えたからか、妻は毎日のように「赤ちゃんがかわいい」と言っていましたし、笑顔が多かったですね。私も幸せな気分になれて本当によかったなと思いました。

育休中は「パパ休暇中」の旗を。期間も明記してわかりやすく

1カ月間仕事を休むことに対する不安はありませんでしたか?

多少はありましたが、普段から同僚と情報共有をするなど備えはしていました。コンサルタント業ですので、どうしても自分でないといけない仕事もあるのですが、生まれる時期は分かるので、その時期にはそういった仕事は極力入れないよう調整しました。それから、一緒に仕事をしているパートナーコンサルタント的な方が社外にいるので、何かあった場合にはその方にお願いできる環境は作っておきました。実際にはお願いすることなく終わったのでよかったですが。

今は短時間勤務をされているのですか?

1人目のときの育休が明けて妻が復職をする時から短時間勤務をしています。定時より1時間は早い17時で仕事を終えて、帰りに保育園に迎えに行き、19時に家に帰ってきます。私が迎えに行けばその間に妻がご飯の用意ができるので、帰ったらすぐご飯を食べさせられるというリズムです。出勤のときは6時35分に家を出て、6時45分の電車に乗って、6時55分に降りて、7時に保育園が開いた瞬間に預けて、7時6分の電車に乗って会社に着くと9時前というのを毎日やっていましたね。

分刻みですね。

そう!育児と仕事の両立って本当に分刻みだなと分かりました(笑)。

その経験が業務に生きている面はありますか?

私の仕事でいうと、女性の気持ちが理解できるようになって、それを男性に実感を込めて伝えられるようになったというのは変化した点でしょうか。業務においても、短時間勤務の方はみんなそうだと思いますが、帰る時間は決まっているので、その時間に帰るためにどうするかを考えるようになりました。自然と効率化もはかられていきますよね。

子育てしやすい社会に変える「ペア休プロジェクト」とは?

―「ペア休プロジェクト」という活動にも取り組んでいらっしゃるそうですね。

これは、「ワーク(会社)」ではなく、「ライフ」の方の活動なんです。男性育休を最低でも1カ月以上取れる社会にしていこうというプロジェクトです。有志メンバーで動画を作り、啓発活動をしています。

わたしたちは「ペア休」という選択。

私自身、昨年1カ月育休を取ってみて、やっぱり男性が育休を取るって大事だなと思いました。男性の働き方が変わるし、女性も能力を発揮しやすくなります。世の中のいろんな問題も解決していくのではないでしょうか。

「ペア休」という名前がいいですよね

「男性育休」だと固いし、男性だけになってしまうから、何か他に象徴的な言葉はないかなとメンバーで話し合った結果、「ペア休」という名前になりました。説明がなくても何となく伝わるという点がいいかなと思っています。

今後はどのような活動をしていく予定ですか?

「ペア休」がもっと社会に広がって、夫婦一緒に育休を取るのが自然なことになっていってほしいと思っています。この動画は基本的に一般の方向けなんですが、人事担当者さんにお見せすると、「研修に使いたい」という声もいただくので、仕事でも使えるのかなと思っています。

はたママ読者へのメッセージ

最後に、はたママ読者へのメッセージをお願いいたします。

育児と仕事を両立させるには、利用できるものは何でも利用することが大事だと思います。うちも共働きで、妻も夕方にお客様に会わないといけなかったり、夜遅くなったりする日もあります。私も夜にお客様への研修があったり、出張があったりするんですよね。ですから、ファミリーサポートセンターやAsMamaといった子育てサポートのサービスに登録して、2~3人ヘルプしてくださる方を確保しています。それから、病児保育も結構使いましたね。

夫婦で協力すれば、大変な育児がすごく幸せな育児になり、人生が大きく変わると思います。私は、育児を始めてから感じた課題を少しでも解消できたらと思い、地域活動も始めました。けれど、ある意味趣味と同じなので、逆に家庭に負担をかけてしまうという矛盾もあるんですね。自分だけがやりたいことをやると不公平感が出てくるので、妻にも一人時間を作ってあげることを心がけています。育児と仕事だけでいっぱいいっぱいになってしまうと辛くなります。お互いの大事なことを尊重できると、いい関係が築けるのではないでしょうか。

 

編集後記

 

一人ひとりのプライベートを尊重することで、働きやすい企業風土に変えていったセントワークス株式会社様。変化はすぐに起きるのではなく、ふと気づいたときに変わっていたという話は、地道に取り組んだからこその実感がこもっていました。

そして、ご自身の1カ月間の育休取得経験を熱く語ってくださった一之瀬さん。ワーク・ライフコンサルタントという職業は、まさに天職だなと感じました。育児と仕事に追われる中で生じた夫婦間の行き違いの話も、「ある、ある!」と思わずうなずいてしまいました。

「ペア休」のペアには、2人1組という「ペア」だけでなく「両親(ペアレント)」という意味も含まれているそうです。夫婦で一緒に育休をとる「ペア休」が今後もっと広がることを期待しています!

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